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債権回収を、裁判所を利用して実現する方法と、裁判手続きの種類まとめ

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

債権回収を実現する方法には、債務者との話し合い(協議)による方法もありますが、任意に返済に応じてくれない債務者に対しては、裁判所を利用した裁判手続きによって回収を進める必要があります。

債権回収は、スピーディに進めなければ回収不能となってしまうおそれがあります。債務者が債務の存在について争うケースや、債務額の主張に大きな開きがあるケースでは、交渉にこだわって長期化するのでなく、早期の債権回収を実現するため、裁判手続きを活用しなければなりません。

債権回収のうち、裁判手続きを利用する方法には、次のように多くの方法があります。

各裁判手続きにはメリット・デメリットがあり、迅速かつ円滑に債権回収を進めるためには、事案に応じた適切な手段を選択しなければなりません。

今回の解説では、

  • 裁判手続きによる債権回収の流れ
  • 裁判で債権回収を実現するための手続き
  • 債権回収の裁判手続きを弁護士に依頼するメリット

といった裁判手続きを利用した債権回収に関する法律知識について、弁護士が解説します。

目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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裁判手続きによる債権回収の流れ

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

裁判手続きにより債権回収する流れは、次の3段階に分けることができます。

交渉によって返済してもらえる可能性があるときには、まずは話し合いからスタートしますが、任意に返済してもらうことが難しいときは、債権回収を強制的に実現するため、速やかに裁判手続きへ移行する決断をしてください。

上記の順序にしたがい強制的に債権回収する流れへと進めなければ、債務者に逃げられてしまったり、他の債権者に先取りされてしまったりして回収困難となってしまうおそれがあるからです。

債務者の財産を保全する

裁判手続きで強制的に債権回収が実現できるとしても、債務者がまったく財産を有していなかったり、財産隠しされてしまったりすると、回収が事実上不可能となってしまいます。せっかく裁判で勝訴しても回収できないといった事態を避けるため、債務者の財産を把握し、保全しておくことが重要です。

そのため、あらかじめ財産がなくなってしまうことを防ぐため、民事保全手続きによって債務者の財産を保全しておく方法が有効です。信用不安が予想されるときは、早急に対処しなければなりません。

民事保全でよく使われるのは、仮差押え、仮処分があります。

  • 仮差押
    不動産や預貯金などの財産を仮に差押えておき、裁判で勝ったときには債権の支払いに充当してもらうことができる
  • 仮処分
    散逸しやすい財産の処分を仮に禁止してもらうことができる

ただし、いずれも「仮」の手続きであるため、裁判所に認めてもらうためには「債務者が逃げそうだ」、「交渉に全く応じてくれない」など、緊急性、必要性があることが要件となります。

債権回収を確実にするためには、あらかじめ人的担保(連帯保証人など)、物的担保(不動産への抵当権設定など)といった担保を取得することも有効です。担保をとっていたときは、担保権の実行による債権回収をすることもできます。

債務名義を取得する

債権回収で裁判手続きを利用する大きな目的は、「債務名義を取得すること」にあります。

債務名義とは、強制的な債権回収を認める文書であり、債務名義があれば、その記載された請求権の範囲で、強制執行(財産の差押え)により、強制的に債権回収を実現できるからです。

代表的な債務名義には、次のものがあります(このうち、公正証書以外は、すべて裁判手続きで作成されます)。

  • 確定判決
  • 仮執行宣言付判決
  • 仮執行宣言付支払督促
  • 裁判上の和解調書
  • 認諾調書
  • 公正証書(強制執行認諾文言付き)

強制執行(財産の差押え)

債務名義を取得すれば、強制執行(財産の差押え)が可能です。そのため、裁判で勝っても債務者が従わないときは、最終手段として、強制執行の申立てをします。

強制執行では、債務者の財産を差押え、強制的に換価し、債権の弁済に充当することができます。不動産(土地・建物など)があるときには、競売して債権回収にあてる不動産執行、預貯金や給与を差押えて債権者に支払ってもらう債権執行がよく利用されます。

特に、債務者が企業であれば、取引のための口座を差押えられると信用が低下し、経営に支障が生じるため、確実に払ってもらうことが期待できます。

なお、強制執行もまた裁判手続きであり多くの手間と費用がかかるため、債務名義を得た後で、最後に一度、強制執行によるプレッシャーを武器に交渉することがおすすめです。

裁判で債権回収を実現するための手続き

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

債権回収を話し合いでは実現できないときにとるべき、裁判手続きを利用して債権回収を実現する方法には、次のものがあります。

上記の裁判手続きのうち、どの手段をとるべきかは、債権者側の方針、債務者の交渉態様、財産の状況などによって選択する必要があります。

最もよく利用されるのは「通常裁判を行い、勝訴判決を取得し、強制執行を行う」という流れですが、債権者が手続き費用をできるだけ抑えたいという意向があるケースや、債務者の財産がなくなるおそれが強く、逃げられる前に早急に進める必要があるケースなどでは、その他の方法をとることもあります。

民事調停

債権回収の方法として、民事調停を利用するケースがあります。民事調停は、裁判手続ではあるものの、あくまでも調停委員の仲裁のもとに債権者と債務者が話し合って解決するという制度です。

当事者間の交渉ではうまく進まないものの、それほど主張に大きな差がないなど第三者が仲裁すれば調停成立の可能性があるとき、民事調停が最適です。民事調停では、通常訴訟より申立費用が安く、申立手続きも簡易なため、弁護士に依頼しなくても行うことができます。必ずしも法律と証拠に基づいた解決でなく、柔軟に話し合いを進められるメリットもあります。

ただし、通常訴訟に比べて強制力が弱く、相手が民事調停を欠席し、話し合いに応じないときは調停不成立となり終了してしまいます。また、話し合いで解決するため、債権者側にも一定の譲歩を求められることが多いです。そのため、当事者間の主張の乖離が大きいとき、民事調停で解決することはできません。

支払督促

支払督促は、債権者の申立てに基づいて、実質的な審理なしに、簡易裁判所の書記官が債務者に対して金銭支払いを命じてくれる手続きです。

通常訴訟に比べて、期日のために裁判所にいく必要はなく、申立手数料も通常訴訟の半額と安いため、裁判所からのプレッシャーがかかれば支払ってくれそうなときは有効に活用できます。支払督促は、オンライン申立てをする方法もあります。

支払督促が送達されて2週間経過すると、支払督促に仮執行宣言を付すことができ、仮執行宣言付支払督促が得られれば、これを債務名義として強制執行(財産の差押え)を進めることができます。ただし、2週間以内に債務者が督促異議を申し立てると、通常訴訟に移行してしまいます。

支払督促によって債権回収するときの進め方は、次のとおりです。

  • 支払督促の申立て
  • 支払督促の発布・債務者への送達
  • 仮執行宣言の申立て
    (異議申立て期間経過後、30日以内)
  • 仮執行宣言の発布・債務者への送達
  • 仮執行宣言付支払督促による強制執行

支払督促を利用した債権回収に向いているのは、債権の存在や債権額に争いがなく、債務者から督促異議が申し立てられる可能性が低いケースです。このような場合、単に債務者の中での支払いの優先度が低いだけで、裁判所からのプレッシャーがかかれば返済に応じてくれることが多いからです。

通常訴訟

通常訴訟は、債権回収で最もよく利用される裁判手続きです。債権回収の話し合いが難航し、交渉で払ってもらうことが難しいというときは、速やかに訴訟提起をするようにしてください。

通常訴訟では、債権者・債務者がそれぞれ訴状・答弁書・準備書面といった書面で主張を行ったり、証拠を提出したりして、裁判所の審理を進めます。特に、裁判所の審理では証拠が重要となりますから、債権を証明するため、次のような証拠の準備が欠かせません。

  • 契約書
  • 借用書
  • 発注書・受注書・納品書など
  • 仕事を依頼し、業務遂行したことを示すメール、チャットのやりとり
  • 債務者が債務の存在を認めた証拠

通常訴訟では、債務者が争ってくるときには半年〜1年程度の期間がかかってしまうことがあります(債務者が控訴・上告してくるときは更に長期化します)。一方で、債権回収の訴訟では、事実関係にはあまり争いがないことも多く、裁判手続きの中で和解をすることで、早期に解決できるケースも少なくありません。

特に、債権についての証明が十分できており、債務者の資力不足から、一括払いが難しく分割払いの和解をするといったケースでは、訴訟提起でプレッシャーをかけることにより、債権回収を促進することができます。

通常訴訟による債権回収は、次のような流れで進みます。

  • 訴訟提起(訴状提出)
  • 期日の呼出
  • 答弁書提出
  • 第1回期日〜(主張の整理)
  • 証拠調べ(書証調べ、証人尋問など)
  • (和解)
  • 判決
  • 判決書による強制執行

通常訴訟は、裁判手続きの中で最も正式なものであり、訴状や準備書面などの書類作成に手間がかかるほか、他の手続きより多くの申立費用(印紙代)を要します。そのため、あらかじめ証拠収集を十分に行い、債権回収が実現できるかどうか、見通しの検討が必要となります。

少額訴訟

少額訴訟は、60万円以下の債権回収で利用できる、簡易裁判所で行われる簡易な裁判手続きです。

少額訴訟では、原則として1回の期日にて集中審理し、その日のうちに判決を言い渡される(民事訴訟法368条)ため、早急な解決が可能であり、通常訴訟に比べて費用も安いというメリットがあります。

一方で、債務者が異議を述べたときには通常訴訟に移行してしまうこと、同一の簡易裁判所に対して1年に10回までしか提起できないことといったデメリットがあります。そのため、争いが大きいときには、少額訴訟を使うとかえって時間がかかってしまうおそれがあります。

少額訴訟による債権回収は、次のような流れで進みます。

    • 訴訟提起(訴状提出)
    • 期日の呼出
    • 答弁書提出
    • 第1回期日において判決

(異議申立てがされると、通常訴訟に移行)

  • 判決書による強制執行

なお、少額訴訟の審理では、即時に調べられる証拠しか調べてもらえないため、少額訴訟で債権回収を実現するには、有利な書証を持参したり、証人に同行してもらったりといった準備が必要です。

即決和解

即決和解は、当事者間で合意した内容について、簡易裁判所で即時に和解を成立させる裁判手続きです。

当事者間で作成した和解書しかないと、和解書どおりに支払われなかったとしてもすぐに強制執行はできず、あらためて訴訟提起しなければなりません。即決和解しておけば、債務名義を取得でき、約束どおりに払われなかったときすぐ強制執行することができます。

即決和解は、公正証書に比べて費用が安く、金銭債権以外の内容も盛り込めるメリットがあります。

債権回収の裁判手続きを弁護士に依頼するメリット

最後に、債権回収を裁判手続きによって実現するとき、弁護士に依頼するメリットについて解説します。

最適な裁判手続きを選択できる

上記に解説したとおり、債権回収のために利用できる裁判手続きには、最もよく利用される通常訴訟だけでなく、民事調停、支払督促、少額訴訟など多くのものがあり、状況にあわせた最適な手段を選択しなければなりません。また、債務者の対応が不誠実なときは、民事保全、強制執行(財産の差押え)を活用する必要があります。

手続き選択は、費用面や回収可能性を比較し、債務者側の対応も見ながら慎重に検討しなければなりません。

債権回収の経験豊富な弁護士に相談すれば、状況に応じたアドバイスをもらうことができます。

迅速に債権回収を進められる

債権回収で裁判手続きを利用するとき、いずれの手続きを選択するとしても、裁判所に提出するための書類を作成しなければなりません。裁判所の手続き書類は複雑であり、特に、通常訴訟などの正式な方法の場合には、弁護士に依頼せずに債権回収を実現することは困難です。

弁護士は、裁判所の手続き書類の作成、裁判手続きの申立てを日常的に行っているため、速やかに書面を作成し、手続きを進行してもらうことができます。債権回収は、債務者に逃げられる前に行う必要があるため、スピード重視で進めなければならないため、弁護士への依頼が有効です。

請求する債権額の上限がない

債権回収は、弁護士だけでなく、司法書士、行政書士などが担当することがあります。一般的に、弁護士費用よりも、他の士業の費用のほうが割安に設定されています。

しかし、行政書士は、債権回収について代理人として交渉することが禁止されているため、あくまでも交渉は本人が行う必要があります。また、司法書士は簡易裁判所で行う裁判手続き(訴額140万円まで)しか代理することができません。

そのため、代理人として裁判手続きを行い、債権回収を確実に図るためには、弁護士に依頼することが結果的に早く、コストの面でも優位であることが多いです。

債権回収は浅野総合法律事務所にお任せください!

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

今回は、裁判手続によって債権回収を実現するために理解すべき知識について弁護士が解説しました。

「裁判所を利用した債権回収」というと、時間や費用がかかりハードルが高いものと考える方も多いことでしょう。しかし、「費用をかけずにもう少し交渉しよう」、「話し合いで払ってもらえるかもしれない」と交渉に固執し、問題解決を先延ばしにしていると、債務者の財産がなくなってしまったり破産してしまったりして、回収できなくなってしまうおそれがあります。

債権回収トラブルでは、長期化すれば証拠が散逸したり、財産隠しされたりなど、本来であれば得られた有利な解決を逃してしまうリスクがあります。

裁判手続きによる債権回収をお考えの方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。

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