企業法務

ポイントの有効期限、ポイントサービスの廃止・終了時の法律問題

2020年9月26日

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ポイント有効期限廃止終了法律問題

顧客の購買意欲の促進、ユーザー囲い込みといった効果を狙ってポイントサービスを始めたものの期待したほどの効果が出なかったり、プレゼントキャンペーンなどの一時的な目標を達成したりといった場合に、ポイントサービスを廃止、終了することがあります。

また、ポイントを利用できるウェブサービスやアプリサービス自体を、採算が悪かったり、新規サービスを展開する予定であったりといった理由で終了してしまうこともあります。この場合、そのサービス内でのみ利用できるポイントサービスもまた一緒に終了することとなります。

更には、ポイント自体に有効期限をつけるというサービス設計とする場合もあります。

いずれの場合も、サービスの廃止・終了やポイントの有効期限は、サービスを提供する事業者側の都合で行われるものです。勝手な都合で終了してユーザー側に不利益を与えることとなると、法的な問題となったり、炎上リスクが生じて企業の信用を損なうこととなったりするおそれがあります。

そこで今回は、ポイントの有効期限、ポイントサービスの廃止・終了時に注意しておくべき法律問題について、弁護士が解説します。

浅野総合法律事務所のアドバイス

スタートアップ企業、中小・ベンチャー企業にとって、新規性の高いビジネスを行うことが重要となりますが、先行例の存在しないビジネスには、法的リスクがつきものです。法的リスクを事前に検討することなくサービスを開始してしまうと、後に違法性があることが発覚した場合、投下資本を回収できなくなるおそれがあります。

当事務所では、ウェブサービスやアプリをローンチするにあたり重要となるリーガルサービスを提供しています。

ビジネスの適法性チェックから、利用規約・プライバシーポリシー・特商法の記載事項などの重要書類の作成、運営開始後の注意点に至るまで、顧問弁護士として一括してサポートすることができます。

「ポイントサービス」弁護士解説まとめ

ポイントの有効期限、廃止、終了の法律問題

ポイント有効期限廃止終了法律問題

まず初めに、ポイントの有効期限、廃止、終了にともなう法律問題について解説します。

なお、ポイントサービスの運用を開始するときには、①資金決済法の「前払式支払手段」にあたり、法的規制を受けることがないかどうか、②景品表示法(景表法)の「景品類」にあたり、法的規制を受けることがないかどうか、という2点の法律問題を検討する必要がありますが、今回は、既に開始しているサービスの終了に関する解説です。

契約自由の原則

まず、ポイントサービスの有効期限や廃止、終了について、制限を加える法律はありません。そのため、ポイントサービスの有効期限や、サービス自体を廃止、終了するかどうかといった点については、そのサービスを提供する事業者側が自由に定めることができます。

つまり、ポイントの有効期限を何か月にしても、何年にしても、法的な問題はありませんし、ポイントサービスをやめることも自由です。もちろん、ポイントの有効期限をつけない(無期限)とすることも可能です。

これは、ポイントサービスを定める契約書や利用規約はユーザーと事業者との間の契約の内容を定めているところ、「契約自由の原則」がはたらき「誰と、どのような内容の契約を締結するのか」を自由に決めることができるからです。

消費者契約法による法的規制

しかし、「契約の自由」といえども制限を受ける場合があります。それは、ユーザーを不当に害してはならないというユーザー保護の観点からの法的規制です。

顧客のポイント利用を不当に阻害したり、せっかく購入したポイントをすぐに利用できなくしてしまったり、あまりに短い有効期限を設定したりするような場合、消費者契約法の定めにより、無効となるおそれがあります。このような違法、不当なポイントは、事業者の経済的なメリットしか考慮しない一方的な都合によるもので、消費者を保護する必要があるからです。

消費者契約法10条では、次のとおり、消費者の利益を一方的に害する契約内容について無効となることを定めています。

消費者契約法10条

民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

また、一般的には、利用規約において、サービス内容や有効期限を自由に変更できると定めていることが多いですが、事前にユーザーに予告することなくポイントサービスを廃止したり、ポイント自体を失効させてしまったりすることは、同様にユーザーの不利益が大きすぎ、無効となるおそれがあります。

ポイントの有効期限をつけるときの注意点

ポイント有効期限廃止終了法律問題

ポイントの有効期限について、法的な規制は特になく、「有効期限を何か月とするか、何年とするか」は、契約自由の原則のもと、サービス提供者が自由に決めることができると解説しました。もちろん、無期限とすることもできます。

しかし、これによりユーザー側が過大な不利益を負わないよう消費者契約法違反となるリスクがあることから、あまりにも非常識であったり不当であったりする有効期限の定めをしないよう、事業者側が企業努力をしなければなりません。

そこで次に、ポイントに有効期限をつける場合に、サービス提供をする事業者側が注意しておくべきポイントについて弁護士が解説します。

有効期限を短くしすぎない

注意点の1つ目は、ポイントの有効期限を短くしすぎないことです。

ウェブサービスやアプリ内で使える自社独自のポイントサービスについて、サービスの利用実態に比して短すぎる有効期限を設定すると、実際にはユーザーに「ポイントは利用するな」と言っているのと同じこととなってしまいます。少なくとも、平均的なユーザーが、次に利用する際にポイントを利用できないほど有効期限を短くすることはお勧めできません。

このような短すぎるポイントの有効期限は、消費者契約法違反として無効となるリスクがありますし、法違反とならなかったとしても「悪質な企業だ」というイメージがつき炎上してしまい企業の信用低下を招くおそれがあります。

ただし、どの程度の有効期限がちょうどよいか、どの程度の期間が相場なのかは、サービスの内容や、ユーザーのポイントの利用状況、利用頻度などによって異なります。そのため、必ずしも一律に決まるものではなく、ケースバイケースの判断が必要となります。

資金決済法への配慮(有効期限を6か月以内とするか)

注意点の2つ目は、ポイントの有効期限によって変わる資金決済法上の法的規制に配慮をすることです。

具体的には、有効期限を6か月以内とすると、資金決済法に定められる「前払式支払手段」の要件を満たす場合でも資金決済法の適用を受けないと定められている点です。

資金決済法の法的規制を受けると、ポイント発行者の財政的基盤を確実なものとするため、未使用残価の2分の1以上を供託しなければなりません。この供託義務は、ポイントの未使用残高が1000万円を超えると発生するため、結果として500万円以上の供託を行うことが必要となり、財源を大きく圧迫することとなりかねません。

一方で、顧客囲い込みの効果を長期的に継続させたいという理由から、有効期限を6か月を超えてできるだけ長くしたい場合もあります。そのため、有効期限を定めるにあたっては、有効期限を6か月以内にして資金決済法の規制を回避するかどうかを検討する必要があります。

有効期限内に利用するようユーザーに伝える

注意点の3つ目は、有効期限内にポイントを利用するようユーザーに注意喚起することです。

まず、大前提として、ポイントに有効期限をつける場合には、その有効期限がユーザーにわかりやすいように、すぐに見ることのできる箇所に明記しておくことが必要です。有効期限の説明についても、ユーザーがわかりやすい簡潔な説明書きを心掛けてください。

次に、あわせて、有効期限内にポイントを利用するよう、ユーザーに伝えるようにしてください。有効期限の1か月前など、余裕をもって事前告知をすることがお勧めです。

有効期限があることを知らせないまま、「気付いたらポイントが使えなくなっていた」というのでは、不当なユーザーいじめを行う悪質な企業だと批判されてしまっても仕方ありません。有料のポイントであるにもかかわらずユーザーへのサービス提供を不当に怠っていると、課金分の損害賠償請求を受けてしまうおそれもあります。

ポイントサービスを廃止・終了するときの注意点

ポイント有効期限廃止終了法律問題

ポイントサービスの廃止、終了についても、特に法的な制限はなく、サービス提供を行う事業者側の判断によって決定することができます。

ウェブサービスやアプリをリリースしたものの、採算性が悪かったり、新規サービスに移行したりといった理由により、サービス自体を終了する場合があります。特に、スタートアップ企業、中小・ベンチャー企業では、新規性の高いサービスを実験的に提供し、期待した成果が出ない場合にはピボットする、ということもよくあります。

ユーザーを軽視して、事業者の判断で勝手にサービスを終了することは、ユーザーから訴えられて法的紛争に発展する危険があります。

開始当初からサービス終了を見すえて設計する

注意点の1つ目は、開始当初からサービス終了をみすえてサービス設計をすることです。

開始当初から、終了することを考えるのは、失敗を予想するようで気が進まないかもしれません。しかし、採算が合わない、売上があがらないといった消極的な理由でのサービス終了はもちろんですが、新規サービスへの移行などの理由によって終了する場合もあります。

そのため、ウェブサービスやアプリをリリースしたり、その中で利用できるポイントサービスを開始したりするときには、開始当初から、終了することを見据え、その際にも顧客が不利益を被らないよう「ユーザーファースト」なサービス設計をする必要があります。

具体的には、ウェブサービスやアプリの利用規約で、「事業者の判断により、サービスを終了することがあります。」といった記載をすることが多いですが、それだけでなく、終了時の予告期間、解約告知の方法、終了時のポイントの払戻方法などのルールを合わせて定めておくことがお勧めです。

資金決済法の払戻義務

注意点の2つ目は、資金決済法の払戻義務を遵守することです。

ポイントサービスが、資金決済法の前払式支払手段にあたる場合には、サービス継続中は原則として払戻をしてはならず、かつ、サービス終了時には未使用残高について払戻をしなければなりません。無償のポイント、有効期間が6か月以内のポイントは資金決済法の適用を受けないため、この払戻義務は有料のポイントの場合に知っておくべき注意点です。

予告期間を設けて解約告知をする

注意点の3つ目は、予告期間を設けて解約告知をすることです。

ウェブサービスやアプリサービスは継続して利用することが予定されている「継続的契約」であるため、事業者側n都合で終了させるためには、相当の予告期間を設けて事前に解約告知を行うことが重要となります。

特に配慮が必要なのは、有料のポイントを発行している場合です。有料のポイントを購入するということは、無料のポイントをプレゼントしてもらうとうのとは違って、当然に商品やサービスの購入に利用することを予定しているものです。

そのため、有料ポイントを発行したにもかかわらず、ユーザーにとって不利な時期にサービスを終了してしまうと、ユーザーから課金額について返金請求、損害賠償請求を起こされるおそれもあり、慎重な判断が必要です。

(参考)ポイントサービスの法的規制(資金決済法・景品表示法)

ポイント有効期限廃止終了法律問題

最後に、ウェブサービスやアプリ内においてポイントサービスを開始するときには、そのほかにも考えなければならない法的問題があります。特に重要な、ポイントサービスを規制する法律として、資金決済法と景品表示法(景表法)の2つが挙げられます。

資金決済法では、そのポイントサービスが次の3つの要件を満たす「前払式支払手段」にあたるとき、供託義務、行政への報告義務、払戻の原則禁止と払戻義務といった顧客保護のための義務を負うこととなります。

「前払式支払手段」の要件

  • 金額等の財産的価値が記録されていること(価値の保存)
  • 金額・数量に応じた対価を得て発行されていること(対価発行)
  • 代価の弁済のために使用できること(権利行使)
参 考
自社のポイントサービスを導入する時の資金決済法上の注意点

ウェブサービス、アプリサービスを開始、運営するにあたり、そのサービス内で利用することができるポイントを付与することが増えています。 ウェブサービス、アプリサービス内で利用できるポイントサービスは、現金 ...

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景品表示法(景表法)では、不当、過大な景品を付与することによって顧客の正常な判断力を奪うことのないよう、ポイントサービスが次の3つの要件を満たす「景品類」にあたるとき、上限額の規制を受けることとなります。

「景品類」の要件

  • 顧客誘引の手段であること
  • 取引に付随して提供するものであること
  • 経済上の利益があること
参 考
ポイントサービスに関する景品表示法の規制と、ポイント付与の上限

ウェブサービス、アプリに自社独自のポイントサービスを導入しようとするとき、法律問題にも注意をしておかなければなりません。というのも、ポイントサービスには、顧客の購買意欲を向上させ、継続的な利用を促すと ...

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資金決済法、景品表示法(景表法)のいずれの法的規制も、ポイントサービスをどのように設計するかによっては、法的規制を回避するように設計することもできます。例えば、無償で付与するポイントや、6か月以内の有効期限のポイントは、資金決済法の法的規制を受けません。

法的規制が適用されないような設計とするのか、あるいは、法的規制をきちんと遵守して運用するのかは、ポイントサービスを導入する事業者側のメリット・デメリットを考慮した上での経営判断となります。

「企業法務」は浅野総合法律事務所にお任せください!

ポイント有効期限廃止終了法律問題

今回は、ウェブサービスやアプリ内で利用できる自社ポイントサービスを正しく運用するにあたって理解しておきたい、有効期限、終了、廃止時の法律問題について、弁護士が解説しました。

ポイントサービスを導入することは、顧客離れの防止、囲い込みなどの販促効果を生む、有用な方法です。「契約自由の原則」がはたらきますから、事業目的を達成できるよう有効なサービス設計のために知恵を絞り、企業努力をすることはとてもよいことです。

しかし、事業者側のメリットを優先するがあまりに、ユーザーに対しての不利益の大きい有効期限の設定や、事業者の一方的都合によるサービス終了、廃止をすることは、結果的に大きな法的リスクとなります。

ポイントサービスの開始、運用はもちろん、企業法務についてお悩みの会社は、ぜひ一度当事務所へ法律相談をご依頼ください。

「ポイントサービス」弁護士解説まとめ

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