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交際相手が既婚者だったとき、慰謝料請求する方法

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

既婚者に慰謝料請求

既婚者でありながら、「結婚したい」という独身女性をだまして、性的関係を持つ不届きな男性がいます。

「結婚しようとして真剣交際していた彼氏が、実は既婚者であることが判明した」という方から、慰謝料請求についての法律相談を受けることがあります。特に、マッチングアプリや出会い系では、軽い気持ちで女性がもてあそばれてしまうケースが多くあります。

既婚者であるにもかかわらず、わざと隠して肉体関係(性交渉)をもつことは、女性の性的自由を侵害する行為であり、慰謝料請求の対象となる不法行為(民法709条)です。一方で、だまされていたにもかかわらず、彼氏の奥さんから不貞行為による慰謝料請求を受けるおそれもあります。

今回の解説では、「交際相手が既婚者だった」と発覚し、大きな心のキズを受けた女性に向けて

  • 既婚者だと発覚した彼氏に、慰謝料請求する方法
  • 慰謝料請求するときのポイント
  • 既婚者だった彼氏の妻から慰謝料請求を受けたときの対応

といった男女トラブルについての法律知識を、弁護士が解説します。

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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既婚者にだまされたときの慰謝料請求とは

既婚者に慰謝料請求

自分は真剣交際だと思っていた彼氏が、実は既婚者だったことが明らかになったとき、これにより大きな精神的苦痛を受けます。あなたが権利を侵害され、精神的苦痛を負ったとき、不法行為を理由とした慰謝料請求ができます。

慰謝料請求は、不法行為(民法709条)の要件を満たすときに、これによって負った精神的な損害についての損害賠償請求です。

あなたをだまして交際していた彼氏の行為が、「不法行為」といえるためには、次の要件を満たす必要があります。

故意または過失があること

不法行為による慰謝料請求をするためには、加害者が、故意または過失をもって違法行為をすることが必要です。

日本では、2人以上の異性と結婚することは「重婚」として禁止されています(民法732条、刑法184条)。そのため、既婚者にもかかわらず「結婚しよう」と告げて性的関係をもつことは、「故意」による違法行為です。

特に、既婚者であるにもかかわらず婚活アプリ、婚活パーティ、お見合いなど「結婚を前提とする交際」の場で交際を開始することは、悪質なだます行為であることが明らかです。

「結婚していない」と明確に否定したり、普段はしている結婚指輪をわざわざ外したり、「今日もひとりきりで寂しい」など、どくしだと誤解されるような誘惑をする言動もまた、だます故意があると評価されます。

違法性(権利もしくは法的利益の侵害)

不法行為による慰謝料請求をするためには、あなたの権利が侵害されていることが必要です。

人はみな、自分が誰と性的関係をもつか(もしくは、もたないか)を自由に決める権利があります。この権利を「貞操権」といいます。つまり、貞操権とは「誰と性的関係を結ぶか、もしくは、結ばないかを決定する性的自由」のことです。

交際相手が独身であることを信じ、「結婚前提のお付き合いだから」と肉体関係(性交渉)を許したケースで、実際には既婚者であったとき、「既婚者だと知っていれば肉体関係(性交渉)はしなかった」というのであれば、自由な選択権が侵害されていることとなります。

既婚者にだまされて、真実を知っていればしなかったであろう性的関係をもってしまったことは、重要な貞操権が侵害されていることを意味し、不法行為となります。

参考解説

損害、因果関係があること

不法行為による慰謝料請求をするためには、違法な行為によって損害を負っており、かつ、違法行為と損害との間に因果関係があることが必要です。

あなたが性的関係を持った後で「相手が既婚者だった」という真実を知ったときには大きな精神的苦痛を負うこととなります。そのため、だまして性的関係をもったときには、だました行為と、あなたの負った損害の間に因果関係があることは明らかです。

慰謝料請求をするとき、精神的損害とは「心のキズ」のことであり、目に見えません。そのため、損害の大きさを主張するためには、心療内科、精神科などへの通院歴、精神疾患の診断書などを証拠として準備しておくことが重要です。

また、交際中にDV・モラハラを受けたり、妊娠し、中絶していたりするとき、請求すべき損害はさらに大きくなります。

既婚男性にだまされたとき、慰謝料請求する方法

既婚者に慰謝料請求

既婚男性にだまされてしまった女性が、慰謝料請求をする方法について解説します。

慰謝料請求は、まずは協議によって請求し、話し合いによる解決が難しいときには訴訟に移行します。

家庭のある既婚者男性の多くは、妻に発覚することをおそれているため、話し合いによって解決できるケースも多くあります。しかし一方で、既婚であることを隠して女遊びをするような男の中には、満足に慰謝料支払いをしてこないことあります。

既婚者かどうか確認する

まず、慰謝料請求の前提として、既婚者であるかどうかを確認する必要があります。次のような事情があるとき、既婚者であることを疑うべきといえます。

  • 結婚指輪をしていた
  • 子どもの写真を待ち受けにしていた
  • 携帯やLINEをロックし、全く見せてくれない
  • 交際期間が長いのに、宿泊をまったくしてくれない
  • 家を教えてくれない
  • 夜になると連絡がとれなくなる

しかし、既婚であることを隠して性的関係を持つような男がが、結婚していることを素直に白状するわけもありません。

このようなとき、弁護士であれば、本名と住所を知ることにより、職務上請求という方法で住民票を取り寄せることができ、結婚しているかどうかを確認することができます。本名や住所が不明でも、弁護士会照会を利用すれば携帯番号などから確認できます(とはいえ、本名や住所すら教えてくれないとき、だまされていることを強く疑うべきです)。

交際相手が既婚者の疑いがあり、慰謝料請求を検討しているが、確かな証拠がないとき、まずは弁護士に相談し、調査が可能かどうか相談することがおすすめです。

既婚者だとわかったら、すぐに交際を中止する

調査の結果、既婚者だと判明したときは、すぐに交際を中止する必要があります。既婚者だと知ってからも交際を継続していたとき、次の2つのデメリットがあるからです。

  • 既婚者であることを知って交際したあなたにも非があるとして、慰謝料請求が認められない(もしくは、減額される)おそれがある
  • 不貞行為として、交際相手の配偶者から慰謝料請求を受けるおそれがある

既婚者だと知ったらすぐに交際を中止することで、「既婚だと知っていたら交際したり性的関係を持ったりしなかった」と主張できます。これに対し、真実を知った後も交際を続けていては、「仮にだまされていなかったとしても、交際していただろう」と反論を受けてしまいます。

不倫の関係になってしまったことについて、被害者側にも非があると評価されることは、慰謝料額を相場より低くしてしまうことにもつながります。

証拠を収集する

だまされたことが判明したとき、慰謝料請求するためには証拠収集が重要です。話し合いにより解決できないとき、訴訟での審理では証拠が重要視される上、重要な事実は、慰謝料請求をする側が証明しなければならないからです。

慰謝料請求するときに集めておくべき重要な証拠は、次のものです。

  • 交際相手が既婚者であったことの証拠
    :住民票、戸籍、妻とのLINEなど。収集が困難なとき、前章で解説したとおり、弁護士に依頼し、職務上請求、弁護士会照会などの収集方法を検討する必要があります。
  • 嘘をついてだましていた証拠
    :独身だとだました証拠として、LINE・メールで独身であることや将来の結婚をにおわせるようなやりとり、マッチングアプリで「未婚」と掲載していたこと、お見合いや結婚相談所など結婚を前提とした出会いであったことなど
  • 損害の大きさを証明する証拠
    :精神疾患の診断書、治療歴、カルテ。その他、だまされて交際したことで妊娠・中絶したなどの損害があるときは、堕胎手術をしたことを示す証拠など

証拠が十分に手元にないときや、そもそも相手の居所がわからないときに、探偵、調査会社を利用して調査した費用もまた、請求すべき損害に加算します。

交渉による慰謝料請求

まず、配達証明付き内容証明郵便の方法によって、交際相手に対して通知書を送付し、交渉による慰謝料請求を行います。

このとき、弁護士名義で通知書を送付してもらうことにより「支払わなければ訴訟に移行する」という強いプレッシャーを与えることができます。弁護士に依頼すれば、法律知識、交渉テクニックにより、できるだけ高額の慰謝料を獲得できるようサポートを受けることができます。

交渉の結果、慰謝料について合意が成立したときは、合意書(示談書・和解書)を作成します。支払いがなされないおそれがあるとき、合意書を公正証書化しておくことで、払われなかったときに強制執行(財産の差押え)を可能にし、支払いを確実なものにすることができます。

慰謝料請求訴訟

交渉による解決が難しいときは、慰謝料請求訴訟を起こすこととなります。

交渉では、たとえだまされていたとしても、まだ相手の妻には知られていない可能性もあり、直接出向いたり通知書を送ったりして相手の妻にもばれてしまうことが、逆効果となるおそれもあります。

しかし、相手が慰謝料支払いを拒否し訴訟になるときには、裁判は公開の法廷で行われ、また、訴状は住所に送達されるため、相手の家庭にも慰謝料請求の事実が知られることとなる可能性が高まります。

このことが、相手にとって大きなプレッシャーとなり、慰謝料請求訴訟を起こすことが解決を早めてくれる効果が期待できます。

既婚者にだまされたときの慰謝料の相場は50万円〜200万円

既婚者に「独身だ」とだまされて性的関係をもってしまったとき、請求すべき慰謝料の相場は、50万円〜200万円程度が目安です。

ただし、この相場はあくまでも目安であり、その事案における悪質性の程度、精神的苦痛の大きさなどの事情によって増額されたり減額されたりします。できるだけ多くの慰謝料を勝ち取りたいとき、慰謝料を増額する次の事情を証明する証拠を準備しておいてください。

  • 被害者となった女性の年齢
    :年齢が若く判断能力が低いこと、結婚適齢期であることといった事情は、損害を大きくする事情として考慮されます。
  • 加害者となった男性の年齢
    :成熟しており、違法行為を行うべきでないといった事情は、慰謝料を増額する要素としてはたらく一方、年齢がある程度上で「既婚だと気づくべきであった」という場合、女性の非が認められ、慰謝料が減額されるおそれがあります。
  • 交際期間が長いか、真剣交際であったかどうか
    :交際期間が長いほど、また、結婚を前提とした真剣交際であるほど、だまされたことによる損害が大きく、慰謝料が増額されます。
  • だます行為の悪質性
    :既婚かどうか確認されたのにあえて否定したなど、だます行為の悪質性が高いほど、慰謝料が増額されます。
  • 交際終了時の対応
    :だました男性側において、交際終了時に反省・謝罪するなどの誠意は、慰謝料を減額する事情として考慮されます。一方、女性側で、既婚であることが判明した後も付き合い続けたなどの非があるとき、慰謝料が減額されます。
  • 女性側に落ち度がなかったか
    :長期間付き合ったのに家に行くことを拒否されるなど疑わしい事情があるのに確認しなかったなど、女性側の落ち度が大きいときには、慰謝料が減額されます。

だましてきた既婚者への慰謝料請求の注意点

既婚者に慰謝料請求

より高額な慰謝料を勝ちとるためには、個別の事情に即して、相手からの反論や感情を踏まえ、交渉をうまく進めなければなりません。

そこで次に、だましてきた既婚男性に対して慰謝料請求するとき、注意しておいてほしいポイントについて解説します。

脅迫にあたらないよう注意する

既婚者にだまされた方の中には、しつこく電話したりLINEで暴言・罵倒したりして、「恐喝」、「脅迫といわれてしまう方もいます。真剣な思いをもてあそばれ許せない気持ちは理解できますが、常識はずれな請求をしてしまうと、連絡がブロックされ交渉がうまく進まないなど、逆に不利になるおそれがあります。

特に、まだ相手の妻に不倫・浮気がばれていないとき、慎重な対応が必要です。不倫の事実を相手の家庭にばらしてしまう方法には、次のとおりメリット・デメリットの双方があり、交渉をうまく進めるためには事案ごとの判断が必要となります。

メリット デメリット
  • 相手の配偶者からのプレッシャーが、慰謝料支払を促進してくれることがある
  • 相手の配偶者から、不貞行為による慰謝料請求を受けるおそれがある
  • 相手の資力が乏しいとき、家庭にばれることでますます慰謝料の支払いを受けづらくなる
  • 脅迫罪、恐喝罪、名誉毀損罪などにあたる可能性がある

既婚とは知らず、だまされて交際をしていたとしても、「よく注意していれば気づくことができた」といえるケースや、「既婚だと知った後も関係を持ってしまった」というケースでは、相手の配偶者からの慰謝料請求が認められるリスクがあります。

被害者だからといって、仕返しや報復を目的に過激な行動に出ることは、リスクのある行為であるためおすすめできません。法律で認められた「正攻法」である慰謝料請求により、確実に被害回復するようにしてください。

既婚者の妻から慰謝料請求されたときの対応

だまされて交際したときでも、既婚者と肉体関係(性交渉)をもってしまうと、その配偶者から逆に慰謝料請求をうけてしまうおそれがあります。

結婚している夫婦は、他の異性と性的関係をもってはならないという貞操義務をおっており、この義務に違反する不倫・浮気は「不貞行為」として慰謝料請求の対象となります。そして、この慰謝料請求は、不貞行為を行った夫(または妻)だけでなく、不貞相手に対しても請求されます。

ただし、既婚者男性が自分は独身だとだまして性的関係に及んだとき、だまされた側には責任がなく、慰謝料を払う必要はありません。このとき、単に「(既婚者であることを)知らなかった」というだけでなく、「過失なく知らなかった」と反論するためにも、次のポイントを検討してください。

  • 結婚する予定があるなど真剣交際であったことを示す証拠があるか
  • 疑わしい事情はなかったか
  • 既婚者であるかどうかを確認し、相手が否定してだましてきた証拠があるどうか

わかりやすくいうと、「なぜ独身だと信じて交際をしてしまったのか」という原因を検討していただき、その点について「過失なく信じた」といえる事情があるのであれば、慰謝料を払う必要はなく、十分な反論が可能だということです。

参考解説

「結婚を前提とする出会い」と主張するときの注意点

真剣な婚活パーティでは、独身女性をだます既婚者がまぎれこまないよう、「独身男女限定」をうたっています。運営母体がしっかりしているパーティでは、「独身証明書」などの公的証明を要求し、参加者が独身であることを確認しています。

ましてや、結婚相談所などでおこなうお見合いは「結婚に向けた交際」が当然の前提となりますから、独身女性をだます既婚男性の責任はさらに重いです。

結婚前提であることが当然とされる場所に、既婚者でありながら参加し、女性と交際を求めることは、それだけで、だましたことが明らかで、慰謝料請求する根拠になります。

したがって、婚活パーティやお見合いで知り合った男性と交際・性交渉した後、「実は既婚者であった」、「結婚する気はまったくなかった」というケースでは、慰謝料請求をご検討ください。

「もうすぐ離婚する」とだまされた時の慰謝料請求

男性の年齢が高いとき、「常識的に考えれば、既婚者なのでは」という女性の不安を解消するため、「独身」といつわるのではなく「バツイチ」といつわったり、「結婚しているが妻とうまくいっていない」、「もうすぐ離婚する」といってだます手口があります。

このような言い訳をされても、結局「離婚したら君と結婚したい」といつわりながら、実際には離婚することもなく、交際関係を続け、肉体関係を持ち続けた場合、だまされた側が精神的なダメージを負うのは当然のことです。

交際を解消するときには、のちに慰謝料請求をするときスムーズに進むよう、相手方男性の連絡先(電話番号、住所、本名)を特定しておくようにしてください。

男女問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

既婚者に慰謝料請求

今回は、既婚者男性に「独身だ」とだまされて真剣交際し、性的関係をもった後で嘘に気づいた女性に向けて、慰謝料請求をする方法と注意点を解説しました。

「将来結婚できる」と信じていた彼氏が実は既婚者だったと知ったとき、大きな精神的苦痛を負うことでしょう。悪質な行為を野放しにし、泣き寝入りしてしまわないよう、慰謝料請求によって被害回復を図ることが有効です。

結婚に向けて準備を進める女性にとって、若い時期はそれほど長くありません。「独身だ」と嘘をつき、大切な時間を台無しにした既婚者男性に対しては、その責任をきちんと償ってもらう必要があります。

交際している彼氏の嘘に気づき、慰謝料請求を検討している方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

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