痴漢で刑事事件化されたとき、放置しておくと逮捕されたり、起訴されて前科が付いたりといった不利益を受けてしまいます。
痴漢をしたことを認めるなら、最優先で行うべき弁護活動が「示談」です。示談が成立すれば、有利な情状として考慮され、逮捕・勾留により身柄拘束されているなら早期釈放、不起訴処分による前科の回避といった有利な解決を目指せます。
ただし、示談交渉を円滑に進めるには、示談金の相場を知る必要があります。相場を理解しておかないと、処罰感情の強い被害者から高額な示談金を要求され、交渉が長期化するおそれがあります。示談を成功させるには直接交渉はできず、弁護士に依頼する必要があります。
今回は、痴漢の示談金の相場、交渉の流れや示談書の作成方法を弁護士が解説します。示談金の相場は、加害者はもちろん被害者も、適正な補償を受けるために知っておくべきです。
- 痴漢を認めるケースは、示談交渉を最優先で速やかに進めるべき
- 痴漢の加害者は被害者と直接接触できないので弁護士に示談を進めてもらう
- 痴漢の示談金の相場は30万円〜150万円が目安だが、悪質さにより異なる
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痴漢の示談とは

まず、痴漢の示談の基本について解説します。
示談とは、罪を犯した人が被害者に謝罪し、示談金を払って解決する方法です。裁判にせず、当事者間で争いを解決するための和解や補償を意味し、刑事弁護の一環としてよく用いられます。示談では、加害者が反省と謝罪を伝えて示談金を払い、被害者はこれを受け入れ、宥恕します。
痴漢は、公共の場での不適切な身体接触であり、不同意わいせつ罪(刑法176条)や迷惑防止条例違反となる犯罪行為です。刑事手続きが進むと、逮捕されたり、起訴されて前科が付いたりするため、このような事態を避けるために、示談活動が重要です。
痴漢で示談するメリット・デメリット
示談は、刑事弁護活動の一環として非常に重要な役割があります。
示談が成立すれば、犯罪行為について逮捕や勾留といった身柄拘束を受けず、拘束されている場合には早期釈放、不起訴によって前科を回避するといった効果が期待できるからです。
【痴漢で示談するメリット】
- 迅速な解決により精神的な負担が軽減できる。
- 身柄拘束されない(拘束されている場合は早期に釈放される)。
- 厳しい処罰を回避できる。
【痴漢で示談するデメリット】
- 示談金を支払わなければならない。
- 無罪を主張して争うことはできない。
- 社会的な非難を受ける可能性は否定できない。
痴漢をはじめとする「被害者のいる犯罪」では、示談のメリットは非常に大きいです。
示談できれば、被害者の処罰感情が薄れ、被害の補償が果たされたことを意味します。これにより、逮捕・勾留から早期に釈放される可能性が上がり、不起訴処分となり、前科を回避することが期待できます。なお、行為態様が悪質な場合や常習の痴漢だと、示談しても処罰されるケースもありますが、罰金刑や執行猶予などといった軽い刑を勝ち取るためにも示談が有効です。
刑事の示談と民事の和解の違い
「裁判になる前に、当事者間の話し合いで解決する」という方法には、刑事の「示談」と民事の「和解」があります。痴漢行為は、刑事罰を受ける犯罪行為であると共に、民事的にも不法行為(民法709条)に該当し、慰謝料などの補償を請求することができます。
痴漢において示談をすることは、刑事手続きを有利に進める情状となるほか、民事的な側面でも、被害者に対する適切な補償や被害回復を意味します。
したがって、痴漢の示談交渉は、刑罰を軽くするといった効果のほかに、民事の和解の意味合いも有し、慰謝料などの損害賠償についても一括して解決する効果があります。
「痴漢は何罪?」の解説

痴漢の示談金の相場と増額・減額する事情

痴漢の示談金の相場は、30万円〜150万円程度が目安です。
痴漢の示談を進めるにあたり、示談金の相場を知っておかないと、過大な請求に応じて損をしてしまったり、逆に低すぎる提案をして被害者を怒らせたりといった危険があります。
ただし、示談金に一律の基準はなく、痴漢行為の態様や悪質さ、被害の程度などによって変動するので、裁判例や過去の統計などをもとに適切に判断しなければなりません。痴漢事件を多く扱う弁護士に相談すれば、過去の経験や解決実績を踏まえ、ケースに応じた適切な示談金額についてアドバイスをもらうことができます。
迷惑防止条例違反の示談金の相場
痴漢の被害が軽微な場合、比較的低い示談金額で解決されます。
「服の上から胸を触る」といった軽度の痴漢は、迷惑防止条例違反に該当する犯罪であり、この場合の示談金の相場は30万円〜50万円程度が目安です。ただし、刑事罰が軽いからといって被害が小さいとは限りません。また、「相場だから」などと押し付けて示談しようとしても、必ずしも減額に応じてもらえるとは限りません。
不同意わいせつ罪の示談金の相場
痴漢行為が悪質で、精神的苦痛が大きい場合、示談金が高額になる傾向があります。
「下着の中に手を入れて性器を触る」といった重度の痴漢は、不同意わいせつ罪に該当する犯罪であり、この場合の示談金の相場は50万円〜150万円程度が目安です。また、被害者の処罰感情が強く、感情的な対立から「お金の問題ではない」などと言われ、相当高額の提案をしてもなかなか示談交渉が進まないケースも少なくありません。
痴漢の示談金の相場を増額・減額する事情
痴漢の示談金の相場には、様々な要因が影響します。以下の事情によって、示談金の相場は増額されたり減額されたりすることがあります。
示談金について加害者と被害者が合意しないと示談は成立しません。そのため、適正な示談金の相場を知り、増額・減額の考慮要素を知ることは、双方にとって非常に重要です。
痴漢の加害者側で、少しでも示談金を低く抑えたいなら、裁判例や過去の解決実績から、弁護士にアドバイスしてもらうのが効果的です(なお、「妥当な額」に固執しすぎて示談を不成立にさせてしまってもよいのか、メリット・デメリットを比較してよく検討してください)。
痴漢行為の悪質さ
行為の態様(不同意わいせつ罪か、迷惑防止条例違反か)、頻繁に繰り返されているか、計画性があるか、といった悪質さが影響します。
痴漢による被害の程度
被害者の身体的・精神的な被害の大きさや、その影響が長期にわたっているかどうかが考慮されます。痴漢が被害者のトラウマとなり今後の生活の支障となるケースでは、示談金が高額になる傾向があります。
被害の程度が大きい痴漢では、民事的な損害賠償も高額となると予想されます。
被害者の年齢
被害者が若年であるほど示談金は高額化する傾向があります。特に、未成年の被害者は抵抗が困難であり、精神的な苦痛が非常に大きいと考えられます。
被害者の処罰感情
被害者がどの程度の補償を求めるか、示談交渉で強く権利主張するかどうかが影響します。証拠が充実していたり、被害者が弁護士を依頼して適切な補償を求めたりするほど、要求される示談金は高くなります。
身柄拘束や前科の有無、予想される刑罰
身柄拘束されていると、早期に釈放されるためにある程度高額な示談金を払わざるを得ないケースもあるでしょう。また、前科がある方が厳罰になりやすいため、示談金も高額化する傾向があります。
予想される刑罰の見込みが重いほど、不起訴で終えられるという示談のメリットが大きく、示談金を増額することが多いです。なお、迷惑防止条例違反となる軽度の痴漢で罰金刑が予想される場合、その見込額も示談金を判断する際の参考となります。
加害者の資力や社会的地位
資力があり、支払い能力があるほど、示談金は増額される傾向にあります。また、社会的地位がある人は失うものも大きく、高額の示談に応じがちです。
加害者の反省や再発防止策の有無
加害者が事件発生後に示した反省の度合いや謝罪の意識、再発防止に向けた具体的な取り組みが評価されることもあります。反省が不十分であったり、再発防止策が不明確な場合、示談金額は高めに設定されることが一般的です。
痴漢の示談交渉の具体的な流れ

次に、痴漢で示談交渉するときの実際の流れについて解説します。
示談をすれば早期釈放に繋がるので、身柄拘束されたケースでは特に、示談交渉を速やかに進めることが重要です。事件発生から長期間放置すると、被害者の処罰感情が高まり、容易には示談に応じてもらえなくなるおそれもあります。
弁護士に依頼する
痴漢事件では、被疑者(または被告人)が被害者と直接会って示談交渉を行うことはできません。逮捕・勾留によって身柄を拘束された場合はもちろん、在宅事件でも、直接接触すると再犯が危険視されるからです。
そのため、痴漢示談の際は、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。弁護士は、捜査機関(警察・検察)に被害者の連絡先を確認し、被害者に連絡を取った上で示談交渉を開始します。経験豊富な弁護士なら、被害者の状況に応じた適切な話し方や態度を心がけ、示談が成立しやすいよう工夫して交渉を進めます。
示談を申し入れる
示談交渉を担当する弁護士は、捜査機関(警察・検察)を通じて、被害者に示談の意向があることを伝えます。被害者が交渉に応じる場合、弁護士に連絡先が提供されますが、被疑者(または被告人)には伝えません。
連絡先を入手した後、弁護士は速やかに被害者に連絡し、示談の意向と謝罪、そして反省の気持ちを伝えます。この段階で「金銭で解決しよう」という意図が前面に出ると被害者に不快感を与えるおそれがあるので、すぐに示談金の話をするのではなく、まずは謝罪の意を伝えるのが重要です。
謝罪文を作成する
痴漢の示談では、被害者と直接会うことはできないので、謝罪と反省の意思を伝える手段として、謝罪文や反省文を作成し、弁護士を通じて被害者に渡します。
謝罪文や反省文は、自分の言葉で、誠意が伝わるように書くことが重要です。インターネット上には多くの例文がありますが、定型的で形式的な書式では反省の気持ちが十分に伝わらず、示談に応じるのをためらう被害者もいます。
たとえ文章が拙くても、自分自身で一から作成することが望ましいでしょう。
被害者と弁護士の面談
痴漢示談のプロセスの中で最も重要なのが、被害者と弁護士の面談です。
示談交渉は、基本的に被害者の都合に合わせて面談の場を設け、対面で進める流れが基本です(なお、被害者が未成年である場合や、精神的に面談が難しい状態にある場合は、電話やメール、被害者の家族を窓口にした交渉を行うこともあります)。
面談では、改めて加害者の反省を伝え、事前に本人が作成した謝罪文や反省文を手渡します。その上で、示談が被害者にもメリットがあることを説明し、交渉を進めます。具体的なメリットには、以下の点が挙げられます。
- 早期の被害回復を実現できる。
- 被害に対する適正な補償を受けられる。
- 接近禁止や再発防止などの被害者の要望を遵守させられる。
- 守秘義務を取り決めることができる。
示談交渉で「捕まりたくない」「処罰を避けたい」「刑を軽くしたい」といった加害者側の都合を優先したり、解決を急いだりすると被害者の心情を害し、交渉が難航するリスクがあるので、誠実に対応しなければなりません。
示談書を作成する
被害者との間で示談の条件が合意に達したら、示談書を作成します。
示談書は、被害者と示談が成立したことを証拠に残して、捜査機関(警察や検察)、裁判所に対して有利な情状を主張するのに必須のものです。民事の損害賠償請求も一括解決するために、清算条項を記載するのが通常です。
被疑者・被告人が身柄を拘束されている場合、弁護人が代理して署名押印します。
痴漢の示談書には、次のような条項を記載します。
- 痴漢行為の内容
- 反省と謝罪
- 宥恕文言(被害者が「許す」という内容)
- 示談金の金額、支払い方法、支払期限
- 守秘義務
- 接近禁止
- 清算条項
示談書の具体的な内容は、次章「痴漢の示談書の書き方と注意点」で解説します。
示談金を支払う
示談金は、示談書作成後に口座振込する方法、または示談書作成時に現金を手渡しする方法が多いです(いずれの方法にするかは被害者の意向を尊重して決めます)。記録を残すために、示談書に支払い方法を明記し、支払いの事実の証拠を残してください。具体的には、口座振込の場合は振込明細、現金交付の場合は領収書を保管しておきます。
示談が成立しても、示談金の支払いが完了するまでは、捜査機関(警察・検察)において有利な情状として考慮されづらいため、支払いはできるだけ速やかに行うべきです。
なお、被疑者・被告人が身柄を拘束されていて、自身で支払うのが困難な場合は、家族など支払いを代行できる人を探して手続きを進めます。
捜査機関に示談成立を報告する
最後に、示談の成立を捜査機関に報告し、情状として考慮するよう求めます。
この際、示談書と共に、示談金の支払いを証明する振込明細や領収書を提出します。加えて、早期釈放や不起訴処分を求める弁護士の意見書を提出するのも効果的です。
示談は、罪を認めて反省していることを意味し、逃亡や証拠隠滅のおそれはないということを示すことができます。
検察官は、示談が成立したことやその内容、示談金の支払い状況などを総合的に考慮して、刑事処分を決定します。初犯の痴漢で、示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性が高いでしょう。
痴漢の示談書の書き方と注意点

次に、示談交渉が成立した際に作成すべき示談書について解説します。
痴漢の示談書は、示談交渉で合意した内容を文書化し、被害者と加害者の権利や義務を明確にするための重要な文書です。後にトラブルとならないよう、慎重に作成してください。
痴漢の示談書の書式例
痴漢の示談書の書式例について、テンプレートを紹介します。
示談書
◯◯◯◯(被害者、以下「甲」という)と、◯◯◯◯(加害者、以下「乙」という)とは、以下の通り示談した。
第1条 乙は甲に対し、本年◯月◯日の◯時頃、◯◯駅付近にて、着衣の上から尻を触るなどの痴漢行為を行ったことを認め、真摯に謝罪する。
第2条 甲は、乙の謝罪を受け入れ、乙を宥恕し、処罰を求めない。
第3条 乙は甲に対し、示談金◯◯◯万円を本日現金にて交付し、甲はこれを受領した。
第4条 乙は、今後甲に接近せず、見かけた場合には直ちにその場を立ち去るものとする。また、本日以降、通勤などの理由があっても◯◯駅を使用しないことを約束する。
第5条 甲及び乙は、本示談書の内容及び作成経緯について相互に秘密を守り、正当な理由なく第三者に口外しないことを確約する。
第6条 甲及び乙は、本件について一切の債権債務が存在しないことを相互に確認する。
【作成日付・署名押印】
示談書を締結すると共に、「宥恕する(許す)」という一筆があったり、減刑を嘆願する旨の文言(減刑嘆願書)があったりすると、より有利な情状として考慮されます。
痴漢の示談書を作成する際の注意点
痴漢の示談書では、事件の発生日時、場所、状況など、事実関係を正確に記録してください。曖昧な記載があると、後の紛争に繋がる危険があります。また、支払い方法についても、できるだけ早期に一括払いとするのがお勧めです。
あわせて、被害者目線では、再発防止の取り決めが重要です。同様の犯罪を起こさないためにも、接近禁止や通勤ルートの変更など、要望を伝えることが多いです。また、被害者、加害者いずれにとっても、第三者に漏らさないことを約束して、プライバシーを保護すべきです。
テンプレートを使用すると漏れや不備は少なくなりますが、自身のケースに応じた修正、追記が必要となるため、弁護士に依頼するのが最善です。
痴漢の示談交渉を有利に進めるためのポイント

次に、示談交渉を有利に進めるために知っておきたいポイントを解説します。
痴漢の示談交渉は、円滑に進むケースばかりではありません。被害者の気持ちに寄り添い、冷静に対応するのが基本であり、うまくいかない事例の対処法を理解しておいてください。
示談交渉を拒否された場合の対応
被害者が示談交渉そのものを拒否した場合、強引に進めるのは逆効果です。
痴漢の直後など、動揺していたり感情的な対立があったりするときは、一旦、示談交渉をストップして状況を見極めるのも重要です。一定の時間を置いてから再び示談を申し入れることで、被害者の気持ちが和らぎ、示談に前向きになってもらえるケースもあります。
具体的な示談金額の提案を行うことが突破口になる場合もあります。最初からお金の話をするのは良くないですが、謝罪を重ね、反省の態度を見せても示談が進みそうもないなら、示談条件を明確に伝えるべきタイミングもあります。
いずれにせよ、一度拒否されたからといってあきらめるのではなく、誠意を示しながら粘り強く交渉を続けることが大切です。
相場を超える高額な示談金を要求された場合の対応
被害者の処罰感情が強いケースでは、相場を大きく上回る示談金を要求されることがあります。
要求額が高すぎるとしても、示談に応じるかどうかは双方の合意で決まります。「相場に合わない」という理由で減額交渉するのも限界があり、加害者側は「示談しない」ことを選択できるに留まります。したがって、要求額が過大なときは、示談を断念せざるを得ないケースもあります。
たとえ示談が成立しても、必ずしも希望通りの解決になるとは限りません。例えば、示談しても起訴されたり、略式起訴されて罰金刑となったりと、前科が回避できないケースもあります。そのため、法外な示談金を払ってまで示談を成立させるのが最善とは限りません。
相場を超える高額な示談金を要求されて示談できないときは、捜査機関に対し、「示談が成立しないのは被害者の高額請求が理由であること」「適正な金額なら示談に応じる意思があること」を報告することで、誠意ある示談交渉を行ったと評価され、一定の情状として考慮される可能性があります。
示談が成立しなくても被害弁償を行うケース
示談金の支払いは刑事事件に関するものですが、痴漢行為は民法上の不法行為(民法709条)にも該当するため、被害者は精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。
被害者が示談に応じない場合や、希望額に大きな差がある場合、示談が成立しなくても被害弁償として一定の金銭を支払うことで、捜査機関に対する情状のアピール材料とすることができます。この場合、被害者が許したことを示す「宥恕文言」付きの示談書を取り交わせないので、被害弁償として金銭を支払った事実を証拠化すると共に、弁護士の意見書を提出するのが有効です。
痴漢の示談についてよくある質問
最後に、痴漢の示談についてのよくある質問に回答しておきます。
痴漢で示談しないとどうなる?
痴漢で示談しないと、起訴されて刑事裁判となり、証拠に基づいて有罪か無罪か判断され、懲役刑や罰金刑などの判決が下ります。不同意わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」、迷惑防止条例違反の場合は地域によりますが、東京都の条例では「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。
有罪判決が下された場合には前科となります。そのため、事案によって、無罪を主張して前科を回避することを目指すか、もしくは、執行猶予などの軽い判決を目指すことを目標として裁判に対応する必要があります。
なお、示談しなかったからといって「必ず起訴される」わけではなく、軽微なケースは示談しなくても不起訴となったり、略式起訴が選択されたりする例もあります。
痴漢の前科があっても示談すべき?
痴漢の前科がある場合、再び起こしてしまった痴漢事件では更に厳しい処罰が予想されます。そのため、初犯の場合にもまして、示談を成立させる必要性は高いと考えることができます。
ただ、前科のある痴漢事件の場合には、前回に誓った再犯防止を破ったこととなるので、裁判所では厳しく評価されるリスクがあります。弁護士と十分に相談して、慎重に対応しなければ重大な処分を下されかねません。
「痴漢の常習における弁護活動」の解説

痴漢の冤罪でも示談すべき?
痴漢の示談は、加害者が罪を認めて謝罪することを前提とします。そのため、冤罪を主張する場合、つまり「痴漢をしていない」と考えているなら、示談はできないのが原則です。被害者も「罪を認めないなら示談には応じられない」と考えるので、中途半端な示談提案には応じてくれないでしょう。
ただし、例外的に、冤罪でも示談が成立するケースもあります。
- 「身体に触れてしまったのは事実だが、不可抗力であり故意はなかった」
- 「下着には手を入れていないが、着衣の上から触れてしまった」
というように、「故意の有無」や「痴漢行為の態様」について加害者と被害者の認識に違いがある場合に、「触った」「迷惑をかけた」「不快な思いをさせた」といった争いのない部分に絞って謝罪することで示談を成立させられるケースです。
このような限定的な示談でも、早期釈放や不起訴処分を得るための有利な情状として、一定の効果は期待できます。
「痴漢を疑われたら?」の解説

まとめ

今回は、痴漢の示談について、示談交渉の具体的な流れと、示談金の相場を解説しました。
痴漢事件では、示談の成立が早期釈放や不起訴処分の獲得にとって有利な要素となることが多くあります。しかし、事件の性質上、加害者本人が被害者と直接交渉することはできず、弁護士を通じて示談を進める必要があります。
この際、示談交渉を円滑に進めるには、示談金の相場を理解しておかなければなりません。示談を速やかに成立させて、刑事処分について有利な結果を目指すには、痴漢事件の示談交渉に精通した弁護士に依頼することが重要です。
- 痴漢を認めるケースは、示談交渉を最優先で速やかに進めるべき
- 痴漢の加害者は被害者と直接接触できないので弁護士に示談を進めてもらう
- 痴漢の示談金の相場は30万円〜150万円が目安だが、悪質さにより異なる
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性犯罪の事件では、その重大性や社会的な影響を理解し、適切な対応をする必要があります。被疑者・被告人側、被害者側のいずれであっても、決して軽んじることなく慎重に対応しなければなりません。
性犯罪に関する以下の解説を参考に、正しい対処法を理解してください。