刑事事件

少年犯罪事件の被害者が行うべき適切な対応【弁護士解説】

2020年6月19日

少年犯罪事件被害者

少年犯罪の被害にあってしまったとき、少年犯罪の被害者遺族となってしまったとき、被疑者が「少年」であるがゆえに手厚い保護を受けており、被害者である自分達が不当に害されているのではないかと感じることが多いのではないでしょうか。

「娘が、高校生の少年に無理矢理からだを触られ、肉体関係を強要された」「親が、少年の運転する自動車にはねられて死亡してしまった」といった少年犯罪の被害者側の法律相談をお聞きすることがあります。

確かに、少年審判は原則として非公開とされており、たとえ被害者やその遺族といえども、被疑者である少年やその犯罪行為の詳細が十分につかめないことがあります。嫌な過去を早く忘れたいし、多少の不利益は仕方ないとあきらめてしまう方もいるかもしれません。

しかし、弁護士に依頼し、適切な対応をとることで、少年による犯罪事件の被害者もまた、納得のいく解決へと進める権利があります。

そこで今回は、少年犯罪の被害者が行うべき適切な対応について、弁護士が解説します。

「刑事事件」弁護士解説まとめ

少年犯罪事件でも、被害者の対応は変わらない

少年犯罪事件被害者

少年が被疑者の刑事事件を、少年事件といいます。少年事件では「保護優先主義」という考え方がはたらきます。

保護優先主義とは、少年が未成熟であり悪に染まりやすいけれども、一方で、更生の機会を与えることによってやり直しが可能であることから、刑事処分よりもその他の処分を優先的に行い、更生・教育を行うべきであるという考え方です。そのため、少年への保護が手厚く、被害者として取り得る対応が限定されてしまうことがあります。

しかし、被疑者が少年であるか成人しているかは、被害者にとっては関係のないことです。被害者の負ってしまった犯罪被害は、加害者が少年であるからといって軽くなるものではありません。

そのため、少年犯罪事件の特殊性を理解しながら、被害者として取り得る適切な手段をとり、被害回復を図ることが重要です。

少年犯罪事件の被害者がとるべき適切な対応

少年犯罪事件被害者

少年犯罪事件の被害者となってしまった人が理解しておくべき、被害者の取るべき適切な対応について、弁護士が解説します。

少年事件について少年の保護、更生に光が当てられがちですが、被害者を支援するための多くの制度、手続きが設けられています。

弁護士への相談

刑事事件において弁護士というと、被疑者側(加害者側)が処罰を軽くするために相談・依頼するものというイメージが強いかもしれません。しかし、刑事事件の被害者となってしまった側にとっても、弁護士のできるサポートは多くあります。

特に、少年犯罪事件の場合には、逮捕・勾留されてから少年審判、処分に至る流れが、一般の成人の刑事事件とは異なるため、弁護士であっても少年事件についての経験がないと、その流れをうまく説明できないことがあります。

弁護士に被害者の代理人としてサポートしてもらい、少年審判の傍聴などの手続きにも同席してもらうことで、被害者側の心情と意向に配慮した納得感のある解決の手助けにつながります。

また、次に解説するとおり、少年法に定められた被害者手続きには一定の要件と制約がありますが、弁護士を代理人とすることにより、これらの諸手続きが利用できない場合でも関係する機関への任意の情報開示を求めるのなどの助力を受けることができます。

参 考
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事件記録の閲覧・謄写

少年犯罪事件の被害者になってしまったり、その遺族となってしまったりしたとき、まずは「事件の内容について詳しく知りたい」という要望が真っ先にわくのではないでしょうか。

少年事件であっても、被害者や一定の遺族は、事件記録を閲覧謄写できることが、次のとおり少年法に定められています。少年法によれば、閲覧謄写をすることのできる権限があるのは、「被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹」とされています。被害者等の委託を受けた場合には、弁護士も事件記録を閲覧謄写する権限があります。

少年法5条の1第1項

裁判所は、第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る保護事件について、第二十一条の決定があつた後、最高裁判所規則の定めるところにより当該保護事件の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録(家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し又は収集したものを除く。)の閲覧又は謄写の申出があるときは、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとする。

少年を被疑者とする刑事事件では、事件記録は「法律記録」と「社会記録」に分類されます。法律記録が、少年の非行事実について記載した記録、供述調書などであるのに対して、社会記録は家庭裁判所の調査官が作成した調査結果、少年鑑別所の鑑別結果など、「なぜこのような少年事件が起こってしまったか」を基礎づける背景事情などが記載されています。

法律記録は、一般の刑事事件でも作成される供述調書、実況見分調書など、非行事実自体を立証するための証拠がつづられており、少年犯罪事件であっても閲覧謄写ができます。

しかし、これに対して、社会記録は少年事件特有のものであり、少年保護の観点から、閲覧謄写が認められていません。

被害者の心情・意見の陳述

次に、少年犯罪事件の被害者は、希望するときは、家庭裁判所において意見陳述の申出をすることができます。そして、家庭裁判所は原則としてその意見を聴取しなければなりません。

この意見陳述の際に述べることができるのは、被害者やその遺族の被害に関する心情や、その他事件に関する意見とされており、幅広い事項についての陳述が認められています。例えば、少年事件において被害者の意見陳述が有効なのは、次のようなケースです。

  • 被害者やその遺族の現在の状況
  • 少年事件によって負った被害の程度
  • 少年事件によって負った心の傷(トラウマ)
  • 被害者やその遺族の日常生活が、少年事件によってどのように害されたか
  • 少年事件の被疑者の処罰を望むかどうか、どのような処罰を希望するか

少年事件の被害者等による心情・意見の陳述は、少年審判の期日で行うこともできますし、少年審判の期日外で、裁判官や調査官に対して行うこともできます。

心情・意見の陳述をすることに、被害者側のデメリットはないので、手続きへの参加を希望する場合には積極的に検討してください。

少年審判の傍聴

少年審判は原則として非公開とされていますが、対象事件の種類によって、次の場合には、被害者等が申し出て、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときには、少年審判を傍聴することができます。

  • 犯罪少年または12歳以上の触法少年が被疑者であること
  • 次の犯罪類型にあたる事件であり、生命に重大な危険を生じさせた場合
    ① 故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪
    ② 刑法211条(業務上過失致死傷等)の罪
    ③ 過失運転致死傷等の罪

傍聴の申出の際、あわせて被害者代理人の付添を求めることによって、被害者とともに代理人弁護士も同席を認めてもらうこともできます。ただし、少年への影響を考慮して遮蔽措置などがとられることがあります。

審判状況や結果の通知

最後に、少年犯罪事件の被害者等は、審判状況の説明を受けたり、審判結果の通知を受けたりすることができます。

被害者や遺族が申し出ると、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、家庭裁判所から、審判の状況の説明を受けることができます。また、同様に、家庭裁判所から、少年審判の結果などの通知を受けることができます。

ただし、いずれも少年事件の終局決定が確定してから3年以内に申出を行う必要がありますので、できる限り早急な対応がお勧めです。

あわせて、少年審判において保護処分を受けた少年については、少年院における処遇状況、保護観察中の処遇状況などの通知を受けることができます。

民事の損害賠償請求(被害回復請求)について

少年犯罪事件被害者

少年犯罪事件の被害を受けてしまった人にとって、少年の処罰とともに、重要なこととして民事事件における損害賠償請求(被害回復請求)があります。民事事件と刑事事件は、両輪であり、いずれも重要だからです。

この点で、被害者の代理人として弁護士に相談・依頼した場合には、あわせて、損害賠償請求についての代理人として相談・依頼することができます。

ただし、加害者である少年の年齢によっては、責任能力に欠ける場合があります。つまり、非行事実を認識し、判断をすることのできない年齢の場合には、責任能力がないため民事的責任が認められないことがあります。責任能力に関する民法の条文は次のとおりです。

民法712条(責任能力)

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

仮に、責任能力が存在し、民事責任が認められたとしても、未成年者の多くはまだ学生であり仕事をしておらず、十分な収入と資力がないことがほとんどです。

そのため、少年の収入・資力が十分でないことにより、民事の損害賠償請求による被害回復が困難とならないよう、加害者本人への請求と合わせて、保護者である両親への請求も検討しておく必要があります。

加害者である少年が責任無能力者である場合には、次のとおり、民法714条により両親は監督義務者としての責任を負うこととなります。合わせて、監督懈怠の程度が深刻な場合には、両親が民法709条により直接の不法行為者としての責任を負うこともあります。

民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)

1. 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2. 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

刑事事件の被害者が利用できる「損害賠償命令制度」とは?

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「犯罪被害」は浅野総合法律事務所にお任せください!

少年犯罪事件被害者

今回は、少年犯罪事件の被害者となってしまった方やその遺族が、少年事件の進行において行うべき適切な対応について弁護士が解説しました。

少年の保護が叫ばれるニュース報道などを見ると、少年による犯罪事件の被害者になってしまうと被害者側が何もできず我慢しなければならないのかと感じる人も少なくありません。しかし、少年事件における保護優先主義の考え方の中でも、被害者の心情に配慮し、被害者の納得を得るための制度は準備されています。

犯罪被害にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へ法律相談ください。

「刑事事件」弁護士解説まとめ

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