慰謝料や損害賠償、未払い債権の回収など、金銭を請求する訴訟は「請求する側」が起こすのが通常ですが、請求される側が起こすのが「債務不存在確認訴訟」の特徴です。
例えば「突然、高額な請求をされたが身に覚えがない」「支払い義務があるか疑わしいから争いたい」といった状況に直面したとき、債務不存在確認訴訟を提起することで、「特定の債務や支払い義務が存在しない」と裁判所に認めてもらうことができます。債務不存在確認訴訟を利用すれば、不当なお金を払わされるリスクを回避できます。
一方で、請求する側にとって、債務不存在確認の訴えを起こされることは「交渉決裂」を意味します。感情的に請求を続けても、相手が任意に払う可能性はなくなったと考え、裁判で争うべきです。特に、交通事故のトラブルで「自分は被害者だ」と思っていたのに「加害者」から債務不存在確認訴訟を起こされたケースは、慎重な対応を要します。
今回は、債務不存在確認訴訟の基本的な仕組みや活用方法、訴えられた際の対応策について、弁護士が詳しく解説します。
- 債務不存在確認訴訟は、請求訴訟とは逆に「請求される側」が起こす裁判
- 債務不存在確認訴訟は、被請求側のタイミングで起こされる
- 訴訟を起こされても主張をあきらめず、裁判で正当な権利を主張する
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/
債務不存在確認訴訟とは

はじめに、債務不存在確認の法的な意味について解説します。
債務不存在確認訴訟の意味
債務不存在確認訴訟とは、特定の債務や支払い義務が「存在しないこと」を裁判で確認する手続きです。一般に、金銭請求を受けた側(債務者)が、「その支払い義務はない」と主張する際に、裁判所にその確認を求める形で訴訟提起します。
通常、債権者が債務者に請求するにあたり、債権者が訴訟を起こし、裁判所で債務の有無を争います。これに対して債務不存在確認訴訟は、「支払い義務がないことを確認する」という目的のために「債務者側が起こす訴訟」という特徴があります。
債務不存在確認訴訟は、「債務が一切ない」と主張するケースだけでなく、一定の責任は認める(が、それ以上の債務は存在しない)と主張する際にも利用可能です。
債務不存在確認訴訟の法的根拠
債務不存在確認訴訟は、権利または法律関係の確認を求める「確認訴訟」の一種です。
裁判する権利は国民全員に与えられており、請求側の起こす裁判(請求訴訟)だけでなく、被請求側の起こす裁判(債務不存在確認訴訟)も、法的に認められた訴訟類型です。
ただし、確認訴訟は、「確認の利益」が認められる場合にのみ提起できます。
債務不存在確認訴訟における確認の利益は、裁判を通じて債務の有無を確定する必要がある場合に認められますが、請求を受けることで法的な不利益を被る可能性があり、訴訟で確定させる必要のある状態でなければなりません。少なくとも、単なる仮定や抽象的な不安では確認の利益が認められず、具体的な争いが生じている必要があります。
債務不存在確認訴訟が活用される具体例
債務不存在確認訴訟は、主に以下のようなケースで活用されます。
架空請求や過大請求をされた場合
相手から架空請求や過大請求をされた場合、債務不存在確認を請求すべきです。
- 取引先から契約内容と異なる請求を受けた。
- 支払い済みの代金なのに、二重請求された。
- 法的根拠のない請求で脅された。
身に覚えのない請求を受けたとき、まずは交渉で拒絶するのが通常ですが、請求する側が自身の主張に固執し、しつこく請求を繰り返すとき、交渉では解決困難なこともあります。この場合、相手が請求を取り下げないと、無用な対応を強いられ、時間や手間がかかるリスクがあります。
債務不存在確認訴訟を提起すれば、裁判所の判断を得て「支払い義務がないこと」を確定させることができます。
交通事故の損害賠償請求の例
交通事故のトラブルで、加害者側から「賠償すべき損害がないことの確認を求める」という形で、債務不存在確認訴訟が提起されるケースがあります。
交通事故の裁判では、被害者が加害者に対して、治療費、休業損害、後遺障害慰謝料や逸失利益などの損害を請求するのが通常です。しかし、被害者側が法外な賠償金を請求した場合や、話し合いでは解決しないほど感情的に対立している場合も多く、交渉で解決できないときに加害者側から裁判手続きを利用するケースもあります。
債務不存在確認訴訟と債務請求訴訟の違い

次に、債務請求訴訟と債務不存在確認訴訟の違いと、特有の注意点を解説します。
債務の支払いを巡る訴訟は、通常、債権者から債務者に対して訴える「債務請求訴訟」です。債務請求訴訟が、債権者から債務者に対して支払いを求めるのに対し、債務不存在確認訴訟では、債務者側が「そもそも支払い義務がない」と主張して訴える点が異なります。
いずれの訴訟も、「債務が存在するかどうか」について互いの主張と証拠による立証が戦わされ、裁判所の判断が下される点は変わりません。また、損害賠償請求権についての立証責任は「請求する側(債権者側)」にある点も共通します。
提起する側が異なる
第一に、提起する側が異なります。債務請求訴訟は、債務を請求する側(債権者)が起こすのに対して、債務不存在確認訴訟は、請求される側(債務者)が起こします。
主張する内容が異なる
第二に、主張する内容が異なります。債務請求訴訟は、「支払いを請求する」という主張をするのに対し、債務不存在確認訴訟では「債務がないことを確認する」という内容になります。
訴えを起こすタイミングが異なる
次に、訴えを起こすタイミングが異なることがあります。
請求訴訟は、債権者側で「これ以上請求しても、協力的に払ってもらえる可能性がない」と考え、交渉決裂であると判断した時点で起こされます。これに対し、債務不存在確認訴訟は、債務者側の判断によってタイミングが決定されます。
その結果、被害者が起こす請求訴訟なら、損害の確定を待って提訴できますが、加害者が起こす債務不存在確認訴訟は、損害の確定を待たずに起こされるおそれがあります。
例えば、交通事故で債務不存在確認訴訟が提起されるケースは、被害者がまだ治療中のことが多く、入通院しながら裁判に応じるのは大きな負担となります。この時点で加害者が訴訟を起こすのは、「これ以上の治療は不要」と主張するのが目的である場合があり、大きな紛争に発展します。
加害者にとっては、症状固定が早まることで以下のメリットがあります。
- 症状固定後は、治療費や休業損害を請求できなくなる。
- 治療期間が短縮されると、入通院慰謝料が低額となる。
- 後遺障害等級の認定が困難になり、後遺障害慰謝料や逸失利益が認められづらくなる。
そのため、債務不存在確認訴訟を起こされた被害者は、「治療の必要性がある」ことを積極的に主張すべきです。具体的には「今後も治療費が発生すること」「症状固定後に後遺障害慰謝料や逸失利益などが生じるため、現時点で損害が確定しないこと」などを主張します。
交渉が十分に行われない可能性がある
債務不存在確認訴訟をいきなり提起されると、まだ交渉が十分ではない可能性があります。債権者側が、交渉は決裂であると考えて債務不存在確認の裁判を起こしても、実際にはまだ互いに譲歩の余地があり「交渉で解決可能である」というケースもあるからです。
例えば、交通事故のケースで債務不存在確認訴訟が起こされるとき、加害者がタイミングを決めるため、交渉が決裂して請求訴訟を起こすよりも前に、加害者から突然に訴えられてしまいます。交通事故の賠償金は、過去の裁判例をもとに「赤い本」(正式名称:「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」日弁連交通事故センター東京支部)を相場に決めるのが実務であり、十分な示談交渉をすれば、訴訟に至らずに解決できるケースも少なくありません。
事前に十分な交渉がなされず、いきなり債務不存在確認訴訟を起こされると、裁判で決めるべき争点が多く積み残され、かえって争いが長期化するおそれがあります。
債務不存在確認の活用方法(債務者側)

次に、債務不存在確認訴訟の活用方法について、請求される側(債務者側)の立場で解説します(債権者側の解説は「債務不存在確認訴訟を起こされた場合の対応(債権者側)」参照)。
債務不存在確認訴訟を活用すべきケース
債務不存在確認訴訟は、身に覚えのない請求や不当請求をされているケースで、交渉で解決することが難しい場合に活用できます。例えば、具体例は以下の通りです。
- 契約内容と全く異なる請求を受けた場合
- 既に支払った債務について二重請求されている場合
- 詐欺的な請求や架空請求に対抗したい場合
- 契約書がないのに「契約している」など、事実と反する主張をされている場合
- 不当に過大な請求をされている場合
悪質なケースでは、法律や契約における根拠がないにもかかわらず、一方的に請求をし続ける債権者もいます。このような場合、そのまま放置すると支払い義務を認めたとみなされるリスクがあります。また、不当な請求を受け続けるのも、精神的に大きなストレスでしょう。
債務不存在確認訴訟を起こし、裁判所から正式に「債務がない」と認定されれば、不当な請求を法的に拒絶することができます。
債務不存在確認訴訟の流れ
債務不存在確認訴訟は、基本的には、通常の民事訴訟と同じ流れで進行します。
事前の交渉と証拠収集
訴訟の前に、相手と交渉し、話し合いでの解決の可能性を探ります。並行して、交渉が決裂した場合に備えて、訴訟に提出する証拠の準備を進めましょう。
債務不存在確認でも「債権債務の存在」を債権者側が証明するのですが、債務者側としても訴訟を起こすからには無責任ではいけません。請求書や契約書、相手とのメールやメッセージのやり取りといった証拠を入手しておいてください。
訴状の提出(裁判所への申立て)
準備が整ったら、裁判所に対して債務不存在確認訴訟を提起します。訴状には、相手の請求の不当性を主張し、そのことを示す証拠を添付します。
裁判における審理
訴状が受理されると期日が指定され、裁判所の審理を受けます。
被告は、訴えを受けた後、答弁書や準備書面の形で反論を提出します。この後の裁判における審理は、請求訴訟と債務不存在確認訴訟とで変わりはありません。つまり、契約書や請求書などで「請求の正当性」を主張し、証拠調べを行います。書証だけでなく、必要に応じて証人尋問も実施されます。
「債務が存在する」と判断されれば債務者側の負けですし、債務の存在を証明しきれなければ債務者の勝訴です。立証責任は債権者側にあるので、証拠が不十分なら債務不存在であることが認められる結果となります。
判決の確定
審理が終結すると、裁判所が判決を下し、債務の有無を確定します。
債務があることが立証されなければ、「債務がない」という判断になり、これ以上の請求を受けることはありません。判決に不服がある場合には、2週間以内に控訴することができ、控訴がなければ確定します。
債務不存在確認訴訟を有利に進めるためのポイント
債務不存在確認訴訟を有利に進めるには、証拠を確保し、適切な法的主張を尽くすことが重要です。以下のポイントを押さえて、慎重に対応してください。
契約書や請求書などの証拠を確認する
債務不存在確認訴訟を起こした場合、債務の存在を証明する責任が「債権者側」にあるのであって、「債務者側」が不存在を証明しなければならないわけではありません。
それでもなお、訴訟を起こしたからには、一定の証拠は準備しておくべきです。例えば、相手が請求してきている根拠が分かるなら、その事情を示す契約書や請求書があるかどうか、手元の資料を確認しておきましょう。相手が口頭契約を主張したり、契約のない債務(例えば、交通事故などの不法行為の損害賠償請求など)の場合には相手とのやり取りや交渉経緯も証拠になります。
事前に十分な交渉を行う
債務不存在確認訴訟を提起するのは「最後の手段」と考えるべきです。
相手がどうしてもあきらめない、過大請求や不当請求の疑いがあるといったケースでは裁判に頼らざるを得ませんが、要求額に折り合いが付く場合には、事前の交渉で解決できる場合もあります。安易に裁判に進むと、かえって時間と手間がかかるおそれがあるので、交渉が十分に行われているかどうかを検討してください。
示談や交渉の余地がある場合、債務不存在確認訴訟の前に行いましょう。
弁護士に相談してサポートを受ける
債務不存在確認訴訟を起こすと、債権者側が「反訴」によって逆に請求してきて、その手続き内で請求について争うこととなります。そのため、弁護士に相談して適切な証拠を揃え、相手の予想される法的主張ごとに戦略的に進めなければなりません。
請求する側の証拠が十分だと、債務不存在確認訴訟を提起したことで不利な資料が提出され、逆に苦しい状況に追い込まれるおそれもあるので注意してください。
債務不存在確認訴訟を起こされた場合の対応(債権者側)

次に、債務不存在確認訴訟を起こされた「債権者側」での適切な対処法を解説します。債務不存在確認訴訟を起こされるのは、本解説のように、あなたが「不当請求」「過大請求」をしたと思われたことが原因となっているおそれがあります。
なお、提起する側(債務者側)は「債務不存在確認の活用方法(債務者側)」をご参照ください。
訴訟を起こされた原因を確認する
まず「なぜ債務不存在確認訴訟を起こされたのか」、理由や原因を確認しましょう。
特に、交通事故のトラブルのように「被害者である」という意識が強いと、法律や裁判例の相場に合わない過大な請求をしたり、激しい被害感情をあらわにしたりしたことが、加害者側から逆に訴えを提起される理由となってしまう場合があります。
訴えを起こされた理由について反省すべき点があったり、「もう少し交渉すれば解決できたのに」といった後悔があるなら、しっかりと振り返り、相手に意向を伝えましょう。
例えば、債務不存在確認を起こされる原因には、次の理由があります。
債権者の交渉態度が悪質である
請求権があるとしても、感情的に怒鳴ったり強い口調で伝えたり、執拗に電話やメールをしたりするのは誠意ある交渉ではありません。まして法的に義務のない行動を求めたり、執拗に謝罪を求めたりすれば、債務不存在確認訴訟を起こされる原因となります。
交通事故などのトラブルで被害者意識が強いと、このような交渉態度を取る人がいます。しかし、裁判になれば解決が遅れるため、お勧めできません。
請求額が過大である可能性がある
請求額が過大な可能性がある場合にも、債務者から「このまま応じるより、裁判で判断してもらった方がよい」と思われ、債務不存在確認訴訟を起こされやすくなります。
例えば、交通事故の賠償額には、過去の裁判例に基づく相場があるので、請求額がこの目安を大幅に超える場合や、軽微な事故なのに長期間治療し、治療の必要性が疑わしい場合などは、債務不存在確認訴訟を起こされがちです。
治療の必要性が争いとなるときは、医師の協力を求め、診断書・カルテに基づいて医学的に証明するのが重要です。
「交通事故で医療記録を入手する方法」の解説

債務者側が請求をあきらめさせたいと考えている
債権不存在確認訴訟を起こす債務者側が、「請求をあきらめさせたい」という意図で裁判に発展させるケースがあります。裁判で争うのは手間とコストがかかるため、一般の人ほど「裁判されるならあきらめるしかない」と泣き寝入りすることがあるからです。
特に、交通事故のトラブルだと、治療を途中で終了させ、損害を拡大させないために債務不存在確認訴訟を提起されるケースがありますが、このような訴訟によって請求を断念してしまえば、被害者の権利が不当に奪われてしまいます。
したがって、請求をあきらめさせようとする債務不存在確認訴訟に屈してはならず、裁判になっても徹底して争うべきです。
債務不存在確認訴訟を起こされた場合の具体的な対処法と流れ
次に、債務不存在確認訴訟を起こされた側における具体的な対処法を解説します。不満だからと放置していると、不利な判決を下され、今後の請求ができなくなるおそれがあります。
訴状を精査して相手の主張を把握する
債務不存在確認訴訟を起こされたら、訴状の内容を確認し、債務不存在を主張する「債務者側」(原告)の主張を正しく把握することが大切です。
裁判所から送られた訴状には、相手の主張が書かれています。特に「債務不存在を主張する理由」をチェックし、自身の請求の正当性を確認してください。そして、主張の内容ごとに反論を検討します。相手の主張を分析すれば、どこが争点となるかを明確化できます。
「確認の利益がない」と主張する
債務不存在確認訴訟には、「確認の利益」が必要となります。
この点で、損害がまだ確定していないなど、紛争が成熟していない段階で行われる債務不損害確認訴訟は、「確認の利益がない」と判断され、権利濫用を理由に却下される可能性があります。実際、交通事故のトラブルで、治療継続中に加害者が起こした訴訟について、訴えを却下した裁判例があります(横浜地裁小田原支部平成28年5月25日判決)。
交通事故における債務不存在確認の訴えには、被害者である被告に損害賠償請求訴訟を提起させることを強いる機能がある。ところで、被告においては、これから脳脊髄液減少症の診療を受けるものとしているが、現段階で被告に損害賠償請求訴訟を提起させたとしても、同訴訟は、被告主張における症状が固定し、損害が確定するまで継続し…(略)…後遺障害による損害を除く一部請求となり後遺障害についての最終的な紛争解決に至らないことになり得る。そのため、本件訴えは、成熟性に欠け、現存する原告の法的地位の不安や危険を解消するために適切であるとはいえない。
横浜地裁小田原支部平成28年5月25日判決
したがって、上記の裁判例のように、まだ症状が固定されておらず相当長期の治療継続が予想されるといったケースでは、債務不存在確認訴訟に対して「確認の利益がない」と主張して訴えの却下を目指すのが良いでしょう。
なお、債務不存在確認訴訟が却下されなくても、裁判中に生じ続けた損害は追加で請求すべきです。例えば、交通事故のトラブルで、債務不存在確認訴訟中も治療が継続していた場合は、債権者側(被害者側)としては治療費を請求し続けるべきです。
反訴を提起する
債務不存在確認訴訟を起こされた時点で、既に確定している支払い義務や損害があるなら、反訴を提起して請求することができます。
反訴とは、現在起こされた裁判に関連する請求について被告が原告を逆に訴える手続きで、本訴と同時に審理されます。債務不存在確認訴訟に対する反訴の内容は、逆に、債務請求訴訟と同じになります。裁判所に対しては、訴えられた直後に、「後に反訴を予定している」と伝えてから準備するとスムーズです。
示談の可能性を検討する
訴訟中に、示談の可能性を検討することも可能です。
交渉中の行き違いで、残念ながら債務不存在確認訴訟を提起されてしまったケースでも、互いの主張と反論を冷静に吟味したら、一定の妥協点を見出だせる場合があります。債権者にとっても債務者にとっても、将来的に裁判で下されるであろう妥当な解決であれば、早期解決できるに越したことはありません。
なお、話し合いによる解決に至ったときは、合意書や示談書など、解決内容を証拠に残す工夫を忘れずに行い、「これ以上請求しない」ことを示すために清算条項を記載するのが重要なポイントです。
弁護士に相談するメリット
債務不存在確認訴訟を提起されてしまったときは、今後の対応を弁護士に依頼することを検討してください。その理由は、次の通りです。
裁判への対応は難しい
訴訟の手続きは複雑であり、専門的な知識が必要となります。そのため、訴訟対応の経験のない人が、自分一人で適切な対応をするのは困難です。
交渉経緯が不適切と主張されるおそれがある
債務不存在確認訴訟を起こされた場合、残念ながら、あなたの交渉態度が不適切であると指摘されるおそれがあります。例えば、被害感情が爆発して過大な請求をしてしたり、モンスタークレーマー扱いされたりするケースもあります。
特に、交通事故被害に遭遇した場合、保険会社の対応が悪く立腹する人も多いです。気持ちは理解できますが、債務不存在確認訴訟では立場が悪くなってしまいます。
弁護士に依頼することで、加害者やその代理人、裁判所との直接の連絡をせずに済み、感情的な対立やストレスを減らすことができます。
請求をあきらめず、法的に争うことができる
正当な主張であれば、債務不存在確認訴訟を提起されたからといってあきらめる必要はなく、譲歩する必要もありません。弁護士に依頼すれば、法律知識をもとに請求が正当であるかどうかを精査し、法的に争いを続けることができます。
なお、交通事故のケースで弁護士費用特約に加入しているときは、実質的な費用負担を無くすことができます。
まとめ

今回は、債務不存在確認訴訟についての法律知識を解説しました。
債務不存在確認訴訟は、不当な請求を受けた際に「支払い義務がない」ことを裁判所に認めてもらうための重要な手続きであり、企業間のトラブルのほか、交通事故の損害賠償請求のケースなど、様々な場面で活用されます。交通事故のトラブルでは、被害者の慰謝料や損害賠償の請求が過大であると考える加害者は、「その債務が存在しないこと」を確認するために訴えを提起できます。
債務不存在確認訴訟を提起する際は、契約書や請求書などの証拠を確保し、請求の正当性を検証することが重要です。一方で、訴えられた側においても、相手の主張を正確に把握して、反論の準備をしなければなりません。
裁判手続きを一人で進めるのが難しいときは、ぜひ弁護士に相談してください。
- 債務不存在確認訴訟は、請求訴訟とは逆に「請求される側」が起こす裁判
- 債務不存在確認訴訟は、被請求側のタイミングで起こされる
- 訴訟を起こされても主張をあきらめず、裁判で正当な権利を主張する
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/