企業法務

業務提携で注意すべき法的ポイントと業務提携契約書の注意点

2020年10月15日

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業務提携法的ポイント業務提携契約書注意点

企業間のグローバル競争が激化する中で、「業務提携」が増加しています。国内の競争を勝ち抜くことはもちろん、強大な外国企業とのシェア争いに勝つためにも、1社でできることには限界があり、企業間の提携が重要となります。

特に、資金や人材などのリソースの少ない起業直後のスタートアップ、中小・ベンチャー企業にとって、他社の経営資源の一部を利用できる業務提携は、経営手法の一環としてとても重要な意味を持ちます。

異業種はもちろん、同業種であっても、単に蹴落とし合うだけでなく、業務提携のパートナーとして共に戦うことを検討することが多くあります。このようなとき、後に禍根を残さないよう、契約を締結することとなります。それが「業務提携契約」であり、このとき締結する契約書が「業務提携契約書」です。

業務提携には、販売提携、技術提携、生産提携などの多くの種類がありますが、重要なことは、企業買収とは異なりそれぞれの会社が独立した当事者として経営権を保持しビジネスを行うということです。そのため、業務提携のときには、提携をする条件について契約書で事前にしっかりと決めておくことがきわめて重要です。

そこで今回は、企業が業務提携契約を進めるにあたって、注意すべき重要なポイントについて、弁護士が解説します。

浅野総合法律事務所のアドバイス

企業の経営を、より効率的かつリスク少なく進めるためには、企業法務の専門的な見地からのアドバイスが必要となります。

企業法務の専門知識と経験の豊富な弁護士を「顧問弁護士」とすることにより、ビジネスで必然的に発生する法的リスクを未然に理解し、回避することができます。

「企業法務」弁護士解説まとめ

業務提携とは

業務提携法的ポイント業務提携契約書注意点

業務提携とは、資本の移転を伴わずに起業が共同で事業を行うことをいいます。提携する各企業が、資金、技術、人材などの経営資源を提供し合って、互いの事業の拡大をしたり、新規事業の創出したりすることを目指します。

企業提携の一種ですが、資本提携やM&Aとは異なり、資本の移動はなく、契約にしたがって経営資源を出し合って事業発展を目指します。業務提携の当事者は、相互の信頼関係をベースにして一定期間の間継続的なビジネス上の関係を持ちます。

業務提携のメリット

業務提携には多くのメリットがあります。業務提携は、当事者の信頼関係で成り立つものですから、多くのメリットがなければ解消されてしまうからです。

業務提携は、自社だけで事業を行うよりも時間的、資金的にメリットがあります。つまり、自社だけで事業を行うよりも多くの経営資源を投下することができ、素早く競争力を上げることができます。特に、経営基盤の脆弱なスタートアップ企業、中小・ベンチャー企業にとってはこのメリットに大きな意義があります。

逆に、業務提携は、企業提携の中では独立性を確保し続けることができ、独立した経営判断を維持することができることから、メリットを感じなくなったら解消をすることができるという点も、業務提携のメリットです。特に、新しいビジネスモデルが続々と登場する現代においては、業務提携の効果は永続的ではありません。

業務提携のデメリット

業務提携は、提携をする相互間の信頼関係によって成り立っていますが、その信頼関係があるとき突然破壊されてしまうこともあります。そのため、業務提携によるデメリットとして、提携によって提供したノウハウや技術が、外部に漏洩、流出してしまうリスクが挙げられます。そのため、業務提携契約書によって秘密保持、秘密管理のルールを徹底しておく必要があります。

また、業務提携契約によって一定期間の間お互いに一定の権利義務を負うことととなりますが、このような制約が、経営判断の支障となることがあります。

業務提携のデメリット、リスクを回避し、少しでも有意義なものにするためには、業務提携契約書にルールをしっかりと定めておくことが必要となります。ただし、契約交渉に多くの時間を割いてしまうと、せっかくの業務提携による時間的、資金的メリットを低減させてしまうことにもつながります。

資本提携・M&Aとの違い

企業提携の中でも、資本提携とM&Aは、資本の移動を伴う提携である点で、業務提携とは大きく異なります。

資本提携とは、出資を受けたり、相互に出資して株式を持ち合ったりする企業提携の方法です。資本提携では、安定株主を創出して経営陣の味方を作り、敵対的買収への防衛策となるというメリットを持ちますが、譲る株式の割合によっては独立した経営判断をしづらくなったり、迅速な事業展開の支障となることがあります。

業務提携は、契約上の解除理由があれば関係を解消できますが、資本を入れる場合にはその株式をどう処理するかの問題が生じるため、関係解消が容易ではないというデメリットがあります。特に、スタートアップ企業、中小・ベンチャー企業がVCなどから出資を受けるケースでは、経営に対する介入(口出し)によるリスクを加味しておく必要があります。

そのため、持ち分比率を決める際には慎重な検討が必要です。

更に、M&Aなどの企業買収に至る場合には、株式譲渡、会社分割、合併などの方法によって独立した法人格を失うこととなります。資本提携、M&Aによる企業提携は業務提携よりも多くの資金を要するため、まずは業務提携によってビジネスを継続した上で、提携の効果が大きいと判断された場合に選択されることもあります。

業務提携の種類

業務提携法的ポイント業務提携契約書注意点

業務提携には、その提携する内容によって、販売提携、技術提携、生産提携といった種類に分けることができます。また、その種類の中でも、業務提携契約書に定めるルールによって、どのような提携内容、提携条件となるかは個別の提携ごとに異なります。

また、これらの業務提携の種類の1つには入れることが難しいものや、複数の類型を組み合わせたような業務提携をすることもあります。

なお、一定の取引分野における競合他社との業務提携を「水平的提携」、ビジネスモデルのうち異なる段階に位置する企業との業務提携を「垂直的提携」、これらを組み合わせて総合的に行う業務提携を「包括的提携」と呼ぶことがあります。

販売提携

販売提携とは、販売面の強い会社の販売網、販売チャネル、ブランド、販売人材といった販売に関する経営資源を提供することによって行う業務提携です。販売提携を行うことにより、他社の販売網を利用したシェアの拡大、販売地域の拡大を目指すことができます。

特に、技術力、商品力は強いけれども販売リソースを有していないスタートアップ企業、中小・ベンチャー企業にとって、既に実店舗やオンライン通販マーケットを有する企業と業務提携をすることの意義はとても大きいです。

販売提携では、販売先企業がメーカーから商品を仕入れ、自身の名で販売をする「販売店契約」、販売先企業がメーカーの代理店として販売をする「代理店契約」、加盟店に販売権を含むサービスのブランドやノウハウを提供する「フランチャイズ契約」などが代表的です。なお、他社の信用力を活用して商品を販売するOEM契約も、広い意味では販売提携といえます。

販売店契約

販売店契約とは、販売店が商品を仕入れ、自己の名によって販売を行う業務提携契約です。この場合、仕入れをして再販売をすることとなりますから、在庫リスクは販売店側が負担することになります。その分、販売店は、自ら顧客への販売価格を設定し、利益を得ることができます。

販売店契約には、仕入れをした商品を売り切ってもらうという内容の売り切り型と、商品の販売を媒介してもらう媒介型とがありますが、いずれの場合にも、顧客に対して、商品の欠陥などの責任をいずれの企業が負うのかについて明確化しておくようにしなければなりません。

また、販売店契約には、販売権を独占的に与えるのかどうか、その販売地域の制限、販売チャネルの制限、商標や知的財産権の処理といった契約書上の注意点を守って進める必要があります。特に、独占的に販売権を付与する場合には、メーカー側の利益を確保するために、販売店に対して最低購入数量についての義務を課すことも少なくありません。

代理店契約

代理店契約は、代理店がメーカーの代理として、商品を販売するという業務提携契約です。代理店契約の場合には、最終的な取引関係は、顧客とメーカーとの間にあることとなります。そのため、代理店契約においては、取引に関する最終責任は、委託者であるメーカーが負うこととなります。

その中で、代理店の役割としては、営業活動、広報活動から契約書の締結、代金の受領と多岐にわたる販売活動の中で、どの部分を担うのかを業務提携契約書で定めておかなければなりません。また、最終責任をメーカーが負うことから、その宣伝広告の方法、報告の頻度などについて細かく指定をすることもあります。

あわせて顧客に対しても、代理店の義務、責任の範囲と、その役割が限定的であることについて明らかにしておくことが重要です。

フランチャイズ契約

フランチャイズ契約は、フランチャイザー(フランチャイズ本部)がフランチャイジー(フランチャイズ加盟店)に対して、商品・サービスやその販売チャネルだけでなく、店名や商標、ブランドやノウハウなどの一切を提供し、その代わりにロイヤルティ(フランチャイズ料)の支払いを受けることを約束する業務提携契約です。コンビニエンスストアのフランチャイズ契約が典型例です。

そのため、フランチャイズ契約は、販売提携の一種ではあるものの、販売に関する提携だけでなく、その他の提携関係をも含んだ総合的な契約です。

加盟店にとって、有名な店舗のブランド力を生かして経営を進めることができる反面、価格や在庫仕入れ先、営業時間の拘束など、様々な制約を受けることとなるため、特にフランチャイズ契約書のチェックが重要となります。

技術提携

技術提携とは、他社の有する技術資源を、自社の事業に活用する業務提携です。技術資源には、特許権、著作権、商標権といった知的財産権や、それらを開発するための研究開発施設、人材などがあります。

技術提携には、他社の特許やノウハウなどの知的財産権の利用許諾を受けて自社の事業に利用するライセンス契約、技術の研究開発を共同で行う共同研究開発契約などがあります。その他、商標やブランド、ソフトウェア、データ、キャラクターなどの利用許諾を受けるライセンス契約もあります。

ライセンス契約

ライセンス契約とは、特許やノウハウ、実用新案などの知的財産権について、その権利者(ライセンサー)が、本来その技術に対して有する排他的な使用権を、ライセンスを受けた者(ライセンシー)に対して主張をしないことを内容とする業務提携契約です。つまり、ライセンスを受けた権利について、その契約の範囲においては、ライセンシーは自由に利用することができ、その対価としてライセンス料を支払います。

一方的に利用許諾を与える業務提携だけでなく、双方向的に、お互いにライセンスを付与し合う「クロスライセンス」という業務提携も多く行われています。

ライセンス契約では、その目的、地域、期間などについて一定の制約を設け、その範囲内のみで利用を許諾することがあります。そのため、どのような条件とするかについて、ライセンス契約書の締結が必須となります。

なお、ノウハウを開示してしまうと、一旦知られてしまったものを秘密に戻すことは難しいため、当事者間で秘密保持について厳格に定めておくことも必要となります。

共同研究開発契約

共同研究開発契約は、複数の企業間で、資金や人材を提供し合って、共同で技術を開発することを内容とする業務提携契約です。それぞれ得意な技術が異なり、その掛け合わせで新規性の高い技術を研究開発するときや、高度な技術を有する企業が、新たな開発をする施設や人材などのリソースを有していないときなどに行われる業務提携です。

共同研究開発の場合にも、一旦開示したノウハウや技術を回復することは難しいため、秘密保持には万全の配慮が必要となります。

あわせて、共同研究開発によって新たな技術を生み出したとき、その成果物となる知的財産の帰属や、その際の費用分担などについても、細かく定めておくべきです。

生産提携

生産提携とは、生産や製造工程の一部または全部を他社に委託することによって、自社の生産力を高める業務提携です。アイディアや商品力はあるものの、自社で大量生産するだけの製造リソースのない会社が、製造工場などのリソースを有する企業との間で生産提携をすることがあります。

商品力がある場合、大規模に製造をしたほうが、商品1個あたりの単価を下げることができますが、そのためにはそれ相応の製造設備、生産ライン、物流設備が必要となり、設備投資が必要となります。

製造委託契約

製造委託は、自社商品の生産の一部または全部を他社に委託することを内容とする業務提携契約です。製造委託契約を締結するにあたっては、製造する製品の仕様、品質、原材料や加工方法、製造数量や単価、研修方法などをきちんと定めておくことが必要となります。

製造した商品に欠陥があることが明らかになったとき、後にその責任の所在が問題となることが多いためです。合意した仕様が不明確な場合、その仕様に達していないことによる顧客の損害を、委託先、委託元のいずれが負うのかという争いが起こります。そのため、契約書において仕様を明らかにし、責任範囲を明確にしなければなりません。

製造委託先が中小企業にあたる場合には、下請法が適用されることがあるため、委託元としては、強い地位を濫用しないように注意することが必要となります。

OEM契約

OEM契約は、メーカーが、販売店のロゴ、商標を付けて販売する製品の製造を受託する業務提携契約です。OEMは、Office Equipment Manufacturingの略称です。

OEM契約では、受託者であるメーカーは、委託者である販売店のロゴや商品をつけた製品を製造するため、顧客に対しては、販売店の商品であるという形で売ることとなりますが、実際には製造はすべてメーカーが行うこととなります。製造委託契約と同様、契約の際に、商品の仕様、品質、原材料や加工方法、検収基準などについて詳細に定めておくことが必要です。

OEMには、生産提携という側面とともに、メーカー側にとっては、製造した製品を、販売店のブランドと販売網を活用して売ることができるという販売提携の側面もあります。

業務提携の進め方

業務提携法的ポイント業務提携契約書注意点

業務提携を進めていくことが自社にとってメリットがあると考えるとき、業務提携をどのように進めていったらよいか、すなわち、業務提携の進め方について理解しておく必要があります。

業務提携を進める際に適切な手続きをとらないと、業務提携からの経営上のメリットを得られないだけでなく、自社の知的財産やノウハウが外部に流出してしまったり、予想外の損害賠償責任を負わされてしまったりといったデメリットが生じるおそれがあります。このようなデメリットを避けるためにも、業務提携の際には、秘密保持契約書(NDA)、基本合意書、業務提携契約書といった書面によるルール作りが大切です。

そこで次に、業務提携の進め方について、弁護士が解説します。

業務提携先の選定・調査

業務提携の第1ステップは、業務提携先の選定、調査です。業務提携から大きなメリットを生むためには、自社の戦略と目的に適合した企業と業務提携をしなければなりません。適切な提携先を見つけることが、業務提携を成功させる第一歩となります。

そして、業務提携先を選定する際には、相手方となる会社の情報について調査、分析が必要となります。

これらの調査、分析の結果によって、どのような業務提携がよいのか、また、資本提携やM&Aも含めた幅広い選択肢の中から、提携のスキームを検討することとなります。

秘密保持契約書の締結

業務提携先の選定が終わったら、相手方との間で秘密保持契約書(NDA)を交わします。業務提携は、資本提携やM&Aに比べて関係解消が容易であるため、秘密の保持を徹底しなければ、自社の情報や技術、ノウハウが外部に漏洩してしまうというリスクが生じるためです。

業務提携の交渉のためには一定の企業秘密を提供する必要がありますが、情報は、一旦開示されてしまうとその価値を減少し、秘密を取り戻すことは困難となります。

また、業務提携先が決まったら、関係当事者が合って自己紹介をし、提携スキームなどについて話し合いを行うキックオフが行われることもあります。キックオフミーティングで親睦を深めることにより、その後の交渉がスムーズに進むという効果が期待できます。

基本合意書の締結

基本合意書の締結においては、業務提携の概要や、デューデリジェンスのスケジュール、最終契約日などについて定めます。法的拘束力のないものと、独占交渉権などの法的拘束力のあるものとがあります。

デューデリジェンスの不要な規模の小さい業務提携では、基本合意書の締結やデューデリジェンスを行わず、業務提携契約書を締結して提携を実行に移すこともあります。

デューデリジェンス

業務提携においても、提携先の経営状況、財産状況などが、提携を円滑に進めるためには重要となることがあります。また、相手方企業の有する法的なリスクが、業務提携先に波及してしまう不安もあります。

そのため、企業に内在するリスクを探るための調査として、デューデリジェンス(DD)を簡易的に行います。なお、M&Aの際に行われるほど複雑なものではなく、対象を限定した簡易なものとなることが一般的です。

最終契約・実行

以上の手続きが終了したら、最終契約として、業務提携契約書を作成し、締結します。業務提携契約書では、提携における役割、当事者の権利義務、契約解除事由、契約終了事由、秘密保持、競業禁止の範囲などを定めます。

業務提携契約書のポイントについては後述します。

業務提携の終了

業務提携契約書の締結後こそが業務提携の本番です。提携契約の成立後、定期的にその効果測定を行い、より良い関係を築いていく努力が必要となります。具体的な目標やそれを達成する方法を定めて実行していき、達成度をモニタリングしていきます。

達成度を下回るなど、業務提携の実効性に疑問が生じる場合には、提携を終了することもあります。提携契約は、永続的に続くものではありません。

また、業務提携契約の当初に定めていた目的を達成し終えた場合にも、双方合意の上で、業務提携契約を終了することがあります。あるいは、業務提携の実効性が非常に高い場合には、更に提携の程度を高め、資本提携やM&Aへと進め、より密な関係となることも検討されます。

業務提携契約書のチェックポイント

業務提携法的ポイント業務提携契約書注意点

業務提携契約には様々なパターンがあるため、そのビジネスモデルに合わせた業務提携契約書を作成することにより、リスクヘッジをすることが業務提携契約を成功させるポイントとなります。

そこで最後に、一般的な業務提携契約書を参考にして、業務提携契約で特に注意しておかなければならない契約書チェックのポイントについて弁護士が解説します。

なお、以下に説明する業務提携契約書で特に注意すべき条項以外に、通常の契約書に記載される「権利義務の譲渡禁止」「損害賠償」「反社会的勢力の排除」「合意管轄裁判所」「誠実協議」といった一般的な条項が必要となります。

業務提携の目的

第1条 業務提携の目的

本業務提携契約は、甲及び乙が、相互の発展のために互いの得意分野や経営資源を提供し合って業務提携を行い、新製品の研究、開発及び販売を協力して推進することを目的とする。

まず、業務提携契約書の冒頭に、目的規定を置くことが多くあります。目的規定は、業務提携契約書の目的を定めるものであり、提携する企業間の意識を共有し、目的を統一することによって、業務提携の効果をより強く発揮することを目指す機能があります。

目的規定は、業務提携契約書に定められた他の条項の解釈や、契約書に定められていないことについて両当事者間に争いが生じたときに、その解釈の指針となる役割もあります。

業務の範囲と業務分担

第2条 業務の範囲と業務分担

1. 本業務提携を進めるにあたって、甲及び乙の業務の範囲は、甲及び乙が協力して新製品の研究、開発及び販売を行う業務とする。なお、本業務提携契約は、甲及び乙が単独で遂行することのできる研究、開発及び販売を制約するものではないことを相互に確認する。

2. 甲の分担する業務は、○○及び○○とする。

3. 乙の分担する業務は、××及び××とする。

業務提携の場合には、資本提携やM&Aとは異なり、提携後も各企業は独立性を保ったまま、自社の経営を継続することとなります。そのため、提携する業務の範囲がどの部分であるかを明らかにしなければ、独立して行える業務が明らかとならず、自社の経営にも支障が生じてしまうことともなりかねません。

そのため、業務の範囲と業務分担を定める条項を置くこととなります。

互いに分担する業務については、後からの争いを未然に回避するためにも、できる限り明確に、かつ、具体的に記載しておくようにします。

業務遂行の方法

第3条 業務遂行の方法

1. 甲及び乙は、本業務提携契約の締結後、速やかに、各自の有する新製品の研究、開発及び販売の遂行に必要となる資料及び情報を相手方に提供する。

2. 甲及び乙は、本業務提携契約の遂行中、1か月に1回の定期報告会を開催して進捗状況を相手方に報告するとともに、必要に応じて、報告書を提出し協議を行うものとする。

業務提携を遂行する方法についても、契約書に定めておくことがお勧めです。業務提携契約を締結しても、両当事者となる企業がやるべきことを適切に把握していなければ、業務提携が円滑に進まないおそれがあります。

また、業務提携による協力関係についてより効果的に機能させるためにも、進捗の報告義務を相互に課しておくことがお勧めです。頻繁な報告と協議を行うことが、業務提携契約をより効果的に進め、万が一方向性に違いが生じたときにも速やかに対応できるための重要なポイントとなります。

費用の分担

第4条 費用の分担

甲及び乙は、各自、本業務提携契約書第2条に記載した自己の業務を遂行するのに要する費用を負担するものとし、相手方に費用負担が発生する場合には、事前に書面による許可を得るものとする。

ただし、負担する費用が過大となる場合や、いずれの業務に要する費用かの判断が困難な費用が生じる場合には、相手方に報告し、負担割合について協議するものとする。

業務提携について、いずれの企業にもメリットがあることから、費用についても対等に負担することが一般的です。ただ、力関係に差があったり、業務の範囲に差があったりする場合には、一方が多くの費用を負担することもあります。

どのような費用の分担とするにせよ、業務提携契約書においてあらかじめ費用の分担について定めておかなければ、無用なトラブルのもととなります。また、予測していた金額を大きく超えるおそれがある場合、業務提携から生じるメリットを超える費用が発生してしまっては意味がありませんから、その場合の処理についても事前に検討し、協議しておきましょう。

販売提携など、実際に収益が上がることが予想される業務提携の場合には、収益の分担についても定めておくようにします。

知的財産権の帰属

第5条 知的財産権の帰属

1. 本業務提携契約の遂行過程において甲又は乙のいずれかの従業員が完成した発明、考案、意匠その他の知的財産権及びノウハウ等に関する権利は、原則としてその発明等を行った従業員が属する当事者に帰属するものとする。

2. 発明等を行った従業員が甲乙双方に存するときには、共同で出願するものとする。この場合、当該知的財産権の出願及び維持に要する費用は、権利の持分比に従って甲乙双方が負担する。

3. 甲及び乙は、前2項の知的財産権及びノウハウ等の出願を行うときは、事前に相手方に通知するものとする。

業務提携のうち、特に技術提携の場合には、知的財産権の帰属が問題となることが多くありますので、業務提携契約書にルールを定めておくことが必要です。業務提携の遂行過程で生じた知的財産権について、原則としてはその知的財産を発明した会社に帰属するとすることが多いですが、どちらか一方に帰属するとするのではなく、共有としたり、無償のライセンスを認めたりすることもあります。

また、知的財産権に著作権が含まれる場合には、著作者人格権を行使しないとする旨の規定と、翻訳権・翻案権(著作権法27条及び28条の権利)を特記することなどに注意が必要です。

権利の帰属とともに、その発表を誰がどのように行うかや、成果物が生じる場合にはその利用方法についても定めておくことがお勧めです。

改良発明

第6条 改良発明

甲及び乙は、本業務提携契約の期間中、及び、期間満了後5年以内に、新製品の改良発明を行ったときは、相手方に遅滞なう通知し、その帰属及び取扱いについて協議するものとする。

ある発明に、更に改良を加えて生み出した発明を、一般的に「改良発明」と呼びます。業務提携の終了後であっても、当事者の片方が改良発明を行ったとき、その一部は、業務提携期間中の他方当事者の貢献によるものと考えることができます。

そのため、改良発明の帰属や費用負担、成果物の利用などについて協議をする機会を与える上記のような定めを契約書におくことがあります。

秘密保持義務

第7条 秘密保持義務

1. 甲及び乙は、事前に相手方の書面による同意を得ることなく、相手方開示された財産上、営業上、経営上その他一切の秘密情報を第三者に開示、漏えいしてはならず、本業務提携契約の目的外には利用してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するものは、その限りではない、
⑴ 相手方から開示される以前に既に知っていたもの
⑵ 相手方から開示する以前に既に公知となっていたもの
⑶ 相手方からの開示を受けた後に、自己の責に帰し得ない事由によって公知となったもの

2. 前項の規定は、本業務提携契約の終了後も5年間継続する。

自社の重要な企業秘密、ノウハウ、知的財産などの開示をともなう業務提携では、秘密保持義務を双方に課すことがとても大切です。業務提携の検討時にも秘密保持契約書(NDA)を締結していることが一般的ですが、業務提携契約書にも、秘密保持の規定を定めておきます。

秘密保持義務の条項では、秘密情報を定義してその範囲を定め、第三者への開示・漏洩の禁止、目的外利用の禁止、秘密保持期間などを定めておきます。

契約期間、契約の解除

第8条 契約期間

本業務提携契約の有効期間は、20XX年XX月XX日から20XX年XX月XX日までの1年間とする。ただし、期間満了の3か月前までに、甲及び乙のいずれからも別段の意思表示のない場合には同一条件にて更に1年間更新するものとし、以後も同様とする。

第9条 契約の解除

1. 甲又は乙は、他方当事者が次の各号の一に該当したときは、催告なく直ちに本業務提携契約の全部又は一部を解除することができる。
⑴ 本業務提携契約の条項に違反し、1か月の猶予を与えて催告しても改善のないとき
⑵ 正当な理由なく本業務提携契約に定めた協力をsないとき
⑶ 銀行取引停止処分を受けたとき
⑷ 第三者から強制執行、仮差押え、仮処分を受けたとき
⑸ 破産、民事再生、又は、会社更生の申立てがあったとき

2. 前項の規定は、甲又は乙が相手方に対して損害賠償請求をすることを妨げない。

業務提携契約は、永続的に続くものではありません。資本の移転を伴う提携ではないため、契約上の期間満了や解除要件の充足によって提携関係は終了します。

契約期間を定めるにあたっては、どの程度の期間だけ継続すれば、業務提携当初の目的を達成できるのかを吟味することが必要です。合わせて、更新についても、異議がない限り自動更新としておく方法があります。

契約違反など、これ以上の業務提携関係を継続することが難しい場合には、一方的な意思表示によって契約を解除できることも定めておきます。

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業務提携法的ポイント業務提携契約書注意点

今回は、業務提携を進める際の法的ポイントと、業務提携契約書の注意点について、弁護士が解説しました。

業務提携には、その提携内容によって販売提携、技術提携、生産提携などの様々な種類があります。1つの企業でできることには限界がありますが、業務提携の手法を用いることにより、他社の有する事業やサービス、経営資源を活用し、自社単独で進めるよりもスピーディに、かつ、リスク少なく事業展開を進めることが可能となります。

業務提携をより確実に、かつ、リスクやデメリットを回避しながら進めるためには、業務提携契約書に、ポイントを押さえた記載をしておくことが不可欠です。企業の将来を決する判断ですから、慎重に行う必要があります。

業務提携契約をはじめ、企業法務についてお悩みの会社は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

「企業法務」弁護士解説まとめ

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