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後遺障害の異議申し立ての方法は?後遺障害認定に不服があるときのポイント

交通事故で後遺症が残ったとき、後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害慰謝料や逸失利益といった補償を受けられます。しかし、等級の認定が「非該当」と判断されたり、希望よりも低い等級しか認定されなかったりすると、満足のいく被害回復が受けられなくなります。

後遺障害認定の結果に不服を感じている方にとって、どのように異議申立を進めるかを理解しておくことが重要です。等級認定の結果を変更する方法には、自賠責保険の異議申立て、紛争処理申請、損害賠償請求訴訟の3つがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。

今回は、後遺障害認定に対する異議申し立て手続きの流れやポイントについて、弁護士が詳しく解説します。

この解説のポイント
  • 後遺障害等級の認定結果に不服があるなら、異議申し立てを行う
  • まずは自賠責保険の異議申立て、次に紛争処理申請、損害賠償請求訴訟の順
  • 後遺障害等級の認定で有利な判断を得るには、医学的証拠が重要

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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後遺障害の異議申し立ての方法

矢印

はじめに、後遺障害の異議申し立てをする3つの方法を解説します。

交通事故でケガを負い、治療を続けても症状の改善が見込めない「症状固定」に至ったら、後遺障害等級の認定手続きを行います。後遺症の部位や程度によって等級が定められ、それに該当する認定を受けると、加害者に後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。

しかし、症状が残存していても、後遺障害等級に「非該当」と判断され、結果に納得いかないこともあるでしょう。その場合、以下の方法によって異議を申し立てましょう。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、手続きの特徴を解説します。

自賠責保険への異議申立て

一つ目の方法が、自賠責保険への異議申立てです。

後遺障害等級への不服のある人が、最もよく利用する方法です。異議申立ては、異議申立書と共に、あなたに有利な証拠資料を提出することで行います。後遺障害等級認定の申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2種類があり、どちらで申請したかにより異議の提出先が異なります。

  • 事前認定で申請した場合
    → 任意保険会社に異議申立書を提出します。
  • 被害者請求で申請した場合
    → 自賠責保険会社に異議申立書を提出します。

異議申立てが行われると、自賠責損害調査事務所が再審査を行い、後遺障害等級の認定をやり直します。異議申立ては費用がかからず、回数制限もない点がメリットです。一方で、再審査を行うのが元の認定を下した自賠責側の機関なので、第三者による中立的な判断が下されるわけではなく、認定結果が覆りづらいデメリットがあります。

異議申立てには費用がかからないので、まずは試してみるのが良いですが、闇雲に同じ申請をし続けても、結果が変わる確率は低いです。

手続きの流れは「異議申し立ての具体的な手続きの流れ」参照。

交通事故の被害者請求」の解説

紛争処理申請

二つ目の方法が、紛争処理申請です。

紛争処理申請は、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構への不服申立ての手続きであり、自賠責保険の異議申立てで認定が覆らなかった場合の次の手段となります。紛争処理申請の書式は、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構のサイトから入手可能です。申請は書面審査のみで行われるので、重要な証拠資料は、全て書面で提出する必要があります。

一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は、公正中立な第三者機関です。弁護士・医師・学識経験者などが審査を担当するので、自賠責への異議申立てよりも結果が覆りやすい傾向にあります。

紛争処理申請は、第三者的な視点で審理を受けられ、自賠責の判断とは異なる結果となる可能性がある点がメリットです。新たな医証を添付して申請すれば、より有利な判断が期待できます。一方で、紛争処理申請は1回限りで、結果に対して更に異議を申し立てることはできません。十分な準備をして望まなければ、認定結果が変わらないおそれもあります。

損害賠償請求訴訟

最後の手段が、損害賠償請求訴訟を提起する方法です。

損害賠償請求訴訟では、後遺障害等級認定の結果を直接争うのではなく、交通事故の損害賠償の請求を通じて等級認定の正当性を争います。裁判所は、自賠責保険による等級認定の結果に拘束されることなく、慰謝料について独自の判断を下します。そのため、自賠責で「非該当」とされるケースでも、裁判では、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が認められる可能性があります。

以上の通り、後遺障害等級認定に縛られず、慰謝料や逸失利益が認められる可能性がある点がメリットです。交通事故専門部のある裁判所では、専門的な判断を受けることができます。一方で、自賠責の認定より低い等級と判断されるリスクがあります。また、加害者との対立が激化すると示談や和解が難しくなり、裁判が長期化するデメリットがあります。

したがって、訴訟提起するかどうかは「損害賠償請求訴訟を検討すべきケース」も踏まえて慎重に検討してください。

異議申し立ての具体的な手続きの流れ

計算

次に、前章「後遺障害の異議申し立ての方法」で解説した3つの方法のうち、はじめに利用を検討すべき自賠責保険への異議申立てについて、具体的な手続きの流れを解説します。

STEP

後遺障害等級認定の結果を精査する

異議申立てを行う準備として、まずは後遺障害等級認定の理由を精査することが重要です。なぜ「非該当」または低い等級の認定を受けたのか分析し、根拠を明確にしましょう。

後遺障害等級認定の通知には、認定の理由を記載した「別紙」が添付され、そこに判断の根拠が示されています。後遺障害等級は、医学的資料に基づいて判断されるので、認定結果を覆すには、的確に反論するための主張と証拠を準備することが不可欠です。

STEP

医療記録を収集する

認定結果に納得がいかない原因は、医療記録の不足や内容の不備にあることが多いです。

後遺障害等級認定の手続きは、書面審査であり、口頭で不足や不備を補充できません。証拠が不十分だと適切な評価を受けられなくなってしまいます。特に、加害者側の任意保険会社を通じた「事前認定」で申請した場合、被害者に有利な証拠が十分提出されないことがあります。交通事故の後遺症に詳しくない医師の診断書には、必要な記載が不足していることもあります。

そのため、カルテや後遺障害診断書を含む医療記録に漏れがないかを確認し、記載内容が適切かどうかも再チェックする必要があります。必要に応じて再検査や追加検査を受け、新たな医学的証拠を用意することも有効です。

交通事故で医療記録を入手する方法」の解説

STEP

異議申立書の作成・提出

異議申立書を作成して、前述の通り、以下の方法で提出します。

  • 事前認定で申請した場合
    → 任意保険会社に異議申立書を提出します。
  • 被害者請求で申請した場合
    → 自賠責保険会社に異議申立書を提出します。

異議申立書とあわせて、以下の資料を提出すると、有利な結果を得られる可能性が高まります。

  • 新たな後遺障害診断書
  • 再検査の結果報告書
  • 医師の意見書(医学的に主張を補強できるもの)
  • 日常生活の支障を示す証拠(家族の陳述書など)
  • 委任状(弁護士に依頼する場合)

異議申立書には決まった書式はありません。保険会社から書式が送られてきた場合はそれを活用することで足りますが、被害者にとって有利な事情をしっかり伝えたい場合は、独自の書式で作成しても差し支えありません。

認定結果を覆すために、異議申立書の書き方で注意すべきポイントは次の通りです。

  • 従前の認定結果に対する不服の内容とその理由
  • 認定判断の問題点の指摘
  • 主張する後遺障害等級とその根拠
  • 主張を裏付ける医学的証拠(医療記録・診断書・検査結果など)
  • 後遺障害等級の認定基準へのあてはめ
  • 後遺障害による生活上の支障や実態

異議申立書では、「従前の判断に問題がある」ことを説得的に示し、適正な認定結果を得るための主張を後遺障害等級認定基準に基づいて明確に説明することが重要です。

STEP

自賠責損害調査事務所による審査

異議申立書を提出すると、自賠責損害調査事務所による審査が開始されます。

異議申立書の提出後、結果が出るまでにかかる期間は通常2ヶ月〜3か月程度ですが、ケースによっては半年以上かかることもあります。

異議申し立てで後遺障害等級の認定を獲得するポイント

次に、異議申立てで、後遺障害等級の認定を獲得するためのポイントを解説します。異議申立てを通じて有利な等級認定を獲得するには、適切な準備と戦略が必要です。

医師の協力を得る

後遺症が残っているのに「非該当」とされたケースは、必要な検査が十分に行われていなかったことが原因の可能性があります。異議申立ての際は、手元にある医療記録だけでなく、追加検査や再検査を受け、新たな医学的証拠を取得することが有効です。

また、医師の意見書を入手するのも有効です。後遺障害等級認定は医学的知見に基づいて判断されるので、異議申立てを成功させるには医学的根拠を補強しなければなりません。特に、事故直後から治療を担当した主治医の協力を得られるかどうかは、認定結果を大きく左右します。

新たな証拠を提出する

異議申立てでは、最初の後遺障害等級認定の申請時に提出していなかった新たな証拠を提出することが重要です。以下のケースでは、新たな証拠によって認定結果が変わる可能性があります。

  • 資料が不足していた場合
    初回の申請時に提出した資料が不十分であった場合、追加の医学的資料を提出することで状況が変わることがあります。
  • 誤った内容が含まれていた場合
    診断書や検査結果に誤りや記載漏れがある場合、医師に修正してもらい、新たな資料を提出することで、より正確な判断が期待できます。
  • 生活への影響を示す証拠が不足していたケース
    後遺障害が日常生活に及ぼす影響を具体的に示すため、同居家族の陳述書や職場での支障を示す証言などを提出することも有効です。

被害者請求で異議申立てを行う

後遺障害等級の申請には、「事前認定」と「被害者請求」の2種類の方法があります。

  • 事前認定
    加害者側の任意保険会社が手続きを代行してくれる方法。被害者にとって有利な資料が十分に提出されないリスクがあるため、慎重に検討すべきです。
  • 被害者請求
    被害者自身が必要な資料を集めて申請する方法。異議申立てをする際は、被害者請求を活用することで、より充実した証拠を提出すれば、認定結果が覆る可能性が高まります。

最初の認定申請を事前認定で行っていた場合でも、異議申立て時に被害者請求に切り替えることが可能です。適切な資料を整え、積極的に被害者請求を活用しましょう。

交通事故に詳しい弁護士に依頼する

最後に、交通事故に詳しい弁護士に依頼するのが有益です。

異議申立ては、一度下された不利な判断に対し、その問題点を指摘し、覆すための手続きです。そのため、法律知識や経験が必要です。後遺障害等級認定の手続きでは、どのような事実認定がなされ、どのような判断過程で結論が導かれたのかを的確に把握すべきだからです。

弁護士に依頼すれば、次のようなメリットがあります。

  • 専門的な知識に基づき、適切な異議申立書を作成できる。
  • 過去の判例や類似事例を踏まえた有効な反論が可能。
  • 証拠の収集や医師との交渉をサポートしてもらえる。

特に、交通事故に精通した弁護士に依頼することで、後遺障害認定に関する豊富な経験を活かし、認定を得るための戦略を立てることができます。また、異議申立ての段階に限らず、事故直後から弁護士のアドバイスを受けることで、適切な対応が可能となり、最終的な賠償請求を良い方向に導いてくれることが期待できます。

損害賠償請求訴訟を検討すべきケース

最後に、異議申立てだけでなく、損害賠償請求訴訟で争うことを検討すべきケースについて解説します。後遺障害等級認定の結果に不服があるとき、裁判で争うべきなのは次の場合です。

  • 後遺障害等級認定の結果に重大な誤りがある場合
    裁判所は中立的な機関であり、専門的な判断が期待できます。交通事故専門部が設置されている裁判所なら、交通事故を数多く扱う裁判官の判断を仰ぐことができます。
  • 加害者との対立が深刻で示談困難な場合
    高次脳機能障害や死亡事故のように高額の賠償が争点となるケース、むちうちのように主張が大きく異なるケース(14級か12級か)、事故態様の認識が異なり過失割合が争われるケースなど、後遺症以外にも争いが多いときは、訴訟が適切です。
  • 消滅時効が迫っている場合
    自賠責保険への異議申立てや紛争処理申請には時効を中断・停止する効果がないので、時効が迫っている場合には訴訟提起が必須となります。
  • 強制執行が必要な場合
    加害者が支払いを拒否する可能性が高い場合など、強制執行(財産の差押え)を行うためには裁判の判決が必要となります。

裁判で争う場合には、交通事故に精通した弁護士のアドバイスを受けるのが良いでしょう。弁護士に依頼すれば、訴訟の準備や証拠の収集から、裁判所に提出する書面の作成、期日当日の対応まで代わりに行ってもらい、スムーズに進めることができます。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、後遺障害等級の認定結果に不服があるときの争い方を解説しました。

交通事故被害者の立場では、後遺障害について有利な認定が得られるかどうかで、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わります。自賠責保険の異議申し立て、紛争処理申請、損害賠償請求訴訟という3つの方法を理解することで、示談交渉を有利に進めてください。

そして、異議の申し立てにおいて、有利な判断を得て、後遺障害等級認定を変更してもらうには、認定結果を法的な観点から精査して反論することと、医師の協力のもとに新たな証拠を準備することが重要なポイントとなります。

後遺症が残ってしまったのに、満足のいく賠償金を得られず悩む方は、交通事故に精通した弁護士に相談し、アドバイスを得るのが有益です。

この解説のポイント
  • 後遺障害等級の認定結果に不服があるなら、異議申し立てを行う
  • まずは自賠責保険の異議申立て、次に紛争処理申請、損害賠償請求訴訟の順
  • 後遺障害等級の認定で有利な判断を得るには、医学的証拠が重要

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参考解説

後遺障害に関する問題は、事故後の生活や働く能力に深刻な影響を及ぼします。そのため、交通事故の被害に遭ったときは、法的な手続きや慰謝料請求の方法を知り、適切な被害回復を図らなければなりません。

後遺障害に関する解説記事を通じて、正しい対処法を理解してください。

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