債権回収

民事執行法改正による財産開示手続・第三者からの情報取得手続

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民事執行法は、昭和54年に制定された、権利の強制的な実現についてのルールを定める法律です。平成15年と平成16年に改正がなされていますが、この度、権利実現手続きの更なる改善のため、改正がされています。

改正民事執行法は、2018年8月31日に開催された民事執行法部会第23回会議において「民事執行法制の見直しに関する要綱案」がとりまとめられたことからはじまり、2019年5月19日に可決成立、2019年5月17日に交付され、(一部を除き)2020年4月1日より施行されました。

改正民事執行法において重要となるのが、権利実現の実効性の向上という観点から、財産開示手続が拡充されたこと、そして、第三者からの情報取得手続が新設されたことです。裁判で勝訴をしても、相手の財産の所在がわからないがゆえに強制執行(差押え)ができない、という事態を改善するためのものです。

そこで今回は、民事執行法改正による財産開示手続、第三者からの情報取得手続、という財産を突き止めるための重要な制度について弁護士が解説します。

民事執行法が改正された理由

裁判で勝訴判決を得たり、公正証書を有していたりする場合には、これらの書面を「債務名義」として、対象者の財産を差し押さえることができます。このように権利を強制的に実現する手段を「強制執行」といいます。

しかし、強制執行をするためには、執行対象となる財産がどこにあるのかを特定しなければなりません。つまり、たとえ裁判で勝つことのできる権利を有していたとしても、最終的には、相手の財産のありかがわからなければ権利を実現することはできないのです。これは、個人間のお金の貸し借りであろうと、企業間の債権回収であろうと、夫婦間の養育費であろうと同じです。

債務者の財産内容、財産の所在を知らなければ、折角の勝訴も水の泡です。これまでも財産開示の制度は存在しましたがそれほど利用されておらず、裁判がわからず泣き寝入りせざるをえない人が少なくありませんでした。

そこで今回の民事執行法の改正は、「財産開示手続」の拡充、「第三者からの情報取得手続」の新設の2つの方法により、債務者の財産状況を調べるための制度を充実させることによって、差押えをより容易にすることを目指しています。

財産開示手続の拡充

権利実現の実効性を高める手段として用意された財産開示手続は、平成15年に民事執行法改正により導入されていました。

しかし、従来の財産開示手続には使いづらい面が多く、実効性に乏しいため、期待されたほど利用されてきませんでした。

そこで、2020年4月1日に施行された民事執行法改正では、債務者の財産状況を調査する方法を強化するため、財産開示手続について、「申立権者の拡大」「罰則の強化」という2つの拡充がなされました。

改正前の財産開示手続

2020年4月1日に改正民事執行法が施行される前にも、財産開示手続は存在していました。この財産開示手続は、勝訴判決、調停調書などの債務名義を有する債権者が裁判所に申し立てることによって、裁判所の非公開の財産開示手続にて、債務者の財産を陳述させる手続です。

しかし、改正前の財産開示手続は、次のような理由で実効性がなく、期待されたほど利用されてきませんでした。

  • 手続違反への制裁は30万円以下の過料のみ
    (正当な理由なく、呼出しを受けた財産開示期日に出頭せず、又は財産開示期日において宣誓を拒んだ場合、宣誓した開示義務者が、正当な理由なく陳述を拒み、又は虚偽の陳述をした場合)
  • 勝訴判決、調停調書などの債務名義を獲得しなければ財産開示手続制度が利用できない

債権の有無や金額などが訴訟で争いになるとき、その金額は少なくとも30万円を超えることが多く、制裁が十分ではないことにより、強制執行から逃げる債務者は財産開示手続には応じないほうが合理的ということになってしまっていました。

申立権者の拡大

民事執行法改正による財産開示手続の拡充の1つ目は「申立権者の拡大」です。

これまでは、財産開示手続を利用するためには確定判決などが必要とされており、仮執行宣言付判決、執行証書(公正証書)、確定判決と同一の効力を有する支払督促は除外されていました。しかし、確定判決以外の債務名義も、「強制執行が可能である」という点においては違いはなく、財産開示手続を利用する必要性は同じであり、確定判決などに限定する理由は必ずしもありません。

改正された民事執行法では、金銭債権についての強制執行の申立てをするのに必要とされる債務名義を得ていれば、その種類を問わず、財産開示手続の申立てを行うことができるようになりました。

改正により拡大された申立権者は、具体的には、具体的には、仮執行宣言付支払督促、仮執行宣言付損害賠償命令、公正証書といった債務名義を有している債権者です。

罰則の強化

民事執行法改正による財産開示手続の拡充の2つ目は「罰則の強化」です。

改正された民事執行法では、財産開示手続における手続違反に対する罰則を強化することで、その実効性を高めることを目的としています。具体的には、改正民事執行法において、手続違反の罰則は「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされました。

つまり、金額が30万円から50万円に引き上げられただけではなく、「過料」という行政罰ではなく懲役・罰金という刑事罰が定められ、悪質な場合には懲役刑となってしまう可能性があることにより、実効性の向上が期待できます。

第三者からの情報取得手続の新設

2020年4月1日に施行された改正民事執行法では、公的機関から不動産・給与債権に関する情報を取得する制度、民間企業から預貯金債権・振替社債などに関する情報を取得する制度が設けられました。

この制度を、第三者からの情報取得手続といいます。

財産開示手続は、罰則をどれほど強化したとしても、情報元は債務者自身であるという限界がありました。これに対して第三者からの情報取得手続は、債務者以外の、情報を管理する公的・民間の期間から情報を直接得ることができる制度です。得られる情報は、主に、不動産・給与債権・預貯金債権の情報です。

これらの情報の取得は、個人情報やプライバシーに属するもので、本来はみだりに開示されてはならない情報ですが、要件を充足する場合には情報取得により得られる利益のほうが大きいと考えられ、制度の創設に至りました。

第三者からの情報取得手続の管轄は、第一次的には、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所、第二次的に、債務者の普通裁判籍がない場合に備えて、情報提供義務者の所在地を管轄する地方裁判所とされています。

不動産に関する情報取得手続

改正民事執行法では、登記所から、債務者が所有権の登記名義人である不動産(土地または建物など)に関する情報を取得することができる手続を定めています。これを、不動産に関する情報取得手続といます。

不動産に関する情報を入手することができれば、その不動産に強制執行を行い、強制競売をすることにより、その売却代金から金銭債権を回収することができる点で、不動産は差押えの対象として優先度の高い財産です。

不動産に関する情報取得手続を利用するためには、金銭債権に関する執行力のある債務名義の正本、もしくは、債務者の財産について一般先取特権を有することを称する文書が必要とされています。加えて、強制執行を開始するための一般的な要件が備わっていることに加えて、先に実施した強制執行が不奏功に終わったことなどの要件が必要となります。

なお、不動産に関する情報取得手続の申立ては、財産開示期日が実施されてから3年以内に限り行うことができるとされ、原則として、財産開示手続を先に行うこととされています。

給与債権に関する情報取得手続

改正民事執行法では、市区町村や厚生年金保険の実施期間などから、債務者の給与債権に関する情報を取得する手続を定めています。これを、給与債権に関する情報取得手続といいます。

給与債権の差押えを行うためには、給与の支払先、つまり、雇用主を知らなければならないところ、この手続によって給与の支払先を知り、給与債権の差押えに役立てることができます。給与は債務者の生活の糧となるものであり、転職を頻繁に繰り返すことは現実的ではないことから、給与もまた、差押えの対象として優先度の高い財産です。

給与債権に関する情報取得手続を利用するためには、扶養義務などに係る請求権または人の生命もしくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者であることが必要となります。

また、不動産に関する情報取得手続と同様、先に実施した強制執行の不奏功、財産開示手続の前置が要件となります。

給与の差押えは、債務者の生活に深刻な影響を与える場合があるため、差押え可能な金額が制限されています。

具体的には、一般的な債権の場合には、給与額の4分の1、または、33万円を超える部分についてのみ、給与の差押えが可能とされています。例外的に、婚姻費用や養育費などの請求を求めて差押えをする場合には、給与の2分の1まで差押えをすることができます。

預貯金債権等に関する情報取得手続

改正民事執行法では、銀行などの金融機関から、債務者の預貯金債権などに関する情報を取得する手続、振替機関などから債務者の振替社債などに関する情報を取得する手続を定めています。これを、預貯金債権等に関する情報取得手続といいます。

預貯金などの差押えをするのに必要となる、金融機関名、取扱い支店名、口座種別、口座番号、調査時点の残高といった情報を、この手続によって取得することができます。

残高の存在しない金融機関や口座に強制執行することは手間と費用の無駄に終わりますが、この手続を利用することにより、残高の存在する場合に差押え手続に移ることができます。

先に実施した強制執行の不奏功が要件となることは上記2つの手続と同様ですが、預貯金債権等に関する情報取得手続では、財産開示手続の前置は要件となっていません。

「債権回収」は浅野総合法律事務所にお任せください!

今回は、2020年4月1日より施行された民事執行法改正のうち、財産開示手続、第三者からの情報取得手続という、債務者の財産を調べるための方法について弁護士が解説しました。

せっかく債権回収について勝訴判決を得たり、養育費について公正証書による約束を得たりしても、これまでは財産が見つからないために泣き寝入り、という事態が残念ながらありました。

今回解説した改正民事執行法の手続きはいずれも、民事執行制度について最近の情勢を踏まえ、「債権者が債務者の財産を知らないとき勝訴判決の強制的な実現が困難となる」という現状抱える課題を解決するためになされた重要な改正です。

改正後の民事執行法によって拡充された法的手続を利用して債権回収をお考えの方は、ぜひ一度当事務所へ法律相談ください。

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