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情報商材詐欺で返金させる8つの方法と、返金請求のポイント

横行する情報商材詐欺にだまされてしまった方にむけた解決策について解説します。

「簡単に儲かる方法」、「不労所得を得る方法」、「即金」など、派手で刺激的なキャッチコピーのついた情報商材をよく目にします。しかしそのなかには、購入者をだますための詐欺商材も増えています。情報商材の作成者だけでなく、アフィリエイターが派手な宣伝文句を利用していることもあります。

有益な情報もありますが、一方で、派手な広告はいずれも売りつけるためのものであり、なかには宣伝文句に見あった中身のまったくない詐欺商材も少なからずあります。

情報商材は、目に見えない「情報」を商品としているため、その価値がとても分かりづらいです。派手に宣伝広告しながら、売り手の顔の見えないとき、悪質な「情報商材詐欺」のおそれも多いにあります。インターネットが普及し、情報商材詐欺が社会問題化してもなお、だまされる人は後を絶ちません。

今回の解説では、情報商材詐欺にだまされてしまったとき、返金請求する方法についてわかりやすく解説します。

この解説でわかること
  • 情報商材詐欺は、派手な広告、アフィリエイターなど、売るための手口を工夫している
  • 情報商材詐欺の返金は、内容証明の送付からはじめ、チャージバックなどさまざまな手を駆使する
  • 情報商材詐欺の返金に成功するためには、証拠集めが大切
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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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情報商材詐欺とは

悩む男性

情報商材とは「情報」をまとめたものを商品として販売するものです。情報商材で扱われる「情報」とは、簡単にいうと「ノウハウ」です。情報商材は、その商品となる情報をPDFや動画、オンラインセミナーなどの形にまとめて販売されます。特によくある情報商材は、次のようなものです。

  • 個人の稼ぎ方
  • フリーランスの稼ぎ方
  • 副業
  • 株式投資
  • FX投資
  • 不動産投資
  • 仮想通貨投資
  • 恋愛(モテ方法・ナンパのしかた)

これら情報商材の対象となりやすい分野の特徴は、個人の強い欲望をひきやすいことです。

情報商材は作成コストや人件費、オフィス家賃など固定費のかからない商売であり、利益率がとても高いです。にもかかわらず、販売価格は書籍より高額なことが多く、1万円以上から、高額な情報商材には数十万円するものもあります。

そのため、情報価値が低いと、情報商材詐欺の被害を生んでしまいます。誰でも参入でき簡単にはじめられる商売だからこそ、悪用する詐欺師が後を絶たないのです。

よくある情報商材詐欺の例には、次のものがあります。

相談例
相談者(男性・20代)
  • 「即金」、「1クリックだけ」、「短時間で稼げる」と誰でも実行できて簡単だと書いてあったため興味を持ちました。
  • 販売価格は10万円と高かったですが、「不労所得」、「寝ながら大金を稼げる」など、非常識な広告コピーに疑問をもちながらも購入しました。
  • 実際に価値がないものと判明した後で調べましたが、販売ページやサイトに、販売責任者の氏名、住所、電話番号が記載されておらず、販売者と連絡をとることはできませんでした。

情報商材詐欺の手口・手法と見分け方

はてな

高額の情報商材を、誇大広告、虚偽広告につられて購入した後になって、中身がまったくなかったり、実現不可能なノウハウばかりであったりして、情報商材詐欺の被害にあってしまったことが明らかになったとして、そのときにはもう詐欺師はお金を持ち逃げし、連絡もつかないことが少なくありません。

そこで、よくある情報商材詐欺の手口・手法を紹介し、あらかじめ情報商材詐欺かどうか見分ける方法について解説します。

ブログ、Youtube、LINEなどから誘導

情報商材詐欺に誘導されるよくある相談例は、ブログから販売ページ、LP(ランディングページ)へ誘導するパターンです。一見すると情報商材詐欺のレビューサイトに見せかけ、実際は特定の詐欺商材への誘導を目的としているサイトもあります。

最近では、次のような情報商材詐欺とはわかりづらい例も増えています。

  • アフィリエイターの運営するサイトからリンクされている
  • Youtube動画から公式LINEに登録させ、ステップ配信で勧誘する
  • 出会い系アプリからの勧誘
  • Youtube動画広告
  • Facebook、Twitter、インスタグラムなどのSNSでの広告
  • インフルエンサーが詐欺の情報商材を知らずに売っていた

情報商材詐欺への誘導が増えてしまう理由に、アフィリエイト報酬があります。アフィリエイターを介することで、商材の中身が詐欺であるかどうかがわからないまま、広告の拡散が進んでしまいます。

アフィリエイトを介した情報商材詐欺の流れ
アフィリエイトを介した情報商材詐欺の流れ

詐欺商材だったとしても、紹介してその商材が売れれば、アフィリエイト報酬が入ります。詐欺商材だと作成や仕入れにお金がかかっていませんから、高単価のアフィリエイト報酬を払うことができます。このようにして、高単価で中身のない詐欺商材ほどアフィリエイトで広がりやすくなります。

無料オファーから高額商材を提案

情報商材詐欺になりやすい事例に、プロダクトローンチという手法があります。

無料プレゼント、セミナー動画などの無料オファーで興味を引き、潜在顧客を集めた上で、後から高額商品(バックエンド)を提案する手法です。無料オファーの有用性はまともなビジネスでも実証されていますが、高額な情報商材を売るために利用されるとき、宣伝広告が派手になりやすく、情報商材詐欺の被害を生みがちです。

プロダクトローンチによる情報商材詐欺の流れ
プロダクトローンチによる情報商材詐欺の流れ

情報商材詐欺の場合、バックエンド商品こそが本命であり、その価格は、無料オファーや低価格のフロントエンド商品より相当高額であることがほとんどです。数十万円から、ものによっては1000万円を超える金額を騙し取られてしまうケースも少なくありません。

ステップメールやメルマガで囲い込み

情報商材詐欺では、メールアドレスやLINEのアカウント情報を取得した上で、メルマガやステップメールを送って情報提供し、高額商材の購入を提案するという手法が使われることがあります。

「一発で稼げる」、「簡単」、「門外不出の極秘ノウハウ」など、ノウハウが秘密性の高い、価値有るものであると示して興味を引き、高額商材の購入につなげる手口です。

一旦、悪質な情報商材詐欺の被害にあってしまうと、このような詐欺メール、スパムメール、迷惑メールが毎日くることとなります。情報商材詐欺にだまされて損をした被害者が、とられた分を稼いで取り戻そうとして、別の高額の詐欺商材を購入してしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。

アフィリエイター、ASPを利用

情報商材詐欺に関わる当事者は、その詐欺商材の作成者だけではありません。詐欺商材には中身がないわけですが、それを売りさばくために多くの人が関与し、情報商材詐欺の拡散に結果として協力してしまっていることが、問題をより複雑化しています。

販売者が作成した詐欺商材を宣伝、紹介し、代理販売して手数料(アフィリエイト報酬)を得るのが、アフィリエイターです。法律的には、アフィリエイターもまた無責任に広告、紹介をして被害を生み出した責任を負うこととなりますが、詐欺商材を広告するアフィリエイターのなかには、倫理観なく、無責任で派手な広告で、情報商材詐欺に加担する人もいます。

また、情報商材を販売するサイトのことをASPといいます。ASP自体が詐欺商材を生み出しているわけではありませんが、ASPのなかには商材の審査基準が甘く、中身のない情報商材でも利益になるならと売り出してしまうサイトも少なくありません。

情報商材詐欺に加担してしまう
情報商材詐欺に加担してしまう

情報商材詐欺に関わるアフィリエイター、ASPなどは、詐欺商材であっても売れれば利益がもらえる分、「いかに楽をして被害者をだまし、商材を購入させて利益を得るか」ということばかりを考えがちです。

成功者、利用者の声を記載

情報商材詐欺の販売ページ、LP(ランディングページ)に、その商材を購入して成功をした成功者、利用者、体験者の声がたくさん記載されていることがあります。動画による成功者のインタビューが掲載されていることもあります。

成功者、利用者の声が多く記載されていれば、タイトルが誇大広告ではないか、詐欺ではないかという内容でも、つい信じてしまいたくなってしまいます。特に、顔出しして感想を記載している人が数多くいるのを見ると、その情報商材の信用性が増し、つい試してみたくなるのが人の心理です。

しかし、成功者、利用者の声は、ねつ造したり、やらせ、ステマだったりすることがありますから、それだけでその情報商材の中身を信用してはなりません。

情報商材詐欺に返金させる8つの方法

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

購入した情報商材が、情報商材詐欺なのではないかという不安、疑問を抱いている方に向けて、次に、情報商材詐欺によってだまされたお金の返金を請求する方法を、弁護士が解説します。

情報商材詐欺の返金を請求する方法には、返金請求先によって、主に次の4つに分類されます。

  1. 情報商材の販売者に返金請求する方法
  2. ASPに返金請求する方法
  3. アフィリエイターに返金請求する方法
  4. クレジットカード会社、決済代行会社などの外部に返金請求する方法

しかし、実際は、情報商材の販売者が誰かわからなかったり、アフィリエイターが匿名で広告していたり、すでに販売者が海外に逃亡してしまっていたり破産していたりといった理由で、請求先が限定されてしまうケースも少なくありません。

できるだけ多くの返金方法を試せるよう、購入した情報商材が、情報商材詐欺なのではないかと気づいたら、すぐに返金請求の方法を検討するようにしてください。

【方法1】販売者に返金保証を請求

情報商材の中には、返金保証を謳うものがあります。「即金で不労所得!稼げなかったら全額返金をします」という例です。

返金保証の文言が広告に書かれているとき、まずは、情報商材の販売者に対して、返金保証にもとづく返金請求をしましょう。詐欺業者ではなく、その情報商材の内容にしたがって実行したけれども結果が出なかったというケースでは、返金保証に応じてもらえる可能性があります。

ただ、返金保証を謳う情報商材のなかには、実際には返金を行わずに逃亡したり、返金保証をするためにとてもハードルの高い条件をつけたりといった方法で、実際には返金しない詐欺業者もいます。

そのため、返金保証だけで安心することなく、まずは返金保証を試してみるものの、返金されない場合には次の方策に着手しなければなりません。

【方法2】販売者に内容証明で返金請求

電話などで返金請求してもすぐに応じてはくれないとき、情報商材詐欺の被害者から販売者に対して、直接、返金請求を行います。返金請求をするときは、返金すべき法的な根拠をきちんと書いて、返金されないときは訴訟などの法的手段をとることを警告します。

情報商材詐欺にあってしまったとき、被害者が商材の販売者に対して返金を請求する法的な根拠には、次の2つがあります。

  1. 詐欺による契約解除を理由とする返金請求
    詐欺でだまされてした意思表示は、民法96条1項により取り消すことができる。契約を取り消した結果、払ったお金の返金を求めることができる。
  2. 不法行為を理由とする損害賠償請求
    故意または過失によって行われた違法行為により損害を負ったとき、民法709条により損害賠償請求できる。

被害者から情報商材詐欺師に対する通知書は、内容証明で送ることで、いつ、どのような内容の文書を送付したかを、客観的な証拠に残しておくことができます。

内容証明(日本郵便株式会社)

上記のほか、情報商材詐欺は、消費者を保護するための消費者契約法、特定商取引法、景品表示法といった各種の法律に違反している可能性が高いため、それらの法違反の事実についても書面に列挙して警告を強めます。

情報商材詐欺の勧誘、販売の際に行われることの多い法違反行為は、例えば次のものです。

  • 虚偽告知(消費者契約法4条1項1号)
    重要事項について事実と異なることを告げ、告げられた内容が事実だと誤認して意思表示を行ったとき、その意思表示を取り消すことができる。
  • 断定的判断の提供(消費者契約法4条1項2号)
    将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供し、提供された断定的判断の内容が確実であると誤認して意思表示を行ったとき、その意思表示を取り消すことができる。
  • 不利益な事実の不告知(消費者契約法4条2項)
    勧誘に際して重要事項について不利益となる事実を告げなかったことにより、その事実が存在しないと誤認して意思表示を行ったとき、その意思表示を取り消すことができる。
  • 通信販売における誇大広告の禁止(特定商取引法12条)
    通信販売の広告で、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも著しく優良、もしくは有利だと誤認させるような表示が禁止される。
  • 承諾していない者に対するメール広告の禁止(特定商取引法12条の3)
    通信販売で、承諾を得ないで電子メール広告を送信することは禁止される。
  • 不当表示の禁止(景品表示法5条)
    実際の商品または役務よりも著しく優良だと示し(優良誤認)、もしくは、他の事業者よりも著しく有利だと示す(有利誤認)ことで不当に顧客を誘引することが禁止される。

【方法3】決済代行会社に損害賠償請求

情報商材の販売者に返金請求をしても応じてもらえなかったり、既に販売者が逃亡、倒産などで連絡がつかなかったりといった場合には、次に、決済代行会社に返金請求する方法を検討します。情報商材業者がよく利用する決済方法には、ペイパル、テレコムクレジット、インフォトップなどがあります。

決済代行会社を利用したときの流れ
決済代行会社を利用したときの流れ

情報商材が詐欺商材だったとき、決済代行会社も民法上の責任を負います。決済代行会社もまた、情報商材の内容を審査し、決済を代行し、代金の一部を利益として受けとっているからです。決済代行会社が、被害者からの損害賠償請求に備えて、販売者から一定の預託金を預かっていることもあります。

情報商材の販売者への請求者と同じく、法的な根拠をしっかりと書いて内容証明で返金請求します。

【方法4】金融機関に口座凍結を要請

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

情報商材詐欺の被害にあってしまったとき、その商材の代金を銀行など金融機関の口座に振込送金しているときには、金融機関に対して口座凍結を要請します。

口座凍結要請の法的な根拠は、いわゆる振込め詐欺救済法(正式名称「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」)にあります。つまり、犯罪行為に利用された金融機関口座を凍結し、被害拡大の防止と被害回復を図ることを目的とした方法です。

振込め詐欺でなくても、犯罪行為に利用されたことを証明できれば、その口座の取引を停止させることができます。

この方法によって返金請求をするときは、どのような勧誘に応じて、どのようなサービスを受けるために、どの口座にいくら振り込んだか、という点について証拠を集めておくことが大切です。

【方法5】クレジットカードの支払停止の抗弁

クレジットカードの分割払い、割賦払い、リボ払いなどの方法で情報商材を購入しているときは、詐欺商材であった場合には、クレジットカード会社に対して支払停止の抗弁書を提出します。

支払停止の抗弁とは、割賦販売法という法律に基づき、事業者の債務不履行や詐欺が発覚したとき、クレジットカード会社に申請することでその支払をストップし、すでに払ったお金を返金してもらう制度です。

ただし、クレジットカード会社に支払い停止の抗弁を認めてもらうためには、正当な理由が必要となります。そのため、情報商材詐欺だったことを証明する証拠を集めることが大切です。

なお、情報商材の購入について、クレジットカードの一括払いで代金支払いを行った場合には、代金を支払ってしまっているため、支払停止の抗弁が使えず、次に解説するチャージバックの申請を検討します。

【方法6】チャージバックの申請

情報商材の購入について、クレジットカードの一括払いを利用している場合には、次に、クレジットカード会社に対するチャージバックの申請をします。チャージバックとは、クレジットカードの売上取り消しの処理のことをいいます。

つまり、クレジットカード会社が、チャージバックの処理を認めた場合は、その商品、サービスを購入していたという履歴がなくなることとなり、すでに支払ったお金が返金されます。

ただし、チャージバックもまた、クレジットカード会社に認めてもらうためには正当な理由が必要となりますので、情報商材詐欺であったことを証明する証拠が必要となります。また、チャージバックは、クレジットカード会社ごとに定めた期限があることが通常であるため、情報商材詐欺であると気付いたら速やかに行う必要があります。

【方法7】販売者に訴訟で返金請求

情報商材の販売者に対して、内容証明郵便による警告書を送付して返金請求、損害賠償請求を行っても、これに応じてくれない場合には、民事裁判の方法によって行うことを検討します。

民事裁判の方法は、裁判所に訴状を提出し、証拠を調べてもらい、情報商材詐欺師の民事責任を追及する手続きです。裁判に勝訴すれば、訴えが正当であったことを認めてもらうことができます。

ただし、民事裁判による返金請求の方法は、情報商材詐欺師の財産が存在することが前提となります。裁判で勝訴した場合に、強制執行の方法によって財産を強制的に差押えることができますが、強制執行を成功させるためには、情報商材詐欺師の財産を特定しなければならないからです。

なお、2020年4月1日より施行された民事執行法改正により、財産開示手続きの見直しが図られるなど、強制執行の実効性が増し、利用しやすくなりました。

【方法8】刑事告訴・刑事告発

以上の返金請求、責任追及はいずれも、民事上の救済方法です。最後に、最終手段としての刑事告訴、刑事告発の方法を解説します。一般的に、被害者が行う犯罪の申告を「刑事告訴」、被害者以外が行う犯罪の申告を「刑事告発」と呼びます。

一般に「刑事訴追」ということもありますが、刑事事件の場合、被害者が直接訴えることができるわけではありません。刑事事件では、訴えるのは検察官であり、被害者は検察官に対して、訴えるよう求めることができるだけです。

返金請求に奏功しないのであれば、せめて刑事罰を与えたいという気持ちは十分理解できます。しかし、刑事告訴をすることにより返金請求を成功させることが可能なケースもあります。

刑事告訴を捜査機関(検察、警察)に受理させることができた場合には、必ず犯罪捜査が行われます。取調べの結果、逮捕され、勾留され、起訴されて有罪になるという流れに進む場合には、情報商材詐欺師のほうから示談の要望があり、返金を受けられるケースも少なくありません。

捜査機関(検察、警察)には強制的な捜査権があるため、これまで入手が難しかった証拠も、強制捜査によって収集できます。

ただし、刑事告訴を受理してもらうことが相当困難な場合があります。刑事告訴を受理してもらうためには、刑法に定められた犯罪構成要件を満たす適切な「告訴状」の作成が重要なため、刑事事件に関する知識と経験の豊富な弁護士のサポートが有用です。

情報商材の返金請求の成功のポイント

案内する女性

最後に、情報商材の返金請求を成功させるため、返金請求の前に行うべき準備について解説します。

事前に十分な準備をすることにより、情報商材の返金請求の成功確率を上げることができます。

特定商取引法に基づく表記を確認する

情報商材の販売は、インターネットで販売する通信販売である以上、特定商取引法(特商法)が適用されます。そのため、特定商取引法11条にしたがい、いわゆる「特定商取引法に基づく表記」をする必要があります。

特定商取引法に基づいて、商材の販売者が住所や氏名、連絡先を明記することを義務付けることで、責任の所在を明らかにし、詐欺商材による被害を減らすことが目的です。

特定商取引法11条

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。

一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
四 商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にはその内容を、第二十六条第二項の規定の適用がある場合には同項の規定に関する事項を含む。)
五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

特定商取引法(e-Gov法令検索)

特定商取引法に基づく表記に記載された氏名をインターネット上で検索をし、例えば「○○+詐欺」などのワードで検索すると、他に被害者になってしまった人がいないかを調べることができます。

特に悪質な詐欺は、消費者庁のサイトで事業者名が公表されていることがあります。消費者庁のサイトに公表されていたときは、詐欺の可能性がかなり高いです。情報商材の販売者の法人名がわかるときは、その法人の商業登記簿謄本、法人の本店所在地、代表者の住所地の不動産の登記簿謄本などを取得し、財産が存在するかをあわせて確認します。

詐欺の証拠を収集する

情報商材詐欺を理由として、返金請求をする法的な根拠は、大きく分けて、

  • 詐欺による契約解除を理由とする返金請求
  • 不法行為を理由とする損害賠償請求

の2つがあると解説しました。

そして、これらいずれの法的な根拠に基づいて返金を請求する場合にも、その情報商材の販売が詐欺である、違法であるということを示す証拠が必要となります。詐欺業者ほど、証拠が残らないように行動しますので、詐欺であった証拠は、被害者側できちんと保管しておかなければなりません。

情報商材詐欺ではないかと疑問を持ったとき、保存しておく必要のある証拠は、例えば次のものです。

  • 情報商材の販売サイトのスクリーンショット
  • 情報商材のセールスレター
  • ステップメール、メールマガジン
  • 情報商材業者から送られてきたメール、LINE
  • FacebookやTwitterなどSNSの投稿
  • 情報商材業者とのやりとり(メール、会話の録音など)
  • 情報商材の代金を振り込んだ銀行口座
  • クレジットカード情報

まとめ

今回は、インターネットが一般に普及し、急増する情報商材詐欺について、その返金請求の方法、返金請求を成功させるためのポイントを解説しました。

情報化社会が進むにつれ、ノウハウなどの情報の価値が増しています。物を製造して販売するのではなく、持っている知識や経験、ノウハウを伝えることで稼ぐ手法が流行しています。しかし、情報の価値がまったくないにもかかわらず高額で販売される詐欺商材も多くあります。

焦る気持ちに付け込み、もっと高額の詐欺商材を売りつけたり、詐欺師を突き止めて返金請求するサポートとして費用を請求する手口もあるため、注意が必要です。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所では、消費者被害のケースについて、返金成功の実績が豊富にあります。

万が一、情報商材詐欺の被害にあってしまったとき、販売者との連絡がつかなくなり焦ることが多いのではないでしょうか。ぜひ、いち早く、消費者被害を取り扱う弁護士に、法律相談をご依頼ください。

情報商材詐欺のよくある質問

情報商材詐欺にはどのような手口がありますか?

情報商材詐欺には、アフィリエイターを介した広告手法、無料オファーを活用したプロダクトローンチなど、売るためのさまざまな工夫がされているため注意が必要です。詐欺ではないか、より詳しく知りたい方は「情報商材詐欺の手口・手法と見分け方」をご覧ください。

情報商材詐欺の被害にあったとき、返金してもらう方法はありますか?

情報商材詐欺には、アフィリエイター、ASP、決済代行会社、クレジットカード会社など多くの関係者が関わっているため、その全てに請求を行うことが重要です。もっと詳しく知りたい方は「情報商材詐欺に返金させる8つの方法」をご覧ください。

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