労働問題

セクハラの被害者が慰謝料請求をする方法と、慰謝料額の相場

2020年7月16日

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セクハラ被害者慰謝料請求相場

セクハラの被害者になってしまったとき、慰謝料請求をすることができます。意に反する性的行為の強要や性的言動は、違法行為となるからです。

しかし、セクハラがセンシティブで性的プライバシーにかかわる問題であることから、被害を受けても誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう被害者の方も大勢います。「誰かに打ち明けたら、評判が広まり、会社に居づらくなってしまうのではないか」「悪評が広まり、セクハラ加害者から誹謗中傷だと言われてしまうのではないか」と心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。

セクハラの責任は、セクハラ言動を行った加害者はもちろん、男女の性差に配慮し、適切な職場環境を調整するよう配慮する義務を怠った会社にもあります。

今回は、セクハラ被害者が、慰謝料請求により少しでも被害回復を図るためにも、セクハラを理由とする慰謝料請求の方法と、慰謝料額の相場について弁護士が解説します。

「労働問題」弁護士解説まとめ

セクハラの責任は誰にある?

セクハラ被害者慰謝料請求相場

セクハラは、「セクシュアル・ハラスメント」の略称であり、日本語では「性的嫌がらせ」と訳されます。

男女雇用機会均等法11条で、セクハラは、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、または当該性的言動により当該労働者の就業環境が害されること」と定義されています。この前段を「対価型セクハラ」、後段を「環境型セクハラ」と呼ぶことがあります。

  • 対価型セクハラ
    :職場において強い立場にあるものが、弱い立場にあるものに対して、労働条件を盾にとって性的な行為などを要求することをいいます。
    例えば、肉体関係を持つことを強要し、拒否した女性社員を解雇する行為、出張中の新幹線内で隣の席に座って身体を触り、嫌がる女性社員に対して不利益な配置転換をする行為、飲み会中に公然と下ネタをいい、抗議してきた女性社員を降格する行為などは、対価型セクハラに該当します。
  • 環境型セクハラ
    :職場で性的言動を繰り返し行うことにより、職場環境を悪化させ、セクハラ被害者を職場で就労しづらくすることをいいます。
    例えば、オフィス内で女性社員の座席の後ろを通過するたびに下半身を押し付け、仕事への集中力を削ぐ行為、取引先に対して被害者の性生活に関する虚偽の情報をことさらに流布して働きづらくする行為、卑猥な写真、画像をパソコンの壁紙に設定し、抗議があったにもかかわらず止めない行為などは、環境型セクハラに該当します。

セクハラの責任追及というと、セクハラ加害者に対する慰謝料請求が主となります。しかし、直接のセクハラ行為を行った者への恨みが強く頭に残るものの、慰謝料の回収可能性、セクハラの効果的な予防などの点から、雇用する企業の使用者責任も、軽視できません。

セクハラ加害者の不法行為責任

セクハラ加害者の責任は、民法709条に定められた不法行為責任です。民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」に対して、損害賠償責任を課しています。セクハラ行為は、故意によって被害者の性的自由を奪う違法行為です。

セクハラ裁判で認められる金額は、女性の社会進出、男女の性差改善などが社会問題になるにつれ、高額化しています。

セクハラ加害者の責任は、民法上の不法行為責任だけでなく、会社内での労働問題としての責任もあります。これは、会社において懲戒処分や解雇、人事異動などの処分を受けることで追及されます。あわせて、セクハラ行為が強制性交罪、強制わいせつ罪などに至る強度のものとなる場合には、セクハラ加害者は刑事責任を負います。

使用者責任

使用者責任とは、ある事業のために他人を使用する事業者が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うというものです。民法715条に定められる不法行為責任の一種です。

事業主が、従業員の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたこと、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったことを証明しない限り、責任を回避することはできません。そして、会社は一般的に雇用する社員のマネジメントに責任を負うため、この要件による責任回避は非常に困難です。

安全配慮義務・職場環境配慮義務

会社は、労働者との関係で社会通念上負う義務として、就労過程において生命、健康を害しないよう職場環境について配慮すべき注意義務を負います。要は、会社は、業務に従事している間の労働者の安全についての責任を負うということです。

この義務を「安全配慮義務」「職場環境配慮義務」と呼びます。

この義務から、会社は、セクハラ行為が職場内に発生している場合にはこれを是正する義務を負っており、この義務に違反してセクハラを放置したり、予防する措置を講じなかったりした場合には、損害賠償義務を負います。

平成18年に改正され平成19年4月1日より施行された男女雇用機会均等法によれば、会社はセクハラ防止措置を講じることが義務化されており、上記の義務は、単にセクハラが発覚したら対応すべき義務というだけでなく、予防すべき義務も含んでいます。会社が行うべき適切な措置は、厚生労働省の告示(平成18年厚生労働省告示615号)によれば、次のようなものです。

  • 職場におけるセクハラに関する方針を明確化し、労働者に対して方針の周知・啓発を行う
  • セクハラの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備する
  • 職場におけるセクハラの相談申出があったときは事実関係の迅速かつ正確な確認をし、適切な対応を講じる
  • 職場におけるセクハラの相談者の情報がプライバシーに属することを理解し、プライバシー保護のに必要な措置を講じる
  • セクハラに関して相談したこと、事実関係の確認に協力したことなどを理由に不利益な取扱いを行わないことの周知・啓発を行う

「セクハラ被害」と言ったとき、「男性上司が、女性部下に対して行うもの」という固定観念を持つことがありますが、このような考え方は適切ではありません。

確かに、男性上司から女性部下に対するセクハラ行為は多いですが、それに限らず、同僚間でのセクハラもあれば、女性から男性へのセクハラや、LGBTに対する同性間のセクハラ被害もあります。

セクハラ慰謝料額の相場

セクハラ被害者慰謝料請求相場

セクハラ行為を大きく「対価型」と「環境型」に分けて解説しましたが、一言で「セクハラ」といっても様々な行為がこれに該当します。

そこで、セクハラの強度や、これに関連して認められるべきセクハラ慰謝料額の相場について弁護士が解説します。

セクハラ慰謝料額の判断基準

よく、「被害者が被害を感じたらセクハラだ」「被害者がセクハラを受けたと感じたら違法」という相談を耳にします。しかし、セクハラに該当する行為のうち、少なくとも民法上の不法行為として慰謝料請求の対象となる行為は、ある程度客観的に決まります。

厚生労働省の告示(平成18年厚生労働省告示615号)においても、「労働者の主観を重視しつつも、一定の客観性が必要とされるため、被害を受けた労働者が女性である場合には『平均的な女性労働者の感じ方』を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には『平均的な男性労働者の感じ方』を基準とすることが適当である」とされています。

最も客観的に、セクハラ慰謝料額の判断基準となるのが、セクハラ行為の態様・程度・回数・頻度・期間といった事実です。

しかし一方で、セクハラ被害の度合いを判断するにあたっては、「被害者がセクハラを受けたと感じるかどうか」という被害者の主観を判断するため、被害者と加害者の関連性、被害者の拒否の意思表示や講義、回避行動の有無なども判断基準とされます。

セクハラに該当するか否か、また、どれほどの慰謝料額が認められるかの最終判断は、裁判所にゆだねられます。セクハラ慰謝料の額は近年高額化する傾向にあり、加害者とともに会社を訴えた場合、会社の使用者責任を認めた裁判例が多くあります。

セクハラ慰謝料額を増減する考慮要素には、次のようなものがあります。

  • セクハラ行為の態様・程度
  • セクハラ行為の回数・頻度・期間
  • セクハラ加害者の職務上の地位、セクハラ被害者との職務上の関係、指揮系統
  • セクハラ加害者、セクハラ被害者の年齢、既婚かどうか
  • セクハラ行為の行われた場所
  • セクハラ行為の反復継続性
  • セクハラ加害者の謝罪、反省の態度や改善の意思の有無
  • セクハラ被害者の負った心身のダメージの程度

【50万円】のセクハラ慰謝料を認めた裁判例

東京地裁平成8年4月15日判決は、原告からの200万円の請求に対して、50万円のセクハラ慰謝料を認めた裁判例です。

被害者は女性教師で、加害者は女性教師が勤務する小学校の校長でした。セクハラの行為態様は、懇親会の帰りに、同校長が女性教師に対して無理やり性器をこすりつけるなどのわいせつな行為が認定されました。

しかし、別日には、校長が女性の教師の肩を掴み、その首筋に熱い息を吹きかけられ女性教師がこれに対して拒絶する態度をとったことから、校長は、教育上の事柄について女性教師を無視し、個人的感情に基づいて人事上の不利益を課すなどの言動をとったという女性教師の主張は、証拠不十分により認定されませんでした。

【120万円】のセクハラ慰謝料を認めた裁判例

東京地裁平成30年1月16日判決では、原告からの330万円の請求に対して、120万円のセクハラ慰謝料が認められました。

転職キャリアコンサルタント会社に勤務する女性が、同じ会社に勤務する男性から、長期間、多数回のわいせつ行為等を受けたとして、セクハラを理由とする損害賠償請求をした事案です。

加害者は、強く拒絶する女性に対して6年以上の長期にわたって執拗に話しかけ、卑猥な発言等を繰り返し、その食事の帰り際に脇や臀部を指で突っつく等、決して軽微とは評価できないセクハラ行為を常習的に行っていたことを重視しました。

その結果、一つ一つのセクハラ行為を個別に切り取るのではなく、まとめて判断した結果、そのセクハラ行為は悪質性が高いと判断して、120万円の慰謝料が認容されました。

【330万円】のセクハラ慰謝料を認めた裁判例

千葉地裁平成10年3月26日判決は、原告から330万円の請求があったのに対して、満額である330万円の慰謝料が認容されました。

この裁判例は、被害者女性が社員、加害者が代表取締役の事案です。不動産の売買、仲介、貸付業を業とする株式会社に事務員として雇用された被害女性に対して、同社代表取締役が、勤務終了後に他の従業員と共に行った食事の後、車をモーテルに止めて無理やり部屋に連れ込まれて姦淫されたことが認定されました。

この事案では、会社代表者とその従業員という関係性にも注目されました。

また、勤務の連続性がある環境下で行われたものであると判断され、会社に対する損害賠償責任も認めた点が特徴的です。

【1100万円】のセクハラ慰謝料を認めた裁判例

大阪地裁平成11年12月13日判決は、原告が1500万円のセクハラ慰謝料を請求したのに対して、1100マ年の慰謝料が認容された事案です。

選挙運動員として参加していた当時大学生であった被害女性に対して、元大阪府知事が、選挙運動のために走行中の選挙用ワゴン車の中で、同女性に対して性交渉を望むような発言をし、女性の性器を指で弄ぶなど悪質かつ執拗な行為があったと認定されました。

この事案は、セクハラの行為態様の悪質性に加えて、被害女性の告訴に対して加害者が虚偽告訴であると主張して、被害女性に対する名誉棄損行為があったことも高額な慰謝料請求を認めた一因となりました。

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セクハラ被害者慰謝料請求相場

今回は、職場内でセクハラの被害にあってしまった方に向けて、セクハラ被害者が理解しておくべき慰謝料請求の方法と、請求できる慰謝料額の相場について弁護士が解説しました。

法律では「性的な言動」がセクハラの典型例とされていますが、性行為の強要といった強度のセクハラだけでなく、首席でのお酌の強要、デュエットの強要、恋愛経験や夫婦の性生活についてしつこく質問する、体型を指摘するといった言動もセクハラ行為となります。

性的に不快な思いをしたときは、その責任追及を、加害者自身はもちろん会社に対して行うことを検討してください。

セクハラをはじめ、労働問題にお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所の法律相談をご依頼ください。

「労働問題」弁護士解説まとめ

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