離婚・男女問題

養育費・婚姻費用の算定表が改正!増額請求できる?【2019年12月23日】

2019年12月24日

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養育費、婚姻費用を算定する際に、家庭裁判所で参考とされる表が改正されることとなりました。

新しい養育費、婚姻費用の算定表は、最高裁判所の司法研修所から、令和元年(2019年)12月23日に発表され、同日より適用されることとなります。

これまでも、養育費、婚姻費用について、実態を反映していない低額なのではないか、という批判の多いところでありましたが、今回の算定表の改訂によって、1万円~2万円程度の増額が見込まれることとなります。

そこで今回は、この新しい養育費・婚姻費用算定表の具体的な変更内容と、増額請求の方法や対応などについて、弁護士が解説します。

参 考
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「離婚・不貞」弁護士解説まとめ

養育費・婚姻費用とは?

養育費、婚姻費用は、夫婦関係が悪化したときや、その結果離婚に至ってしまったときに、男女間で決めておくべき「お金の問題」の中でも特に重要なものです。

離婚時に決めておかなければならない「お金の問題」には、他に財産分与、慰謝料がありますが、子が幼く、将来成人するまでに長期間を要する場合、養育費は相当高額となることもあり、とても重要です。

養育費とは?

養育費とは、夫婦が離婚をしたときに、親権ないし監護権を取得しなかった方の親が支払う、子どもの養育、教育、医療などにかかる費用の分担のことです。

民法は、別居中の子の生活保持義務を定めています。

そして、夫婦が離婚した後、子どもの面倒を見ない親にとっても、「子の親」であることは変わらないため、離婚後も、養育費を負担し続ける必要があるのです。

婚姻費用とは?

婚姻費用とは、夫婦としての関係は続いているものの別居中の人にとって、相手方配偶者と子のための生活費の負担のことです。

つまり、別居をしている間も、相手方配偶者の生活を、自分と同等程度のものとする義務がある結果、収入の多い方は、収入の少ない方に対して、一定の生活費を与えなければならないというわけです。

この婚姻費用は、たとえこの先は離婚を考えていて、夫婦関係が致命的に悪化していたとしても、夫婦としての籍が残っている限り支払を継続しなければならないのが原則です。

養育費・婚姻費用の「算定表」とは?

養育費・婚姻費用の決定は、話し合いによって合意ができない場合には、家庭裁判所の調停・審判で決定することとなります。この際、裁判官、調停委員の判断の基準とされるのが、算定表です。

現在離婚の協議中、調停中であるなど、まだ養育費や婚姻費用の決まっていない方は、2019年12月23日以降は、新しい算定表にしたがって決定することとなります。

この度、2019年12月23日に改訂された算定表が、なぜ改訂されたのか、そもそも算定表はどのように利用されるのか、といった点について、弁護士が解説します。

養育費・婚姻費用の算定表

養育費・婚姻費用は、実務上、払う側の親(義務者)の年収から、税金や住居費、日常生活に一般的に必要となる費用などの「必要経費」を控除し、平均的な家庭の生活費、平均的な学費を考慮して決めた係数をかけて算出します。

そして、この複雑な計算方法を、わかりやすく表の形式にしたのが、養育費、婚姻費用の算定表です。表の形式になっており、一見してわかりやすいため、家庭裁判所の実務でよく使われるようになりました。

算定表では、子の人数と年齢、夫婦双方の年収をもとに、一定の幅のある養育費・婚姻費用の支払額を導き出すことができます。

旧算定表(2003年~2019年12月22日)への批判

2019年12月22日以前の旧算定表は、2003年に作成されたものが使い続けられていましたが、社会情勢が変化し、旧算定表で定める養育費・婚姻費用は実態に合わない低額なものとなっているという批判がされていました。

まず、社会情勢の変化を踏まえていないという点について、2003年から2019年までの間には、消費税をはじめとした税制が大きく改正され、端的にいうと、増税されています。

その上、物価の変動の影響もまた、養育費、婚姻費用の算定表に反映されていませんでした。子どもにもスマートフォンを持たせることが当たり前になっているように、通信費の支出も増大しています。

婚姻費用や養育費が、一般的に生活に必要となる支出に充当されるべき費用である以上、これらの実態の変化は、算定表に反映されるべきものです。

日弁連作成の算定表との違い

この度2019年12月23日に発表された新しい算定表は、「新算定表」と呼ばれることがありますが、従前は「新算定表」といえば、日本弁護士連合会(日弁連)が発表した算定表を指すことが一般的でした。

日弁連作成の算定表もまた、旧算定表により算出される養育費、婚姻費用が実態にそぐわない低額なものとなりがちだという批判に対応して作成されたものです。

今後は、単に「新算定表」と使うときは、2019年12月23日に発表された「標準算定方式・算定表(令和元年版)」を指すことを明確にしたほうがよいでしょう。

養育費・婚姻費用を増額請求できる場合の対応方法

今回の算定表の改正では、養育費・婚姻費用はいずれも、社会情勢の変化にあわせて増額方向に変更されています。既に養育費・婚姻費用を決めて支払いを受けている人も、増額してもらうことができます。

すべてのケースで増額されるわけではないものの、大部分のケースでは、養育費、婚姻費用を月額1万円から月額2万円程度、追加で請求できるようになります。

そこで、養育費・婚姻費用を増額請求できる場合の対応方法について、弁護士が解説します。

改定前・改定後を比較する

まず、改訂前の養育費・婚姻費用と、改定後の養育費・婚姻費用を比較してみてください。特に、現在協議中、調停中、訴訟中の方は、新算定表を相手方や関係者が知らない場合に備えて、すぐに確認しましょう。

改訂後の養育費・婚姻費用のほうが高額な場合には、増額を請求すべきケースにあたります。

ただし、養育費・婚姻費用は、子の人数、子の年齢、双方の年収の差によって決まっていますが、ケースによっては、今回の算定表改訂によっても、増減額がほとんどないケースもあります。

なお、養育費・婚姻費用の算定表は、新旧いずれも「4万円から6万円」といったように、幅のある判断で決まります。

そのため、新旧の算定表を比べたときに、同じ「4万円~6万円」の幅の中におさまっていたとしても、今回の算定表の改訂によって、実際に決まる額は新算定表にしたがったほうが高くなります。

養育費・婚姻費用の増額を交渉する

既に、協議や調停、審判などで養育費・婚姻費用についての合意をしている場合には、次に解説するとおり、増額の交渉、調停、審判を行うこととなります。

養育費や婚姻費用は、一度合意したからといって一切変化しないものではなく、事情によって変更される可能性のあるものだからです。

ただし、今回の養育費・婚姻費用の算定表の改定では、改定は、「養育費等の額を変更すべき事情変更には該当しない」とされています。

つまり、「算定表が変更された」というだけの事情では、増額の交渉をすることができず、その他の重要な事情の変更が必要となります。

養育費・婚姻費用の調停を申し立てる

養育費・婚姻費用を定める算定表は、相手と自分の年収の差、子どもの年齢と人数によって決まる形式になっています。

しかし、相手の年収がわからないとか、自営業者や経営者で、経費を算入することによって年収をある程度自由にできる立場にあるといった場合には、算定表を眺めているだけでは、養育費、婚姻費用についての合意はできません。

また、養育費、婚姻費用の算定表は、増額傾向に変更された新算定表であっても、一般的な生活を前提としたものであって、私学や医学部に通いたい、留学したいといった需要を完全に満たすものではありません。

そのため、養育費、婚姻費用について、話し合いによって合意できない場合には、家庭裁判所に調停の申立てをします。2019年12月23日以降は、全国の家庭裁判所で、改定後の新算定表を参考にした判断がなされます。

養育費、婚姻費用の調停では、調停委員が両者の意見を聞きながら、合意形成のための調整をしてくれます。

養育費・婚姻費用の審判を申し立てる

増額請求の最終手段が、審判の申立てです。

調停は、家庭裁判所で行う手続きですが、あくまでも話し合いであって、相手方との合意に至らない場合には、養育費、婚姻費用を増額してもらうことはできません。

弁護士に調査、判断を依頼して、増額できる可能性が高いとして調停に至った場合には、相手方が増額を拒否するときには審判の申立てをするようにしましょう。

養育費・婚姻費用の審判では、調停委員の意見を参考にしながら、家庭裁判所の裁判官が、養育費・婚姻費用の支払額を決めてくれます。この際にも、重要な参考資料となるのが、2019年12月23日に増額修正された新しい算定表です。

「離婚問題」は浅野総合法律事務所にお任せください!

今回は、2019年12月23日に、最高裁司法研修所より発表された養育費・婚姻費用の新算定表と、増額請求が可能なケースでの対応方法について解説しました。

養育費、婚姻費用について新しい算定表が適用される2019年12月23日以降も、実際に、具体的なケースごとにどのような判断がされるかは、とても難しい問題です。

実際のケースで、いくらの養育費、婚姻費用を請求できるかは、個別事情を反映して決まるります。ご不安のある方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

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