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セブンイレブン残業代未払!責任・原因は?残業代請求できる?

2019年12月、大手コンビニエンスストアチェーンの「セブンイレブン」にて、多額の残業代未払が存在する可能性が、報道で明らかにされました。フランチャイズ本部であるセブンイレブン本社で計算していた残業代の計算方法に、誤りがあったことが原因です。

残業代計算は、法律上正しく行おうとすると、とても複雑な計算が必要なことが多く、大変な仕事です。セブンイレブンほどの大企業も間違える危険があることが、今回の一件で明らかになりました。

そこで、セブンイレブンに関わる全ての人へ、特に、フランチャイズチェーンのオーナーの方、セブンイレブンで働く労働者の方たちに向けて、今回の問題について弁護士が解説していきます。

この解説は、2019年12月10日時点で得られる報道内容を参考に作成しています。実際にご相談いただいたときに提案する解決方針は、状況の変化や具体的な事情によって異なる可能性があります。

なお、未払い残業代の請求を検討している方に知っておいてほしい知識は、次のまとめ解説をご覧ください。

\この解説の動画(約4分)/

まとめ 未払い残業代を請求する労働者側が理解すべき全知識【弁護士解説】

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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セブンイレブンの残業代問題【2019年12月10日時点】

コンビニエンスストアの大手チェーンである「セブンイレブン」にて、フランチャイズ加盟店で働く従業員の残業代が、未払いとなっているという報道がされています。ニュースによれば、未払いとなっている残業代は4億9000万円にもなります。

セブンイレブンでは、残業代はフランチャイズ加盟店が支払うものの、その計算は本部が代行して行うという形式になっていました。

セブンイレブン本部は、2019年12月10日に行われた記者会見で謝罪をし、現在セブンイレブンに勤務する労働者だけでなく、退職後の人についても、所定の手続きによって残業代の支払いを受けられることを明らかにしました。

コンビニ業界は、残業・長時間労働の問題が発生しやすく、過去にもコンビニの不正発覚の報道は多くなされてきましたが、今後も報道の動向に注視が必要です。

セブンイレブンが残業代未払となった理由・真相

悩む女性

セブンイレブンの残業代未払の原因は、セブンイレブンのフランチャイズチェーンにて、労働時間と残業代の計算を、本部が一括して行っており、その計算方法に誤りがあったことにあります。

今回の計算ミスは、「精勤手当」、「職責手当」という手当の計算方法に関する誤りだとのことです。これらの手当は、次のような意味を持つものです。

  • 精勤手当
    一生懸命勤務したことに対する報酬的な意味合いを持つ手当の一種
  • 職責手当
    職務上一定の重い責任を負うことに対する対価的な意味合いを持つ手当の一種

これらの手当が、上記のような本来の意味に加えて、残業代に充当されるものとして支払われることがあります。

あらかじめ残業代に充当する目的で手当を払うことを「固定残業手当」、「みなし残業手当」と呼びますが、そのような支払い方が許されるためには、残業代部分が明確に区分され、不足しているときは差額が支払われなければなりません。

固定残業代・固定残業手当とは
固定残業代・固定残業手当とは

残業代をあらかじめ払っておく方法には、基本給に組み込んで払う「固定残業代」と、基本給とは別の手当として払う「固定残業手当」があり、今回のセブンイレブンのケースは後者にあたります。いずれの方法でも、労働者が残業代について損してしまわないよう、残業代として払われた部分と、それ以外の部分が区別されている必要があります。

今回のように、正しい計算のもとに十分な残業代が支払われていないと、未払い残業代の問題が生じます。

【セブンイレブン従業員向け】残業代請求できる?

今回報道されたセブンイレブン加盟店における残業代の未払いの原因を突き詰めれば、フランチャイズ本部が残業代の計算方法を間違えていたことにあります。

しかし、セブンイレブンの店舗で働くアルバイト、パートの従業員の雇用関係は、フランチャイズ本部との間にあるのではなく、各フランチャイズオーナーとの間にあります。残業代は、正式名称を「割増賃金」といい、賃金の一種ですから、雇用関係にある「使用者(雇用主)」が支払うべきものです。

そのため、自分の残業代が未払いである可能性のあるセブンイレブン従業員は、まずはフランチャイズオーナーに残業代を請求するか、セブンイレブン本部の対応を待つのがおすすめです。

残業代計算は、労働基準法にしたがって正確に計算しようとすると、とても難しいですが、わかりやすく解説しておきますので、次の手順で進めてください。

STEP

「1日8時間」以上働いている時間を集計します。

STEP

「1週40時間」以上働いている時間を集計して、さきほどの「1日8時間」以上働いている時間と重複してカウントしている時間を控除します。

STEP

以上の2つの労働時間を合計して、時給を「1.25倍」した金額をかけた額が、残業代(時間外割増賃金)となります。

STEP

休日労働をしているときは、時給を「1.35倍」した額を、残業代(休日労働割増賃金)を請求できます。

STEP

さらに、深夜労働(午後10時〜午前5時の労働)には、時給を「1.25倍」した金額を、残業代(深夜労働割増賃金)として請求できます。

特に、セブンイレブンをはじめとしたコンビニ店員の場合には、深夜労働が多かったり、繁忙期にやむを得ず継続的な残業を余儀なくされたり、シフト調整のために穴埋め出勤をしたりといった、多額の残業代が発生しやすい状況にあります。

そして、この度の報道で、これらの発生しがちな残業代について、未払いの存在することが発覚しました。

【フランチャイズオーナー向け】残業代未払の責任を負担しなければならない?

相談する男性

今回、フランチャイズ本部での残業代の計算に誤りがあったことで、フランチャイズオーナーが雇用するアルバイト、パート社員に対して、残業代未払の状態があることが明らかとなりました。

この場合に、残業代を支払う義務は、雇用している会社にあります。そのため、残業代を支払う責任は、セブンイレブン本部ではなく、フランチャイズオーナーにあることとなります。

この点について、「実労働時間を計算し、残業時間を認定した上で、これに相当する残業代を支払う」という正しいやり方のうち、どの部分までをセブンイレブン本部が行い、どの部分をフランチャイズ店舗が行っていたかによって、責任分配が異なってくるのではないかと考えます。

例えば、次のようなケースでは、現場でなければできない部分に未払の責任があるのであれば、その責任は、店舗のオーナーにあると言わざるを得ません。

  • タイムカードが実労働時間を反映していない
  • 実際に労働に従事しているかどうかの監督を怠っていた
  • 管理職でないのに残業代をそもそも計算していなかった
  • 本部から配布されたフランチャイズマニュアルにまったく従わない残業代計算をしていた

しかし、今回のように、本部のシステムに誤りがあったという場合、本部がその一部を負担するという対応を、道義上行う可能性があります。ただし、法律的にいえば、未払いとなっていた分の支払義務は雇用主にあるため、今後は本部とフランチャイズオーナーとの間で、責任割合に応じた負担の分配が行われるものと予想されます。

まとめ

今回は、コンビニエンスストアチェーン「セブンイレブン」本部の、残業代の計算システムに誤りがあったことにより、セブンイレブン従業員の残業代が未払いとなっていた、という報道について解説しました。

残業代未払いのあったセブンイレブン従業員の方にとっては、適正な残業代を取り戻すべきです。一方、残業代未払の社員を抱えているおそれのあるフランチャイズオーナーにとっても、本部の見解に注目して適切に対応していくべき問題です。

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弁護士法人浅野総合法律事務所
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弁護士法人浅野総合法律事務所では、労働問題に精通しており、残業代請求についても数多くの解決事例があります。

残業代未払いがあるのかどうか、誰に対してどのような責任追及をすべきなのかといった点に疑問のある方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

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