労働問題

賞与(ボーナス)のカットは違法?減額分を請求する方法は?

2021年7月8日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之(第一東京弁護士会所属)です。当事務所は「労働問題」に注力し、豊富な実績を有しています。労働は人の生活に密接に関わる重要な法律問題です。

一人で会社と戦うのが難しいとき、法律の専門知識を活用することで速やかに解決できることがあります。ぜひ一度当事務所へご相談ください。

賞与(ボーナス)は、多くの会社で年2回(6月頃と12月頃)に支払われるまとまったお金です。賞与(ボーナス)がもらえることを見越してローンを組んでいる人も多く、「減らされると困る」という人が多いのではないでしょうか。

賞与の切り下げ、すなわち、ボーナスカットされてしまったとき「違法なのでは?」という疑問がわきます。

結論から申し上げると、賞与(ボーナス)といっても種類・性質・支払い方法によってさまざまであり、支給条件の決め方によっては、賞与(ボーナス)を減らすことが違法となるケースがあります。

今回の解説では、

  • 賞与(ボーナス)のカットが違法となるケース
  • 減額された賞与(ボーナス)を請求する方法

といった点について、労働問題を多く取り扱う弁護士が解説します。

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賞与(ボーナス)とは

賞与(ボーナス)とは、多くの会社で年2回(6月頃と12月頃)に会社から支給されるまとまった金銭です。

今回解説するボーナスカットは、法的にいえば賞与の切り下げ、ということとなります。実際、2021年夏季賞与についても、昨年より減額されると回答した会社が一定数ありました。

賞与(ボーナス)は、労働の対価の後払い的な性質、成果に対する報酬、今後の期待など、さまざまな性質をあわせもっています。

労働基準法には、賞与(ボーナス)についての定めはありません。この点、賃金だと、次のように法律上の最低限度が決まっています。

  • 最低賃金
    最低賃金法に定められた最低賃金を下回るような賃金の合意をすることは許されません。
  • 残業代
    「1日8時間、1週40時間」(法定労働時間)を超えて働いたとき、残業代を請求できます。

このような最低限度についての法律の定めが賞与(ボーナス)にはないことから、賞与(ボーナス)は、法律によって発生するものではなく、契約によって合意することではじめて発生します。つまり、「賞与なし」と契約することも違法にはなりません。

したがって、賞与の切り下げ、ボーナスカットを受けてしまったとき、まずは、就業規則、賃金規定、労働契約書(雇用契約書)、労働条件通知書などを確認し、労働条件を確認するようにしてください。

賞与(ボーナス)のカットが違法となる場合とは

賞与(ボーナス)のカットが違法となるときには、支払われなかった賞与(ボーナス)を会社に請求できます。

賞与(ボーナス)を支払わないことが違法となるケースには、次の3つがあります。

支払い基準が決まっている場合

就業規則や労働契約書(雇用契約書)で、賞与(ボーナス)の支払い基準が定められているときは、その支払い基準にしたがって賞与(ボーナス)の支払いをしなければ、契約違反となります。

したがって、賞与の切り下げ、ボーナスカットを受けてしまい、それが約束していた労働条件に満たないとき、労働者は会社に対して、差額分の支払いをするよう請求できます。

例えば、実際にご相談いただくのは次のような例です。

  • 毎年の賞与が固定額で決められているケース
  • 年俸制で、年俸のうちの一定額を賞与で払うこととなっているケース
  • 中途採用で、前職との年収差の調整のため、固定額の賞与を採用時に約束したケース
  • インセンティブとして、業績の一定割合を賞与として支払うと決められているケース

ただし、「成果や業績によって、賞与を減額することがある」といった定めがあるときは、慎重な検討が必要です。

減額に不当な動機・目的がある場合

賞与(ボーナス)を減額した会社側に、不当な動機・目的がある場合にも、その減額が違法となり、減額されてしまった賞与(ボーナス)を請求できる場合があります。

例えば、成果評価と査定に応じて賞与(ボーナス)が支給されることとなっているのに、同じ評価の社員よりも、いちじるしく支給額が低いという場合には、不当な動機・目的があると推察できます。

不当な動機・目的は、パワハラや職場いじめを恒常的に受けているときには直接明示されることもありますが、そうでなくても、周囲の社員との格差などによって証明するようにします。

例えば、実際にご相談いただくのは次のような例です。

  • 「有給休暇を取得したから賞与を減らしておいた」と社長にいわれたケース
  • 社長からのセクハラを断ったら賞与を減らされたケース
  • 明らかに同じ査定の社員と、賞与額が大幅に異なるケース
  • 会社のせいでうつ病になってしまったのに、それを理由に賞与を下げられたケース

慣習上、賞与額が決まっている場合

賞与(ボーナス)でもらえる金額が、慣習によって決まっている場合にも、その金額よりも減額されてしまったときは、差額分を請求することができます。

賞与(ボーナス)についての契約上の定めはないものの、毎年一定時期に、一定額の支給が必ずされていたというケースです。ただし、一定額の継続的な支払いが「慣習」と評価される程度になるためには、相当長期の継続が必要とされています。

少なくとも、「ここ数年は払われていた」といった程度では、裁判所で争っても「慣習」とまでは評価してもらえない可能性が高いです。

退職予定なら賞与(ボーナス)を減らされてもしかたない?

近日中に退職を予定しているときには、賞与(ボーナス)を減らされてしまってもしかたないケースもあります。

賞与(ボーナス)の性質は、賃金の後払い的な性質、過去の成果に対する報酬という以外に、将来の貢献に対する期待という性質をあわせもっています。そのため、将来の貢献に対する期待という性質は、退職してしまう社員にはあてはまらないため、その分の一定額の減額であれば、受け入れざるを得ないと考えられます。

ただし、あくまでも、賃金の後払い的な性質など、退職してしまう社員でもあてはまるものでもあるため、大幅な減額や、ゼロにしてしまうなどの極端な扱いは、違法の可能性が高いです。

なお、多くの会社では、賞与(ボーナス)には「支給日在籍要件」がつけられています。この要件がついているときは、支給日には既に退職してしまっているときには、賞与(ボーナス)が支給されなくても違法とはいえません。

逆に、「支給日在籍要件」がついていないときは、退職後であっても、賞与の算定期間中に在籍し、要件を満たしていれば、支給されるべきです。

未払いの賞与(ボーナス)を請求する方法

賞与の切り下げ、ボーナスカットを受けてしまい、それが違法だとわかったときは、未払いの賞与(ボーナス)を会社に請求しましょう。

未払いの賞与(ボーナス)の請求は、まずは、配達証明付き内容証明郵便で、通知書を送付する方法によって行います。配達証明付き内容証明郵便は、配送日と書面の内容を、郵便局が証拠化しておいてくれる郵便方法であり、後に法的手続きを起こすときの証拠となるからです。

なお、通知書を送付する前に、次のような証拠を手元に集めておいてください。

  • 就業規則・賃金規程
  • 労働契約書(雇用契約書)、労働条件通知書
  • 給与明細
  • 過去の賞与支払の履歴

交渉によっては会社が賞与(ボーナス)を払ってくれないときには、法的手続きを検討します。法的手続きのうち、はじめに検討するのが労働審判です。

労働審判は、労働者保護のために簡易、迅速な解決を目指す手続きです。裁判官を中心とした労働審判委員会が関与してくれることから、賞与(ボーナス)未払いが違法であるということが証拠によって立証できれば、労働審判委員会が会社を説得してくれることが期待できます。

労働審判で解決できないときは、訴訟提起を行います。ただし、訴訟には半年〜1年以上の期間を要することもあるため、賞与の金額などとも比較し、どのような進め方がよいか、一度弁護士に相談いただくのが有益です。

労働問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

今回は、賞与(ボーナス)がカットされて、支払われない、もしくは、減額されてしまったという労働者の方に向けて、その救済策について解説しました。

賞与(ボーナス)は、労働契約(雇用契約)によって発生するものであり、法律によって発生する賃金・残業代とは異なります。そのため、契約内容をしっかりと確認して、請求することが重要です。

労働問題にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

まとめ解説
未払い残業代を請求する労働者側が理解すべき全知識【弁護士解説】

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