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不倫の慰謝料は分割払いにできる?一括で払えないときの支払い方法

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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不倫の慰謝料を請求されても、経済的な理由から一括で支払えない人もいます。

しかし、「払えないから」と放置すれば、トラブルが深刻化し、訴訟などの法的手続きに発展するおそれもあります。請求された側は、まず慰謝料額が妥当かどうかを確認した上で、「これ以上の減額は難しい」という段階に至ったら、次に分割払いの交渉を検討してください。

適切に交渉すれば、請求側も「支払われないより良い」と考え、分割払いに応じる可能性があります。一方で、あまりに低額や長期の分割では合意が得られないでしょう。重要なポイントは、不貞行為の責任そのものを否定できないなら、誠実な態度で交渉することです。

今回は、不倫の慰謝料を分割払いにする方法や交渉の進め方と、一括で払えないときの支払い方法について、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 不倫の慰謝料を分割払いにするには、請求側のメリットを示して交渉すべき
  • 分割払いに応じる代わりに、違約金や連帯保証などと交換条件となることがある
  • 不倫の慰謝料を一括払いできなくても、支払計画を提案して誠実に対応する

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不倫の慰謝料は一括払いが原則

はじめに、不倫の慰謝料は、一括払いが原則であることを理解してください。

不倫・浮気は、配偶者以外の者と性的関係(肉体関係)を持った場合には「不貞行為」に該当します。この場合、不法行為(民法709条)として、それによって負った精神的苦痛について、配偶者とその不倫相手に慰謝料を請求することができます。

慰謝料の相場は100万円〜300万円程度が目安ですが、高額だと一括払いが難しく、分割払いを希望する人もいます。しかし、争いとなって、最終的に裁判所の判決で慰謝料が認められる場合、その支払い方法は一括が原則となります。被害を受けた側としても、一括払いを望むのが当然です。

被害者にとって、分割払いだと紛争が長期化し、将来の支払いが滞るおそれがあります。加害者にとってもリスクが増すため、可能な限り一括払いで速やかに解決するのがおすすめですが、現実問題として、分割でなければ支払いが難しい人もいます。

分割払いを申し出る前に確認すべきこと

相手から請求された不倫の慰謝料を一括で支払えない場合でも、分割払いの交渉を始める前に、そもそも支払う義務があるか、請求額が妥当かを確認すべきです。たとえ不倫が事実でも、相手の要求を安易に受け入れると、不利な条件で合意してしまうおそれがあります。

不倫の慰謝料を支払う義務があるか

そもそも、不倫の慰謝料を支払う義務があるかどうかを確認しましょう。

不倫・浮気が事実でも、状況によっては慰謝料を支払う義務がないケースもあります。このとき、安易に分割払いを申し出ると、慰謝料の支払い義務を認めたとみなされるおそれがあります。例えば、次の場合、慰謝料の支払い義務を争うべきです。

  • 交際相手が既婚者だと知らず、過失もない場合
  • 別居などにより、相手の夫婦関係が既に破綻していた場合
  • 請求側の証拠が十分ではない場合

ただし、既婚者だと知らなかったという反論をするには過失がなかったことが必要であり、「注意すれば気付くことができた」という場合には責任が認められる可能性が高いです。また、裁判では「破綻」について厳しく審理されるため、不倫相手から「妻とうまく行っていない」「近いうちに離婚するつもりだ」などと聞いていただけでは、責任は免れません。

請求された慰謝料の額は妥当か

不倫の慰謝料について、相場を超えた額を請求されるケースは少なくありません。

慰謝料の額は、前述の通り、100万円〜300万円程度が相場ですが、相手が離婚したかどうか、不倫の期間や回数、婚姻期間の長さなどによって増減します。そのため、相手の請求額について、個別の事情に照らして妥当かどうかを、分割交渉をする前に精査してください。過大な請求の場合、分割交渉よりも前に、適正な金額への減額交渉を試みるべきです。

不倫の慰謝料を分割払いにする方法

次に、不倫の慰謝料を分割払いにする方法について解説します。

分割払いを求める理由を説明する

不倫の慰謝料の分割払いは、話し合って合意で実現する必要があります。

そのため、相手に受け入れてもらうには、分割払いを求める理由を説明し、誠実に交渉しなければなりません。ただ、不倫をしたという事実がある以上、「お金がないから払えない」という伝え方は自分勝手であると受け取られ、感情的な対立を招くおそれがあります。

重要なことは、謝罪や反省の姿勢を見せた上で、具体的な計画を提案し、将来の支払いを確実に行うことを約束する点にあります。

具体的な支払い計画を提案する

不倫の慰謝料の分割払いについて被害者に合意してもらいやすくするために、具体的な支払い計画を提案しましょう。誠意を感じてもらうには、次の点に注意してください。

  • 可能な限り短期の分割とする。
  • 最初に頭金として一定額を支払うことを提案する。
  • 支払いが滞らないよう現実的なプランとする。

また、交渉の過程が記録に残るよう、書面で提案することも重要です。双方が納得できる内容とするために、支払い期限や支払額について、次のように定める例が多いです。

支払い期限

通常、1ヶ月に1回、毎月定期的に支払うことを約束します。

給料日などを考慮し、月末や25日などを支払日と定めるケースが多いです。定期的に期限を設ければ、習慣化させて将来の支払いを怠らないようにさせるとともに、滞納があったら直ちに対策を講じることができます。

支払額

毎月の支払額は、収入や生活費を考慮した現実的な額を設定してください。

あまりに少額かつ長期の分割では交渉に応じてもらえない可能性がありますが、無理な計画になっては元も子もなく、生活への支障と、相手への配慮のバランスが大切です。一般に、月の支払額は、毎月の給与の手取り額から固定費(家賃など)を控除した額の3分の1程度を目安とします。また、長すぎる期間は被害者にとって不安要素となるため、5年以内程度が目安とされています。

求償権の扱いを決めておく

不倫は、配偶者と不倫相手が共同で行う不法行為なので、慰謝料を全額支払った場合、不倫相手に負担割合に応じた額を請求できる権利(求償権)があります。被害者との合意の際、この求償権を放棄することを条件として求められるケースがありますが、同意すると後から不倫相手に請求できなくなるため、慎重に判断してください。

今後の接触禁止やデータ削除を取り決める

分割払いで合意する場合、金銭的な支払い条件だけでなく、その後のトラブルを未然に防ぐための誓約事項を定める例があります。例えば、今後一切の面会や連絡を絶つという「接触禁止」、相手の連絡先や不倫関係時に撮影した写真や動画などの「データ削除」に関する取り決めです。

分割払いの期間中は相手との関係が完全に断ち切れないため、このようなルールを明記して被害者の不安を取り除くことが、分割払いの交渉を円滑に進める役に立ちます。なお、「浮気・不倫の誓約書の書き方と注意点」も参考にしてください。

必ず合意書を作成する

不倫の慰謝料について分割払いの合意が成立したら、必ず合意書を作成してください。

一括払いが原則であり、分割払いは双方の合意によって行われる例外的な扱いなので、条件を合意書にまとめて証拠化する必要があります。合意書には、次の事項を定めてください。

  • 不倫の慰謝料の総額
  • 分割払いの条件(毎月の支払額・支払い期限・支払い方法など)
  • 支払いが滞った際の対応(遅延損害金、違約金、期限の利益喪失など)
  • 守秘義務条項
  • 清算条項

合意書を作成することで条件を明確化し、後々のトラブルを防止できます。支払う側でも、清算条項を定めることで最終解決とし、追加の請求を防ぐことができます。全額の支払いを完了したら、完済証明書や受領書などを発行してもらい、支払いの終了を証明する方法もあります。

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不倫の慰謝料の分割払いを滞納した場合のリスク

弁護士

次に、不倫の慰謝料の分割払いを滞納した際のリスクを解説します。

分割払いは、支払いを受ける側にとって「将来の支払いが確実にされる保障がない」というデメリットがあるので、未払いには様々なペナルティが付されます。そのため、約束した分割払いを滞納すると、大きなリスクがあります。

強制執行される可能性がある

不倫の慰謝料の分割払いが滞った場合、被害者側が法的措置を講じる可能性があります。訴訟で負けて判決が確定すると、強制執行に進み、財産を差し押さえられるリスクがあります。また、公正証書化していると、裁判を経ずに強制執行を行うこともできます。

滞納した期間分の遅延損害金が発生し、支払額が増えるリスクもあります(民法上は年利3%ですが、合意書でこれより高い利息を定めるケースもあります)。また、分割払いの合意には「期限の利益」(期限まで支払いをしなくてもよい利益)がありますが、約束を破ると期限の利益を喪失し、未払分を含めた全額一括払いとするという条項を記載するのが通例です。

以上のことから、未払いとなると、分割払いにしたことで、かえって多額の支払いをしなければならない事態に陥ります。

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信用を失ってしまう

分割払いを約束したのに滞納が生じると、相手との間で築いた信頼関係は崩れます。

一度支払いを怠って信頼関係が失われると、再交渉して支払期間を延長したり、分割払いを設定し直したりするのは困難になります。被害者側も、一度譲歩して分割払いとしたのに支払われない結果となった場合、新たな条件を受け入れてはくれないでしょう。

連帯保証人を付した場合、支払いが滞ると、保証人にも請求が及びます。これにより、保証人に経済的負担を生じさせ、保証人との人間関係が悪化するリスクもあります。裁判に発展した結果、不倫の事実が周囲に知られ、社会的信用や人間関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。

不倫の慰謝料を分割払いにする際の注意点

ポイント

次に、不倫の慰謝料を分割払いにする際の注意点を解説します。

被害者との交渉では誠意を見せる

不倫の慰謝料の分割払いを希望するなら、被害者との交渉では誠意を見せるべきです。

不貞行為を示す十分な証拠があり、否定するのが難しいケースでは、言い訳をせず反省の意思を伝えるべきです。交渉の際も、丁寧な態度を心がけましょう。約束通りの支払いが難しいことが明らかになった場合も放置はせず、早めに伝え、支払い計画の変更を申し出ることで信頼関係の維持に努めてください。再交渉の際は、次の点に注意して進めましょう。

  • やむを得ない理由があることと伝える(事故や病気、親族の介護など)。
  • 支払いの確実性を上げる提案をする(連帯保証人を立てる、違約金を定めるなど)。

支払いを受ける側も、強制執行や財産の調査には手間と時間がかかる上、必ず満額回収できるとも限りません。したがって、誠意ある態度で交渉を続ければ、分割計画を見直すなど、再交渉を受け入れてもらえる可能性は大いにあります。

現実的に無理のない支払い計画を立てる

一方で、現実的に無理のない支払い計画を立てることも重要です。

「誠意」とは決して「無理をすること」ではありません。むしろ、無理な約束をした結果、将来の滞納につながると、ますます信頼を失ってしまいます。毎月の収入や生活費を考慮するのはもちろん、突発的な緊急の支出がある可能性も想定し、無理のない計画になっているかを確認してください。

弁護士に相談すれば、依頼者の収支をヒアリングし、過去の事例や経験を踏まえ、継続的に支払える計画かどうかを確認することができます。また、相手の要求が過大でないかもアドバイスできるので、不安なときは、合意を締結する前にご相談ください。

不倫の慰謝料の分割払いのよくある質問

次に、不倫の慰謝料の分割払いについて、よくある質問に回答します。

不倫の慰謝料の分割払いに利息は発生する?

分割払いの約束を慰謝料を受け取る側に納得したもらうために、利息を付すケースは少なくありません。未払いとなった場合は、遅延損害金を約束する例もあります。民法の法定利息は年3%ですが、当事者の合意で異なる率とすることも可能です。

不倫の慰謝料は踏み倒せる?

約束が守れなさそうでも、不倫の慰謝料を踏み倒すのはリスクがあります。既に合意書を交わしている場合、支払いを免れるのは難しいと考えるべきです。

合意書の締結後に訴訟された場合、書面化された内容を否定することはできません。したがって、既に認めた不倫や浮気の事実は、なかったことにはできません。

その結果、あまりに不当な内容や過剰な要求を強制された場合でもない限り、合意書通りの支払いを命じる判決となる可能性が高いです。さらに、公正証書を作成した場合は、裁判を経ずに強制執行されてしまいます。

分割払い中に一方が転居した場合は?

被害者や加害者の一方が転居しても、分割払いが続くのは当然です。ただ、不倫の慰謝料を分割払いにすると、支払い完了まで連絡を取れる状況にしておく必要があります。

そのため、分割払いを約束する際には連絡先を交換したり、住所が変更したら知らせる義務を合意書に定めたりしておくことが重要です。

分割払いの途中で収入が減少したら、条件を変更できる?

不倫の慰謝料の分割払いは、途中で支払いが難しくなっても、一方的な条件変更はできません。分割払いが互いの合意で成り立つ以上、変更するにも同意が必要です。

したがって、支払いが難しい場合、被害者と再度交渉し、支払額や期間の変更を申し出る必要があります。信頼を損なわないよう誠実に状況を説明することが重要です。同様に、支払いを受ける側としても、理由なく分割払いの合意を撤回して一括払いを強制することはできません。

不倫の慰謝料の分割払いは拒否できる?

不倫の被害者側の視点で解説すると、加害者(配偶者や不倫相手)から分割払いを求められたとしても、拒否する権利があります。あくまで一括払いが原則なので、分割払いを容認することによって自分が得をするような提案がない限り、分割払いに応じる必要は全くないといってよいでしょう。

不倫の慰謝料の分割交渉は弁護士に相談・依頼すべき理由

弁護士法人浅野総合法律事務所

不倫の慰謝料の分割払いを交渉する際は、弁護士に依頼するのがおすすめです。

不倫の慰謝料は一括払いが原則であり、支払う側が希望しても分割が当然に認められはしません。不倫によって精神的苦痛を受けた被害者にとって、「一括では払えないので分割にしてほしい」といった求めは感情的に受け入れがたく、当事者間の話し合いが難しいことも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、収入や資産、毎月の生活費などを踏まえ、現実的な条件を提示できます。一括払いが困難な事情について、第三者の目線から相手に説明し、毎月の支払額や支払期間などの条件について、代理して交渉することが可能です。

当事務所では、不貞慰謝料の問題について、請求された側でも豊富な解決実績があります。現実的に一括払いが難しいケースで、減額や分割払いの交渉に成功した事例を数多く有しています。「支払う意思はあるが一括払いはできない」「相手が分割払いに応じてくれない」といった場合、当事者同士の交渉で問題をこじらせる前に、早めに弁護士へ相談してください。

【まとめ】不倫の慰謝料の分割払い

今回は、不倫の慰謝料を分割払いにすることができるかについて解説しました。

慰謝料を一括で支払えないとき、分割払いとするには誠実な交渉が不可欠です。前提として、慰謝料を支払う義務があるか、請求が相場通りかといった点は事前に吟味しておきましょう。

不貞行為の責任を認めざるを得ない場合、一括が難しいなら分割払いとせざるを得ませんが、相手から交換条件として、違約金や連帯保証人などを提案されることがあります。そのため、できる限り一括、もしくは、最初にまとまった金額を支払う方が、交渉を有利に進められます。

したがって、分割払いを合意する場面では、将来のトラブルが拡大させないために、不倫慰謝料の交渉を弁護士に依頼するのが賢明です。お悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この解説のポイント
  • 不倫の慰謝料を分割払いにするには、請求側のメリットを示して交渉すべき
  • 分割払いに応じる代わりに、違約金や連帯保証などと交換条件となることがある
  • 不倫の慰謝料を一括払いできなくても、支払計画を提案して誠実に対応する

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