企業法務

ポイントサービスに関する景品表示法の規制と、ポイント付与の上限

2020年9月25日

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ポイントサービス景品表示法付与上限

ウェブサービス、アプリに自社独自のポイントサービスを導入しようとするとき、法律問題にも注意をしておかなければなりません。というのも、ポイントサービスには、顧客の購買意欲を向上させ、継続的な利用を促すという強い効果がある反面、ユーザーを不当に害することとならないよう、法律による制約が加えられている場合があるからです。

ウェブサービス、アプリなどで採用される自社独自のポイントサービスで、注意しておくべき法律には、資金決済法、景品表示法(景表法)があります。

景品表示法(景表法)は、「景品」つまり「おまけ」として付与するものについての規制です。折角、ウェブサービス、アプリの中身がとても良いものだとしても、付随して運用していたポイントサービスに問題があった、ということにならないよう、景品表示法(景表法)上の法律問題について十分な配慮が必要です。

特に、サービス開始時のキャンペーンや懸賞・抽選、キャッシュバックなどの販促手段をとるとき、大盤振る舞いが問題となります。

今回は「ポイントを付与したり、プレゼントしたりする際に、景品表示法(景表法)のどのような規制を守らなければならないのか」という法律問題について弁護士が解説します。

浅野総合法律事務所のアドバイス

スタートアップ企業、中小・ベンチャー企業にとって、新規性の高いビジネスを行うことが重要となりますが、先行例の存在しないビジネスには、法的リスクがつきものです。法的リスクを事前に検討することなくサービスを開始してしまうと、後に違法性があることが発覚した場合、投下資本を回収できなくなるおそれがあります。

当事務所では、ウェブサービスやアプリをローンチするにあたり重要となるリーガルサービスを提供しています。

ビジネスの適法性チェックから、利用規約・プライバシーポリシー・特商法の記載事項などの重要書類の作成、運営開始後の注意点に至るまで、顧問弁護士として一括してサポートすることができます。

「ポイントサービス」弁護士解説まとめ

景品表示法(景表法)とポイントサービス

景品表示法(景表法)は、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、商品やサービスの品質、内容、価格などの不当な表示を規制したり、過大な景品をともなうことによる不当な顧客誘引を防止したりして、消費者を自主的決定を尊重し、保護するための法律です。

そのため、ウェブサービスやアプリに導入する自社独自のポイントが、無償で「おまけ」として付与されるとき、景品表示法(景表法)の規制を受けるおそれがあります。

サービスを開始する際、消費者の注目を集めて大きな販促効果を得るために、ポイントを無償付与することがあります。利用できるポイントを単にプレゼントする場合に限らず、懸賞や抽選で当選した人にポイントを付与する場合、キャッシュバックキャンペーンを行う場合などにも注意が必要です。

景品表示法(景表法)の規制は、一定の確率で、抽選でポイントが当たるように設計する場合でも、一定の利用頻度、利用態様の人に対して一律でポイントを付与するように設計する場合でも、いずれの場合でも検討する必要があります。

景品表示法(景表法)の「景品類」の規制とは

ポイントサービス景品表示法付与上限

ポイントサービスにおける法律問題で重要となるのが、景品表示法(景表法)の「景品類」の規制です。特に、無償でポイントを付与する場合には、景品表示法(景表法)の規制を意識して、慎重に運用しなければなりません。

ポイントサービスには、自社のウェブサービス、アプリなどで利用できる独自のポイントサービスなどの「自家型前払式支払手段」と、スイカ(Suica)やパスモ(PASMO)、ナナンコ(nanaco)のように自社サービス以外でも活用できる「第三者型前払式支払手段」がありますが、いずれも、無償であるか、もしくは、期限が6か月以内であれば、資金決済法の制約を受けることはありません。

というのも、無償で発行、付与されるポイントは、あくまでも「おまけ」として付与されるのであって、資金決済法で規制されるような金銭的対価を支払って得るものではないからです。

しかし、無償でポイントを「おまけ」として付与する場合であっても、これを顧客吸引力として利用するわけですから、ユーザーに対して不当な扱いとならないよう景品表示法(景表法)の法的規制を受けることになるわけです。

「景品類」の要件にあたるか

景品表示法(景表法)で法的規制の対象となるのが、「景品類」です。そこで、ポイントサービスにおけるポイントが「景品類」(景品表示法2条3項)にあたるかの検討が必要となります。景品表示法(景表法)では、「景品類」の定義を次のように定めています。

景品表示法2条3項

この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

まとめると、「景品類」の要件は次の3つです。なお、次の3つを満たしている場合であっても、「内閣総理大臣が指定するもの」である必要があり、この点で、告示などで示されている例外にあたる場合には「景品類」には該当しません。

「景品類」の要件

  • 顧客誘引の手段であること
  • 取引に付随して提供するものであること
  • 経済上の利益があること

以下では、各要件について、どのようなポイントサービスの設計とすると「景品類」の要件に当たる可能性があるのかを、順に解説していきます。

【要件1】顧客誘引の手段

「景品類」の1つ目の要件が「顧客誘引の手段であること」です。

顧客誘引の手段となっているかどうかは、発行者がどのような意思で行っているかではなく、客観的に判断されます。自社のウェブサービスやアプリ内で利用できるポイントを無償で発行するようなケースを想定すると、顧客のサービス利用を促進するという目的がある場合がほとんどでしょうから、1つ目の要件は満たすと考えられます。

なお、アンケートの回収に対してポイントを無償でプレゼントする場合のように、市場調査、顧客満足度調査などの目的であったとしても、結果的に顧客誘引の手段となっていると判断される可能性があります。

【要件2】取引に付随して提供

「景品類」の2つ目の要件が「取引に付随して提供するものであること」です。

取引に付随して提供する場合の中には、取引の条件として経済上の利益を提供する場合や、取引の勧誘の際に経済上の利益を提供する場合も含むものとされています。したがって、自社独自のポイントサービスで利用できるポイントを付与する場合、その商品・サービスの利用、購入に付随する場合はもちろんのこと、商品・サービスの利用、購入前であってもその勧誘として先にポイントを無償でプレゼントする場合にも「景品類」にあたることとなります。

これに対して、利用者、購入者を紹介してくれた人に対する謝礼として与えた経済上の利益は、「取引に付随する」とはいえないこととされていますので、紹介者へのポイント付与は「景品類」にはあたりません。

【要件3】経済上の利益

「景品類」の3つ目の要件が「経済上の利益があること」です。

経済上の利益の典型例は、金銭にかわるような価値を持つものです。例えば、そのポイントを貯めると商品やサービスのグレードが上がる場合であるとか、ポイント自体を売買することができるといった場合には、経済上の利益があるといえます。

加えて、売買することのできないものであっても、通常は経済的対価を支払って取得するものであるといえるようなものについては、「経済上の利益があること」という要件を満たします。

これに対して、ウェブサービスやアプリ内で「名誉」があがるといった意味しかもたない表彰、バッジ、ランク、トロフィーといったものは、通常経済的対価を支払って取得するものではなく、「経済上の利益があること」の要件を満たしません。

例外にあたるかどうか

以上の「景品類」の3つの要件である「顧客誘引の手段であること」「取引に付随して提供するものであること」「経済上の利益があること」の要件を満たすとしても、告示によって示されている例外にあたる場合には、例外的に「景品類」にあたらないこととなります。

このことを示す告示が、「不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公取委告示第3号)(いわゆる「定義告示」)です。

この「定義告示」には、「値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に附属すると認められる経済上の利益」は「景品類」には該当しないと定められています。そして、「値引」の定義について「景品類等の指定の告示の運用基準について」(いわゆる「定義告示運用基準」)において、次の2点が示されています。

  • 取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額すること
  • 支払った代金について割り戻しをすること

つまり、そのポイント付与と同時に購入した商品・サービスの代金を減額する場合だけでなく、次に購入する際に減額をする場合にも「値引」にあたることとなります。

以上のことから、無償で「おまけ」として付与する自社独自のポイントは通常、次回以降「1ポイント=1円」といった換算基準にしたがって利用できるという設計が多いため、この場合には、「値引」にあたり「景品類」には該当しないこととなります。ただし、「値引」以外の特典のついているポイントを付与する場合には、やはり「景品類」に該当して景品表示法(景表法)の規制の対象となることとなります。

なお、商品・サービスの代金の対価として利用できるポイントを付与する場合でも、自社サービス内でのみ利用できるポイントなのか、他社サービスでも利用できるポイントなのかによって、「値引」に該当して「景品類」にあたらないのかどうかの判断は異なることとなります。

というのも、他社サービスでも利用できるポイント(いわゆる「共通ポイント」)の場合には、ポイント発行者の商品・サービスの減額という意味だけでなく、他社の商品・サービス購入にも利用できるため「景品類」に該当してしまうわけです。

「景品類」にあたるポイントサービスの法的規制

ポイントサービス景品表示法付与上限

景品表示法(景表法)の「景品類」にあたる場合には、その最高額や総額が制限されます。これは、不当に高額な「おまけ」が付与されることを許してしまうと、「本体」ではなく「おまけ」を目的として顧客が購買を決定してしまい、消費者の自主的かつ合理的に決定できなくなってしまうおそれがあるからです。

そのため、上記の要件を検討した結果、開始するポイントサービスが「景品類」にあたると考えられる場合には、次に、景品表示法(景表法)に定められた景品規制が及ぶかどうかを検討することとなります。

そして、景品規制が及ぶかどうか、また、その際の金額などの規制については、ポイントの付与のしかたによって異なってきます。以下で、「懸賞・抽選でポイントを付与する場合」「全員にポイントを付与する場合」それぞれについて法的規制を解説します。

懸賞・抽選でポイントを付与する場合の法的規制

1つ目が「懸賞・抽選でポイントを付与する場合」です。景品表示法(景表法)の「懸賞」は、以下の2つの方法によって「景品類」を提供することとされています。

  • くじその他偶然性を利用して定める方法
    :例えば、「抽選で3名様にポイントをプレゼント」や「先着1名様にポイント付与」といったポイントキャンペーンによりポイントを付与する場合です。
  • 特定の行為の優劣または正誤によって定める方法
    :例えば、キャッチフレーズを公募し、優秀賞をとった人にポイントを付与する場合です。

景品表示法(景表法)の「懸賞」にあたる「景品類」の提供をする場合には、その取引額に応じた最高額、総額の法的規制があります。

懸賞による取引価額 景品類の最高額の限度額 景品類の総額の限度額
5000円未満 取引価額の20倍 懸賞に係る売上予定総額の2%
5000円以上 10万円 懸賞に係る売上予定総額の2%

例えば、ウェブサービスやアプリ内で1000円以上のサービスを利用したユーザーを対象にポイントプレゼントのキャンペーンを行う場合には、最高額の限度は20000円(1000円×20倍)となります。

購入者であれば購入額によらず対象とする場合には、「取引価額」は100円とすることとされています。つまり、最高額の限度は2000円(100円×20倍)となります。

なお、総額の規制は「売上予定総額の2%」とされていますが、「売上予定総額」の算出は、前年の販売実績などを参考に合理的に算定すればよく、結果的に売上が予想を下回り、「景品類」の総額が売上総額の2%を超えたとしても、それだけで法違反となるわけではありません。

全員にポイントを付与する場合の法的規制

2つ目が「全員にポイントを付与する場合」です。景品表示法(景表法)では、このように購入者や申込者全員に対して、もれなく「景品類」を提供することを「総付景品」といいます。

総付景品の場合には、懸賞による場合とは異なった法的規制があります。総付景品の場合には、その取引額に応じて、最高額の法的規制があります。

取引価額 景品類の最高額の限度額
1000円未満 200円
1000円以上 取引価額の20%

「取引価額」とは購入金額のことです。なお、購入者を対象とするけれども購入額を問わないで全員に景品類を提供する場合には、その景品類の最高額は「取引価額の20%」とされています。ただし、プレゼントの対象商品またはサービスの取引価額のうち、当該景品類提供の対象商品または役務について通常行われる取引価額のうちの最低のものが1000円を下回っていると認められるときは、取引価額を1000円として、景品類の最高額を200円とすることができるとされています。

以上のことから、購入者全員にプレゼントするというキャンペーンによって配布できる景品は、自社サービスの最低価格が1000円未満の場合には200円が上限となります。

また、自社サービスの最低価格が1000円以上の場合には、その最低価格の20%が上限となります。

(参考)資金決済法による制約

ポイントサービス景品表示法付与上限

最後に、景品表示法(景表法)と並んで、自社独自のポイントサービスの運用を開始する際に注意しておかなければならない法律である資金決済法における規制について、参考に解説します。

資金決済法では、次の3つの要件を満たすポイントについては「前払式支払手段」として制約を受けることが定められています。

前払式支払手段の要件

  • 金額等の財産的価値が記録されていること(価値の保存)
  • 金額・数量に応じた対価を得て発行されていること(対価発行)
  • 代価の弁済のために使用できること(権利行使)

これは、以上の要件を満たすポイントは、金銭と同じように取り扱われることから、ユーザーを不当に侵害しないよう、ポイント発行者の財産的基盤の確保などを行政が監督しておく必要があるためです。

そのため、前払式支払手段にあたるポイントを発行する場合には、責任の所在を明らかにする「表示義務」、財産的基盤を確保するために一定額を供託させる「供託義務」、「払戻の原則禁止」、「払戻義務」や、行政への「報告義務」といった義務を負うこととなります。

資金決済法による制約は、前払式支払手段の要件を満たさないようにポイントサービスを設計することにより、制約を回避することができます。実務上よく用いられる方法には、無償でポイントを付与するようにすることや、ポイントの利用期限を6か月以内とすること、といった対策があります。

ポイントサービスと、資金決済法の規制については下記にて詳細に解説しております。

参 考
自社のポイントサービスを導入する時の資金決済法上の注意点

ウェブサービス、アプリサービスを開始、運営するにあたり、そのサービス内で利用することができるポイントを付与することが増えています。 ウェブサービス、アプリサービス内で利用できるポイントサービスは、現金 ...

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ポイントサービス景品表示法付与上限

自社でポイントサービスを開始しようとするとき、法律に抵触しないかどうか、事業者は慎重に判断しなければなりません。今回はその中でも、無償でポイントを付与する場合にも適用されるおそれのある景品表示法(景表法)に関する規制と注意点について弁護士が解説しました。

なお、有償のポイントの場合には、資金決済法の「前払式支払手段」としてポイント発行者は更に厳しい義務を負う可能性がありますので注意が必要です。

法律違反とならず、かつ、サービスとしても有効なポイントサービスを設計するためには、法律の専門家である弁護士のアドバイスを受けることが有効です。特に、スタートアップ企業、中小・ベンチャー企業が新規性の高いビジネスを開始するときには、事前の適法性チェックが欠かせません。

ポイントサービスの適法性をはじめ、企業法務についてお悩みの会社は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

「ポイントサービス」弁護士解説まとめ

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