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保証契約とは?根保証契約に関する民法改正についてわかりやすく解説

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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企業間の取引や金銭の貸し借りなどでは、主たる債務者が約束通りに履行しない場合に備え、「保証契約」を締結することがあります。保証契約を結ぶと、保証人は主債務者に代わって債務を履行する重大な責任を負うため、その内容や法的な効力を正しく理解しておく必要があります。

また、一定の範囲に属する不特定の債務を対象とする「根保証契約」については、2020年4月施行の民法改正で、保証人が個人の場合には極度額を設定することが義務化されるなど、保証人を保護するためのルールが新設されています。

今回は、保証契約の基本的な仕組みや保証人が負う責任、根保証契約との違い、民法改正による根保証契約のルール変更などについて、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 保証契約は、主債務者が債務を履行しない場合に保証人が責任を負う契約
  • 保証契約は書面や電磁的記録で締結しなければ効力が発生しない
  • 2020年民法改正で、個人根保証契約には極度額設定が義務化された

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目次(クリックで移動)

保証契約とは

はじめに、保証契約とはどのようなものか、基本を解説します。

保証契約とは、主たる債務者がその債務を履行しない場合に、保証人が代わってその責任を負うことを約束する契約です(民法446条)。例えば、Aが金融機関からお金を借り、Bがその借入れについて保証人となった場合、Aが返済できなければBが保証債務を履行する責任を負います。

保証契約がよく活用される場面には、次のようなケースがあります。

  • 企業が融資を受ける際の経営者による保証
  • 賃貸オフィスや店舗、個人の住居の賃貸借契約の保証
  • 取引先への掛取引(与信枠)設定時の保証

保証契約は、債権者と保証人の間で締結される契約です。主債務者は保証人に保証委託をすることがありますが、保証契約の当事者ではありません。

保証契約の成立要件

保証契約が有効に成立するためには、民法上の要件を満たす必要があります。

保証契約は、債権者と保証人の合意によって成立しますが、口頭の合意では効力が生じず、書面で締結することが必要とされています(民法446条2項)。電磁的記録によって締結した場合も、書面による保証契約と同様に扱われます(同条3項)。

保証人は大きな経済的負担を負う可能性があるため、安易な保証を防止し、保証意思を明確にする観点で、こうした形式上の制限が設けられています。

なお、保証契約の種類によって、さらに特別な要件が付されることがあります。例えば、個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じません。また、事業のために負担した貸金等債務について個人が保証人となる場合は、一定の例外を除いて、契約締結前に保証意思宣明公正証書を作成する必要があります(民法465条の6)。

保証人に求められる条件

債務者が保証人を立てる義務を負う場合、民法上、保証人には一定の要件が求められます。

具体的には、「行為能力者であること」と「弁済をする資力を有すること」という2つの条件を満たさなければなりません(民法450条)。未成年者や成年被後見人といった制限行為能力者は、単独で保証人になることができません。また、主たる債務者に代わって確実に支払いができる十分な財産や信用を有しなければ、保証人として認められません。

したがって、自身が主債務者として保証人を依頼する際は、これらの条件を満たしているかを確認して人選を行わなければなりません。

保証人が負う責任の範囲

保証人は、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その履行について責任を負います。

つまり、保証は、主債務者の不履行を前提として、第三者である保証人が債権者に対して履行責任を負う「人的担保」を意味します。保証人が負う債務を保証債務といいます。

保証人の責任は、主たる債務の元本に限らず、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものが含まれます(民法447条1項)。

一方で、保証債務には「付従性」があるため、主債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主債務が弁済や相殺によって消滅すれば保証債務も消滅します。また、保証人の負担が主債務より重い場合でも、主債務の範囲内でのみ責任を負うため、主債務の限度に減縮されます。さらに、主債務の内容が保証契約締結後に加重されても、保証人の負担は重くはなりません(民法448条)。

保証債務には「随伴性」があるため、主債務が債権譲渡などによって移転すると、保証債務も主債務に随伴して新たな債権者に移転します。

なお、主債務者から委託を受けた保証人は、主債務者に代わって弁済したときは、支払った額について主債務者に請求(求償)することができます(民法459条)。

保証契約の主な種類

保証契約には、通常の保証(単純保証)のほかに、連帯保証、根保証があります。それぞれ保証人が負う責任や保証債務の範囲が異なるため、違いを理解しておくことが重要です。

単純保証

単純保証とは、通常の保証契約のことを指します。

単純保証では、債権者から履行を求められた保証人は、まず主たる債務者に請求するよう求めることができます。これを「催告の抗弁権」といいます(民法452条)。また、主債務者に弁済する資力があり、かつ、その財産への執行が容易であることを証明した場合、主債務者の財産に先に執行するよう求めることができます。これを「検索の抗弁権」といいます(民法453条)。

さらに、保証人が複数いる場合、各保証人はその人数に応じて分割された範囲で責任を負います。これを「分別の利益」といいます(民法456条、427条)。

連帯保証

連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証契約です。

連帯保証人には、前述した催告の抗弁権、検索の抗弁権が認められず、重い責任を負います。具体的には、主債務者への請求や財産への執行を先に行わなくても、連帯保証人は履行を求められる立場にあります(民法454条)。また、分別の利益も認められないため、連帯保証人が複数人いても負担額は頭割りで分割されず、各連帯保証人が全額の支払いについて責任を負います。

実務上、経営者保証や賃貸契約の保証などは、連帯保証とされるのが通常であるため、保証人として署名する前に、そのリスクの重さについて十分理解しておく必要があります。

なお、単純保証か連帯保証かが不明確な場合、保証人保護の観点から単純保証と解すべきであると考えられています。また、主たる債務または保証が商行為である場合、商法511条2項により当然に連帯保証となるとされます。

根保証

根保証とは、一定の範囲の不特定の債務をまとめて保証する契約です(民法465条の2第1項)。

特定の債務の保証ではなく、定めた範囲内で将来発生する債務も対象となる点が特徴で、継続的な取引から生じる債務をまとめて保証するケースが典型です。例えば、一定の上限額を定めた売掛取引、枠を設定した継続的融資などで、それらの債務を一括して保証するケースが該当します。

根保証を設定すれば、債権者にとって、債務の内容が変わるたびに再契約する手間が省け、債務者としても迅速に資金の供給を受けられるメリットがあります。一方、元本が確定するまでは新たな債務が発生するごとに保証範囲が拡大し、保証人の負担が予想できない点がデメリットです

根保証は保証人の責任が拡大しやすく、特に、個人が保証人となる根保証契約については、保証人の責任が際限なく広がることを防ぐために、極度額等に関する法規制が設けられています(詳しくは、「個人根保証契約では極度額の設定が必要」で後述します)。

2020年民法改正における保証契約の変更点

ポイント

2020年4月施行の民法改正で、保証契約のルールが大きく見直されました。

保証人の保護が強化された点が主なポイントとなります。改正の背景として、日本では中小企業において経営者による個人保証が慣例となっていたところ、取引先の倒産や事業の失敗によって経営者が生活基盤を失う事態が頻発し、制度の見直しが求められていた事情があります。

なお、改正の全体像は「民法改正(2020年4月施行)」をご参照ください。

個人根保証契約では極度額の設定が必要

2020年4月施行の民法改正により、個人を保証人とする根保証契約では、「極度額(上限額)」を定めることが義務化されました。極度額を定めない個人根保証は無効となります。改正前の民法では、極度額の義務化は、貸金債務等を個人が根保証する場合に限られていましたが、改正後は、全ての個人根保証契約について極度額の設定が義務化されました(民法465条の2第2項)。

元本確定期日のルール

債権者と保証人の間で元本確定日を契約で定めることが可能ですが、保証人を保護するため、個人貸金等根保証契約において元本確定期日を定める場合、その期日は契約締結日から5年以内でなければならず、5年を超える期日を定めた場合、その定めは効力を生じません(民法465条の3第1項)。

また、元本確定期日を定めなかった場合、契約締結日から3年を経過した日が元本確定期日となります(民法465条の3第2項)。この期日が到来すると、その時点で根保証の元本が確定し、以降に発生する債務は保証の対象外となります。

元本確定事由の明確化

2020年4月施行の民法改正では、元本確定事由が明確化されました。

根保証は、一定期間に発生する不特定の債務を保証の対象としているため、いつまで責任を負うかが不明確だと、保証人の責任が重くなりすぎる懸念があったためです。改正民法で定められた、根保証人に関する元本確定事由は、次の通りです。

  • 個人根保証契約(民法465条の4第1項)
    • 保証人についての強制執行、担保権実行の申立て
    • 保証人についての破産手続開始の決定
    • 主債務者または保証人の死亡
  • 個人貸金等根保証契約(民法465条の4第2項)
    上記の3つに加え、主債務者についての強制執行、担保権の実行の申立て、破産手続開始の決定

保証意思宣明公正証書の新設

事業用融資の保証契約では、公正証書の作成が必要とされています(民法465条の6)。

具体的には、事業のために負担する貸金等の債務について個人が保証する場合に、契約前に公証人の面前で保証意思を明示する「保証意思宣明公正証書」が必要とされました。この公正証書は、保証契約の締結に先立ち、その締結の日前1ヶ月以内に作成しなければならず、事前の公正証書がない場合、保証契約が無効となります。そもそも保証契約は書面または電磁的記録による必要があるところ、事業用の保証については保証人の責任が過大となるおそれが強いと考えられるためです。

ただし、公正証書が不要とされるケースもあります。主たる債務者が法人である場合の取締役や執行役、これに準じる者、総株主の議決権の過半数を有する者が保証人となる場合や共同事業者、事業に従事している配偶者については、公正証書は要件とされません(民法465条の9)。また、保証人が法人の場合にも適用されません(民法465条の6第3項465条の8第2項)。

情報提供義務の強化

改正民法は、保証人を保護するため、様々な情報提供義務を強化しています。これにより、保証人は、リスクを正確に把握して保証契約を締結することができます。

主債務の履行状況に関する債権者の情報提供義務

民法458条の2は、主たる債務者の委託を受けて保証した場合、保証人の請求があったときは、債権者は保証人に、元本や利息、損害賠償など、主債務に関する全ての債務について、不履行の有無、残額、履行期限が経過している債務額などの情報を提供しなければならないことを定めています。規定違反について罰則はないものの、情報提供を怠った債権者は、保証人から債務不履行責任の追及を受けるおそれがあります。

主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務

民法458条の3により、主債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は保証人(法人である場合を除く)に、その利益の喪失を知った時から2ヶ月以内に通知しなければなりません。債権者は、通知を怠った場合、期限の利益喪失時から通知までに生じるはずであった遅延損害金についての保証債務の履行を請求できなくなります(同条第2項)。

保証契約締結時の主債務者の情報提供義務 

民法465条の10は、事業のために生じる債務の個人保証を依頼するときは、主債務者は保証人に、財産や収支の状況、主債務以外に負担している債務の状況、担保の提供などについて情報を提供する必要があることを定めています。主債務者が説明しなかったり、事実と異なる説明をしたりした場合、債権者が不実の説明があったことを知っていたか、または知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。

【まとめ】保証契約について

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、保証契約の基本と民法改正のポイントについて解説しました。

保証契約とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人が代わって責任を負うことを合意する契約であり、債権者と保証人との間で締結されます。保証人には重い負担が生じるおそれがあるため、保証契約の締結時には、保証債務の内容や範囲、保証期間などの確認が必要です。

特に、継続的な取引などから生じる不特定の債務を保証する「根保証契約」の負担は重く、2020年4月施行の民法改正によって、個人が根保証契約の保証人となる場合、極度額を設定することが義務化されるなど、保証人を保護するための法改正について理解しておくことが重要です。

保証契約を締結する債権者側でも、保証人や債務者の側でも、民法上の要件をよく理解し、適切な内容の契約書を作成しなければなりません。保証契約や根保証契約について判断に迷う場合は、契約を締結する前に弁護士へ相談するのがおすすめです。

この解説のポイント
  • 保証契約は、主債務者が債務を履行しない場合に保証人が責任を負う契約
  • 保証契約は書面や電磁的記録で締結しなければ効力が発生しない
  • 2020年民法改正で、個人根保証契約には極度額設定が義務化された

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