債権回収

裁判で債権回収を実現するための裁判手続の全まとめ

2020年11月4日

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裁判で債権回収する裁判手続まとめ

債権回収をする方法には、債務者との話し合い(協議)によって回収する方法もあり、任意に返済に応じてくれる債務者との間では有効です。

しかし、実際には、債務者が任意の返済には応じてくれないことがあります。債権額に争いがある場合のほか、債務者が「返済の義務なし」と考えている場合もあります。このような場合には、交渉にこだわって長期化させてしまうのではなく、早期の債権回収を実現するために裁判所のおける手続きを活用していくこととなります。

裁判所を通じた債権回収の流れは、債務名義を取得した上で、債務者の資産を強制執行により差押え、換価して債権回収をすることとなりますが、その債務名義の取得方法には、通常訴訟だけでなく、少額訴訟、支払督促、民事調停、手形訴訟、即決和解といったさまざまな方法があります。

そして、それぞれの裁判手続きにはメリットとデメリットがあるため、迅速かつ円滑に債権回収を進めるためには、事案に応じた適切な手続きを選択する必要があります。

そこで今回は、裁判で債権回収を実現するために知っておくべき全裁判手続きを、弁護士がまとめて解説します。なお、債権回収を実現するためには、事前に財産を保全しておく「民事保全」や、債務名義取得後の「民事執行」についての知識も不可欠です。

裁判による債権回収の流れ

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

債務者が、交渉に応じないなど、任意の返済をしてくれない場合には、債権回収を強制的に実現するためには裁判が必要となります。裁判で債権回収をするためには相当な時間と費用がかかるため、できれば話し合いで解決したいところではありますが、裁判にすることをあきらめてしまえば、支払を拒否する側に「ゴネ得」を与えてしまうこととなります。

裁判手続を利用した債権回収では、債務名義を取得した上で、債務者の財産を差押え、強制的に換価し、債権の弁済に充当する、という流れとなります。

債務名義とは、強制的な債権回収を認める文書のことであり、主に裁判所で下される判決などがこれにあたります。債務名義には、請求権の存在と範囲、債権者、債務者などが記載されています。したがって、裁判手続で債権回収するときには、この債務名義の獲得を目指すこととなります。

債務名義にあたる文書には、次のようなものがあります。このうち、強制執行認諾文言付の公正証書以外の文書は、すべて裁判所が関与して作られるものです。

  • 確定判決
  • 仮執行宣言付判決
  • 仮執行宣言付支払督促
  • 裁判上の和解調書、認諾調書
  • 強制執行認諾文言付の公正証書

なお、せっかく債務名義を得ても、債務者がまったく財産を持っていなければ債権回収は実現できませんから、あらかじめ財産の散逸・隠匿を防ぐために、仮差押えなどの民事保全の手続を駆使する必要があります。

裁判で債権回収を実現するための手続

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

債権回収を進める方法として裁判手続を選択する第一の目的は、勝訴判決を獲得して、強制的に債権を回収することにあります。しかし、その間に有利な和解が成立したり、裁判を提起したことによって交渉が促進されたりといった付随的なメリットを生むこともあります。

このように裁判手続を利用して債権回収を有利に進めるためには、利用できる裁判手続の選択肢が多く存在することを理解しておき、その中でもケースに応じた最適な手続を選ばなければなりません。

そこで次に、裁判で債権回収を実現するための手続の内容について、弁護士が解説します。

通常訴訟

通常訴訟では、双方の当事者が書面を提出して主張を行い、主張を基礎づける証拠を裁判所に提出して審理を進めていきます。通常訴訟における債権回収の審理では、証拠が重視されるため、有利な証拠をあらかじめ準備しておく必要があります。

債権回収をめぐる通常訴訟で、提出すべき証拠には、例えば次のようなものがあります。

  • 回収すべき債権の存在を証明する証拠
    :契約書、発注書、受注書、納品書、発注を示すメールや議事録、仕事の完成を示す書面など
    (その他、当事者間の契約類型により、準備すべき証拠が異なる場合があります。)
  • 債権回収トラブルが発生した後の当事者間のやり取り
    :メール、SNS、LINEなどのやり取り、通知書、回答書など交渉に要した書面など

証拠の収集についても、当事者だけでは難しい場合には、弁護士会照会、当時者照会、文書送付嘱託、文書提出命令など、弁護士や裁判所の力を借りた証拠収集を検討すべき場合があります。

通常の民事訴訟は、提訴から解決まで1年から2年程度かかることが一般的であり、相手方が控訴、上告などをして長期化する場合には、更に3年から5年程度の時間がかることもあります。また、このような長期の紛争を遂行するためには、相当程度の弁護士費用がかかります。

通常訴訟の中で、裁判所の勧奨のもとに和解が成立することもあります。和解により解決できれば、通常訴訟の方法を利用した場合でも、比較的早期に債権回収トラブルを決着させることができます。

また、和解で解決ができれば、「確定判決を得られたのに債権回収ができず、強制執行をしなければならない」という事態にはならず、任意の債権回収が実現できる可能性が高まります。

少額訴訟

少額訴訟とは、回収すべき債権の金額が60万円以下のときに利用できる、簡易裁判所で行われる簡易な訴訟手続です。

少額訴訟では、60万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについて、簡易裁判所において、原則として1回の口頭弁論期日における集中審理によって、その日のうちに判決を言い渡すことができます(民事訴訟法368条)。そのため、弁護士に依頼せずに本人訴訟で債権回収を行おうとするときは、少額訴訟の手続を利用することに大きなメリットがあります。

少額訴訟は、同一の簡易裁判所に対して、1年に10回までしか提起することができないという制限があります。

また、少額訴訟で審理の対象となる証拠は、即時に取り調べられる証拠のみとされています。そのため、少額訴訟で、債権回収トラブルについて有利な解決を得ようとするのであれば、自身に有利な書証を期日に持参したり、証人となる人がいれば期日に同行してもらったりといった準備が必要となります。

なお、訴えられた側(被告)が、初回の口頭弁論期日の弁論までに異議を述べた場合には、通常訴訟に移行します。

支払督促

支払督促とは、金銭などの支払を目的とする請求について、債権者の申立てに基づいて、実質的な審理をせずに簡易裁判所の裁判所書記官が支払を命じる手続です。

債権者に対して支払督促の送達後、債務者の異議申立がないまま2週間を経過すると、債権者の申立てにより支払督促に仮執行宣言を付すことができます。仮執行宣言付支払督促を得られれば、これを債務名義として、強制執行により債権回収を実現することができます。

これに対して、2週間以内に債務者から督促異議が出された場合には、支払督促は失効し、通常訴訟の手続が開始されます。

支払督促は、債権回収トラブルの中でも、債権の存在や債権額に争いがないにもかかわらず債務者が支払ってこないような場合に、簡易迅速に解決するために利用されます。このようなケースでは、単に債務者の中で支払の優先度が低いだけに過ぎず、訴訟をするほどの意思があることを示せば債権の支払がなされることが多いためです。

一方で、債権の存在や債権額に争いがあるなど、督促異議が出ることが容易に想定されるような債権回収トラブルでは、最初から通常訴訟を利用すべきです。

民事調停

民事調停は、裁判所で行われる手続の中でも話し合いを重視した手続きであり、裁判官である民事調停官と、2名以上の調停委員によって組織される調停委員会が間をとりもって話し合いを促進する手続です。

民事調停は、債権回収トラブルの中でも、第三者の協力があれば話し合いで解決できそうな場合や、証拠が必ずしも十分ではなく柔軟な解決を希望するような場合に大きなメリットがあります。

民事調停による債権回収は、費用や時間を節約することができる反面で、訴訟に比べて強制力が弱いため、自社側にとっても一定の譲歩が必要となります。また、強制力がないために、相手を強制的に呼び出すことができず、調停期日に欠席されてしまうと、調停不成立で終了してしまいます。

そのため、債権の存在や債権額に大きな争いがあるなど、当事者間の主張の乖離が大きい場合にはかえって時間がかかってしまう場合もあり、適切な手段とはいえません。

なお、話し合いを重視して債権回収を図る方法には、民事調停以外に、訴訟手続によらない紛争解決制度(ADR)が利用される場合もあります。

手形訴訟・小切手訴訟

手形訴訟は、手形にまつわる金銭トラブルについて、通常の訴訟手続よりも簡易迅速に解決するために利用される訴訟手続です。手形が不渡りとなると倒産をする可能性が高まることから、迅速な解決が必要となるためです。

手形訴訟では、提出できる証拠が手形や契約書などの書証に限定されており、審理も原則として1回の期日で終了します。民事訴訟法350条以下に、手形訴訟についての詳しいルールが定められています。

手形訴訟の判決前に原告が移行の申述をした場合、手形判決に対して当事者が異議申立をした場合には、通常訴訟へ移行します。

なお、小切手についても、手形訴訟と同様に小切手訴訟の手続が設けられています(民事訴訟法367条)。

即決和解

即決和解は、起訴前和解とも呼ばれ、当事者間で話し合いにより合意に達している内容について、簡易裁判所において即時に和解する手続です。

任意の話し合いによって債権回収トラブルに決着がついたとしても、当事者間で作成した和解書しかない場合には、その後に和解書どおりの支払いがなされない場合には、あらためて訴訟提起をしなければなりません。これに対して、即決和解をして債務名義を得ておけば、約束違反の場合には強制執行に進んで債権を回収できます。

当事者間で債務名義を作る方法には、強制執行認諾文言付公正証書を作成する方法もありますが、即決和解のほうが費用が安く、金銭債権以外の内容を含むことができるというメリットがあります。

(参考)債権回収を実現するためのその他の裁判手続

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

今回は、裁判所を利用した裁判手続によって債権回収を実現するための方法について解説しました。

最後に、参考として、裁判所による債権回収を実現するために理解しておくべき保全・執行の手続きと、国際取引でよく利用される裁判外の解決手段である仲裁手続について解説します。

民事保全

債権回収を進めるときに重要なことは、債務者の財産を把握し、保全しておくことです。せっかく裁判で勝っても、債務者にまったく財産が存在しないのであれば、債権回収をすることはできません。

そのため、民事保全の手続を、債権回収を本格化させる前に行うことを検討する必要があります。信用不安が生じることが予想される場合には、早急に対応しなければなりません。

主な民事保全の手続には、不動産や預貯金といった財産をあらかじめ差押えておく「仮差押」の手続と、散逸しやすい財産の処分を禁止するなどの「仮処分」の手続があります。いずれも「仮」の手続であるため、認めてもらうためには緊急性、必要性があることが要件となります。

民事執行

裁判で勝訴判決を得たとしても、これに素直に従わない債務者もいます。そのため、裁判の結果を強制的に実現するための方法が、民事執行です。

民事執行は、債務名義をもとに財産を差押え、換価し(お金に換え)、債権に充当するという手続です。差押える財産によって、不動産を競売して債権回収を行う「不動産執行」、貴金属など貴重な動産を競売して債権回収を行う「不動産執行」、預貯金債権、給与債権などを差押える「債権執行」などがあります。

仲裁

仲裁とは、国際取引においてよく利用される手続であり、当事者間の紛争について仲裁機関ないし仲裁人による仲裁判断に委ねるという方法をいいます。

国際取引では、裁判管轄がどこに存在するかという国際法の専門的知識が必要になり、かつ、その管轄が自国ではないとき裁判手続を遂行することが困難であったり、思わぬ法的リスクを背負ってしまっていたりすることがあります。このような問題を回避するために利用されるのが、仲裁手続です。

契約書に仲裁条項があり、当事者間の紛争について仲裁を用いることが約束されていた場合には、当事者の合意のない限り訴訟に持ち込むことはできず、仲裁機関ないし仲裁人の裁定に不服があったとしても裁判手続で解決することはできません。

「債権回収」は浅野総合法律事務所にお任せください!

裁判で債権回収する裁判手続まとめ

今回は、裁判手続によって債権回収を実現するために理解しておくべき知識について弁護士が解説しました。

「裁判所を利用して債権回収をする」というと、時間や費用が多くかかり、とてもハードルが高いと感じる方も多いです。しかし、「もう少し交渉してみよう」「話し合いでなんとかなるかもしれない」とこだわって問題解決を先延ばしにし、長期化させてしまえば、泣き寝入りとなってしまうおそれがあります。

債権回収トラブルについて、長期化すれば証拠が散逸したり、証拠を隠されてしまったり、証人となる人の記憶が曖昧になってしまったりして、本来であれば得られたはずの有利な解決を逃してしまうリスクもあります。

裁判手続をはじめ、債権回収にお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

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