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加害者から示談を持ちかけられたら?被害者側が示談に応じる際の注意点

刑事事件の被害に遭うと、加害者やその弁護士から示談を持ちかけられることがあります。

相談者

示談に応じておいた方がよいのか

相談者

納得いかないから示談は断りたい

被害者になった上に、更に不当な扱いを受けないかと不安を抱く方は少なくありません。

刑事事件の示談は、加害者にとっては有利な情状とされますが、被害者には慎重な判断が求められます。示談金を受け取れるメリットはあるものの、決して簡単な選択ではなく、内容を理解せずに応じてしまうと、本来受け取れるはずだった補償を失い、後悔するおそれもあります。

今回は、刑事事件において、加害者から示談を持ちかけられた被害者が知っておくべき知識や対処法について、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 加害者から持ちかけられた示談に安易に応じると、後悔するおそれがある
  • 示談の成立は、起訴や量刑の判断に大きく影響する重要な事情となる
  • 清算条項付きの示談書を締結すると、原則として将来の請求はできなくなる

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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加害者から示談を持ちかけられたら?

刑事事件における示談の基本から解説します。

刑事事件の被害者になると、加害者本人やその弁護士から「示談をしたい」と持ちかけられることがあります。示談の申入れは加害者の意向で行われますが、被害者としても、その意味や影響を理解して対応することが重要です。

刑事事件における示談とは

示談とは、犯罪被害について、被害者と加害者が話し合い、金銭(示談金)をはじめ一定の条件で解決する合意を指します。「示談」という言葉は交通事故のケースでも使われますが、今回は刑事事件における示談について解説します。

示談はあくまで当事者間の合意であり、捜査機関(警察・検察)や裁判所の手続きではありませんが、刑事処分を判断する上で重要な事情として考慮されます。

示談しただけで刑事手続きが終了するわけではありません。

ただ、実務上は、示談の有無が起訴・不起訴や量刑の判断に強く影響します。そのため、示談に応じるかどうか、被害者側の判断が極めて重要です。

示談が成立すると、捜査段階では不起訴処分や略式命令(罰金)となる可能性があり、起訴後だと処罰が軽減される(執行猶予付きの判決など)可能性があります。軽微な事案では、示談をすれば刑罰を全く受けない結果となることも珍しくありません。

もっとも、示談は判断の一要素に過ぎず、被害者が応じたからといって「必ず不起訴」とは限りません(重大な事件や常習性のあるケースなどは、被害者の意思にかかわらず起訴され、重い処罰を受けることもあります)。

加害者が示談を持ちかける理由

加害者が示談を持ちかけるのは、処分を軽減するという目的があるからです。

具体的には、その状況によって次のような理由があります。

  • 不起訴処分を狙う場合
    捜査段階で示談すれば、不起訴処分となる可能性があり、これが加害者が示談を急ぐ最大の理由です。被害者との示談成立は、検察官にとって「処罰の必要性が低い」と判断する材料だからです。
  • 逮捕・勾留を避けたい場合
    身柄拘束前だと、示談成立によって逮捕を回避する効果を狙えます。また、勾留中でも示談をすれば早期釈放に繋がります。
  • 量刑の軽減を期待する場合
    既に起訴されているケースでも、示談が成立すれば、執行猶予が付く、刑罰が軽くなるといった効果が期待できます。
  • 前科を避けたい場合
    有罪判決を受けると前科がついてしまいます。日本の刑事司法では、統計上、起訴されると99.9%有罪判決が下っており、前科を回避するため、示談をして不起訴を目指すという動機を有する加害者は多いです。

以上の通り、加害者が示談を持ちかける目的は、受ける刑事処分をできる限り軽くすることにあります。報道されるなど、事件が表沙汰になると、職場を解雇されたり家族や周囲にも悪影響があったりなど、事実上の不利益が生じかねません。

示談を持ちかけられる典型的なタイミング

刑事事件の示談は、次のようなタイミングで持ちかけられることが多いです。

まず、事件直後や警察への被害申告前に、被害届の提出を防ぐ目的で、早期に接触してくるケースがあります。

次に、被害届提出後から送検前は、警察段階での処分を軽くする狙いがあります。逮捕や勾留を回避したり、早期釈放を目指したりといった目的で示談するのもこの時期です。

送致後・起訴前だと、検察官の判断において不起訴を勝ち取るために示談を目指すケースがあります。起訴後・公判前は、量刑軽減や執行猶予を狙った示談が持ちかけられます。

    犯罪被害者の側でも、示談を持ちかけられたタイミングによって加害者の切迫度は異なり、それに応じて交渉の幅を見極める必要があります。身柄釈放の必要性が高いなど、加害者が示談を求める気持ちが強いほど、被害者としても有利な条件が引き出す交渉をすべきです。

    被害者が示談に応じるメリット・デメリット

    基本は加害者のメリットのために持ちかけられる示談ですが、被害者にとっては、メリットがある一方で慎重に検討すべきデメリットもあります。

    被害者にとってのメリット

    被害者にとってのメリットは、次の通りです。

    裁判せずに迅速な賠償を受けられる

    示談に応じる最大のメリットは、裁判を経ずに被害回復が可能な点です。

    刑事裁判は、捜査から起訴、判決に至るまで一定の期間を要し、その間被害者は補償を受けられません。示談をすれば、刑事手続きの進行を待たずに賠償を受けられます。

    示談しない場合、被害回復のためには加害者との交渉や民事訴訟を必要とします(例:暴行や傷害事件なら不法行為に基づく損害賠償請求、窃盗事件なら不当利得返還請求など)。任意に支払われなければ、判決を得た上で強制執行しなければなりません。

    示談なら、加害者にとって、示談金の支払いが刑事処分の軽減と直結するので、支払いへの強い動機があり、「金銭が支払われない」という回収リスクは軽減できます。

    加えて、示談金額は当事者間の交渉で決まるので、状況によっては民事裁判の相場を上回る金額で合意できるケースもあります。加害者が早期釈放を強く望む場合や、前科があって宥恕文言を切実に求める場合などは、交渉の余地が広がりやすいです。

    損害賠償命令制度」の解説

    早期解決により精神的負担を軽減できる

    示談により事件が早期に収束すれば、捜査や裁判への関与は最小限に抑えられます。警察の聴取への協力や証人としての出廷は、被害者にとって大きな負担でしょう。

    示談成立により、加害者との関係を早期に断てる点もポイントです。関わりが長期化すると、被害体験を思い出すなど、精神的苦痛が長引きやすくなってしまいます。

    接触禁止など金銭以外の条件も要求できる

    示談せず、民事訴訟で損害賠償を請求した場合、たとえ勝訴しても、得られるのは金銭のみです。それ以外の条件を求めるなら、和解による解決を図る必要があります。

    その点、示談をすれば、交渉次第で、様々な条件を約束させることができます。必ずしも法的な権利義務として認められるものでなくても、当事者間の合意として、接触禁止、謝罪文の提出、行動制限などを要求することも可能です。

    これらの条件は、犯罪被害者の安全や安心を確保する上で、示談ならではの重要なメリットとなります。

    被害者にとってのデメリット

    一方で、示談に応じることには被害者にとってデメリットもあります。

    加害者の処罰が軽くなる可能性がある

    示談が成立すると、不起訴や略式命令(罰金)といった可能性が広がり、仮に起訴されても実刑を回避できるなど、加害者の刑事責任は軽減される傾向にあります。

    犯罪の被害者として、「加害者に相応の処罰を受けてほしい」という気持ちがあるなら、示談に応じることでその思いが実現できなくなるおそれがある点は、デメリットとして認識しておかなければなりません。

    将来の追加請求ができない

    示談書には、通常「清算条項」が盛り込まれます。清算条項があると、示談の時点で想定されていた損害については、今後の追加請求ができなくなります。

    特に、暴行や傷害の被害に遭ったケースで、加害者から持ちかけられて治療の終了前に示談する場合などは、後から症状が悪化したり治療期間が長期化したりするリスクを加味しなければなりません。

    分割払いだと支払いが滞るリスクがある

    示談金を分割払いとする場合、支払いの遅延や不履行のリスクがあります。

    最悪の場合、刑事処分を軽くする目的で示談を持ちかけた加害者が、被害者が応じて軽い処分が決定した後になって支払い意欲を喪失し、支払いが滞る危険もあります。

    このリスクを避けるには、公正証書を作成して強制執行が可能な状態にしておく、連帯保証人を付ける、分割払いを怠った場合の違約金条項を設けるといった対策があります。

    示談するかどうかは被害者側に決める自由があるので、加害者から分割払いとすることを求められた場合は特に、納得のいく条項となるよう交渉が不可欠です。

    分割払いの交渉をする方法」の解説

    示談に応じる前に必ず確認すべきポイント

    一度示談が成立すると、原則として撤回はできません。そのため、重要なポイントは、必ず「示談に応じる前」に確認してください。

    「示談で済ませる」といった軽い言葉で持ちかけられることがありますが、「最終合意」を意味するので、軽視してはいけません。「早く終わらせたい」「関わりたくない」という気持ちは理解できますが、後から不満があっても覆せないのです。

    特に重要なのが、示談金額が被害内容に見合っているか、という点です。

    加害者側の提示額は、必ずしも適正とは限りません。弁護士の言葉も、あくまで自分の依頼者(加害者)の代弁であり、被害者の利益に配慮したものではありません。

    刑事事件では、被害の程度や犯行態様の悪質さ、加害者の反省状況などにより、示談金の相場は大きく変わります。提示額をそのまま飲むのでなく、冷静に検討してください。身柄拘束や前科の有無などによっても交渉の余地は変わってきます。

    示談金が、治療費や慰謝料、休業損害などの様々な損害のうち、どの範囲をカバーしているのかも明確にしましょう。

    将来の損害が発生する可能性も見逃せません。治療の長期化や後遺症が懸念されるケースは、加害者に持ちかけられるままに示談を焦ると後悔します。

    加害者が刑事手続きの進行を懸念して示談を急かすケースがありますが、あくまで被害者の自由な意思に基づいて決めるべきであり、応じる義務はありません。示談を断っても、被害者が不利益を受けることもないので、慎重に検討すべきです。

    弁護士から電話や対面で示談を急がされても、その場で即答しないでください。「持ち帰って検討する」と伝え、弁護士に相談する時間を確保するのがお勧めです。

    犯罪被害者側の弁護士費用」の解説

    示談交渉はどのように進む?基本的な流れを解説【被害者側】

    刑事事件における示談交渉は、民事の話し合いと異なり、捜査機関(警察・検察)や弁護士を介して行われます。示談金を持ちかけられたケースでは、被害者側でも、基本的な流れを把握しておくことが役に立ちます。

    STEP

    加害者側から連絡を受ける

    示談の申し入れは、加害者の弁護士から行われるのが基本です。

    加害者本人や家族から連絡が来るケースもありますが、犯罪の被害に遭った場合、直接のやり取りは避けた方が安全です。具体的には、次の流れで進みます。

    1. 加害者側の弁護士が、捜査機関(警察・検察)に示談の申し入れを行う。
    2. 捜査機関が被害者に、「示談に応じる意思があるか」を確認する。
    3. 被害者が捜査機関に回答する。
    4. 示談に前向きな場合、連絡先が交換され、加害者側弁護士から連絡が来る。

    なお、示談交渉には応じるが、連絡先は知られたくない場合、「弁護士限りで伝えてほしい」と答えることも可能です。また、被害者側も弁護士を依頼すれば、直接やり取りするストレスも無くせます。

    STEP

    示談条件を交渉する

    示談交渉の中心となるのが、示談条件の調整です。

    多くの場合、示談を持ちかけた加害者側が示談金額や支払い方法を提示しますが、その内容を受け入れる必要はありません。被害者側の要望を伝えたり、対案となる金額を提示したりして交渉する余地は十分にあります。また、示談金の増額だけでなく、接触禁止や謝罪など、その他の条件を求めることも可能です。

    STEP

    示談書を作成し、署名押印する

    示談条件がまとまったら、示談書を作成します。

    口約束での示談も可能ではありますが、刑事事件の場合は加害者側が、示談書を捜査機関(警察・検察)や裁判所に提示する目的から、必ず作成することを希望してきます。

    したがって被害者としても、希望の条件が記載されているか、不利な条項が含まれていないかといった観点で、加害者側の作成した示談書をチェックする必要があります。

    STEP

    示談金を受け取る

    示談書に署名押印した後、示談金が支払われます。

    支払方法には、一括払いと分割払いがありますが、分割とするのは加害者側のメリットなので、その代わりに条件を付ける交渉を忘れないでください。例えば、公正証書化する、違約金条項を設けるといった履行確保の手段を検討します。

    加害者側から嘆願書への署名を求められることもありますが、刑事処分に影響する重要な書面なので、示談書と同じく内容を確認し、納得できる場合のみ署名すべきです。

    STEP

    被害届を取り下げる

    被害届を提出している場合、取り下げを求められます。

    被害届の取下げは、捜査機関に対し、これ以上の処罰を求めない意思を示す意味があります。犯罪の内容によっては、被害届を取り下げても捜査が続き起訴される可能性も全く無いわけではないものの、多くの事案では、刑事手続きが事実上終了します。

    被害届の取下げは、必ず示談金の支払いを確認してからにすべきです。

    被害者側が示談書に必ず盛り込むべき項目

    示談に応じるかどうかは自由ですが、加害者が身柄拘束されている事件では、その間に交渉した方が被害者側にとって有利に進みやすいのが実情です。

    そのため、示談に応じるなら、十分に納得できる内容となるよう、示談書に盛り込むべき内容を理解しておきましょう。

    犯罪被害の内容の特定

    示談書ではまず、どのような犯罪被害の示談かを特定する必要があります。いつ、どこで、どのような行為があったかを具体的に記載し、どの被害を対象とする示談なのかを明らかにします。

    この特定が不十分だと、後から示談の対象範囲についてトラブルとなり、紛争が蒸し返される危険があります。

    示談金の金額と支払方法

    次に、最重要となる示談金に関する条項を記載します。

    示談金の金額は、明確に表記しましょう。「相当額」「一定額」といった曖昧な表現は避けるべきです。あわせて、支払期限や支払いの方法(現金か振込かなど)を定めます。

    分割払いを認める場合は、各回の支払額、支払日、支払回数を定め、支払いが滞った場合に備えて違約金条項や期限の利益喪失条項を定めるのが通常です。

    刑事処分に関する文言(宥恕文言など)

    宥恕文言は、「刑事処分を求めない」「処罰を求めない」といった被害者の意思表示です。

    加害者側の求めに応じて盛り込まれるのが通常で、被害届を提出している場合にはその取下げも含めて定めることが多いです。被害者が処罰を望まないことを示す宥恕文言があると、不起訴や刑罰の軽減に繋がる可能性が高まります。被害者側としては、宥恕文言を入れることで刑事処分にどの程度影響するかを理解し、慎重に判断すべきです。

    接触禁止

    犯罪の再発を防ぐため、接触禁止について定める例もあります。

    犯罪の態様によって、連絡や面会、SNSでの接触などを禁止することが考えられます。また、被害者の生活の安全を守る観点から、特定の電車・路線を利用しない(痴漢の例)、特定の場所や自宅周辺に近づかない(ストーカーの例)といった行動制限を定めることもあります。

    口外禁止

    口外禁止条項は、被害者のプライバシーを保護するために重要です。

    加害者もまた、犯罪が周囲に発覚することを恐れ、口外禁止条項を示談書に盛り込むよう求めるケースがあります。特に性犯罪などでは、加害者側から強く要望されることが多いです。

    接触禁止や口外禁止についても、違反した場合の違約金を定め、約束の履行を強く求めるケースもあります。

    清算条項

    清算条項とは、当事者間の債権債務関係を全て清算するための条項です。示談書に清算条項が定められていると、今後は追加の請求ができなくなります。

    なお、後遺症を伴うおそれのある傷害事件などで、治療が終了する前に示談する場合などは、将来の治療費や後遺障害の慰謝料については留保する条項を設ける工夫が必要です。

    示談を持ちかけられたら、被害者側でも弁護士に相談すべき

    最後に、示談を持ちかけられた場合に、被害者側でも弁護士に相談すべきことを解説します。刑事事件の示談は、加害者側だけでなく、被害者側にとっても法律知識と経験が不可欠です。

    弁護士に相談すべきケース

    示談を持ちかけられた被害者が、弁護士に相談すべきなのは次のケースです。

    被害が大きい場合(特に精神的な被害)

    傷害が重い場合など、被害が大きいケースでは、被害回復を確実に行うためにも、被害者側でも弁護士が関わるメリットがあります。また、性犯罪やストーカー、脅迫のように精神的な被害が大きい場合、被害者自ら示談に対応するのは難しいことが多いでしょう。

    示談金額が妥当かわからない場合

    示談金は、加害者から提示されるケースが多いです。

    法律上、示談金に明確な基準があるわけではなく、事件の内容や状況によっても異なります。あくまで交渉で決まるものなので、「提示された金額は妥当か」と不安な場合、弁護士に相談することで、相場や実務感覚に基づいたアドバイスを得るべきです。

    刑事事件では加害者は基本的に弁護士を立てているので、被害者が単独で対応すると、法律知識や交渉経験をもとに不利な状況を押し付けられる危険があります。

    刑事処分への影響が気になる場合

    示談は、不起訴や処罰軽減に直結する可能性があります。

    加害者にどのような処罰が下るか、示談するとどう変わるかといった刑事事件に関する知識・経験をもとに、具体的な見通しを聞いてから判断すべきです。

    弁護士が示談交渉に入ることで変わること

    弁護士に依頼すれば、示談交渉を代理して行ってもらえます。

    弁護士は、加害者から提示された示談金額の妥当性について、過去の裁判例や実際の解決事例をもとに判断できます。また、増額交渉の余地があるか、現実的にどの程度まで期待できるかについてもアドバイスを受けることが可能です。示談金の見通しを把握した上で、弁護士費用についても損にならないように提案できる点も大きなメリットです。

    弁護士が介入することで、加害者側や捜査機関との連絡窓口を一本化でき、直接のやり取りが不要となるため精神的負担やストレスも軽減できます。

    最後に示談書を交わす際にも、法的に問題のない書面となっているか、確認してもらうことができ、将来のトラブル防止にも役立ちます。

    まとめ

    弁護士法人浅野総合法律事務所
    弁護士法人浅野総合法律事務所

    今回は、刑事事件における示談について、被害者側の立場で解説しました。

    被害者にとって示談は、必ずしも応じなければならないものではありません。加害者にとっては処罰が軽くなるメリットがあるものの、被害者として、それに見合う補償(示談金)や諸条件が約束されるかどうか、慎重に検討すべきです。

    安易に応じると、加害者の処罰が予想外に軽くなったり、将来の請求ができなくなったりと、取り返しの付かない不利益が生じるおそれもあるので注意してください。

    示談の有無が、起訴・不起訴や量刑の判断で、重要な材料となります。被害者の選択一つで将来が大きく変わるので、加害者やその弁護士が急かしてきても、十分時間をかけて精査すべきです。不安や疑問がある場合は、示談書への署名前に、刑事事件に詳しい弁護士に相談してください。

    この解説のポイント
    • 加害者から持ちかけられた示談に安易に応じると、後悔するおそれがある
    • 示談の成立は、起訴や量刑の判断に大きく影響する重要な事情となる
    • 清算条項付きの示談書を締結すると、原則として将来の請求はできなくなる

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