人事労務

社員に自転車通勤を認めるときの、会社側の注意点【弁護士解説】

2020年8月3日

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自転車通勤

健康志向のために、自転車通勤を行う社員がいます。会社の近くに住んで、自転車で通勤することは、満員電車に乗ることなく、ストレスをためなくて済むうえ、通勤時に運動をすることができ、健康増進、生産性の向上につながります。

特に、2020年3月頃より社会問題化した新型コロナウイルス感染症の感染リスクを避けるため、満員電車に乗らなくても済むようにするために自転車通勤に切り替える社員が増加しています。

しかし一方で、自転車通勤には、人事労務管理上、注意しなければならないポイントが多くあります。万が一にも、自転車通勤中に事故にあってしまったり、不適切な自転車の利用によって他人に迷惑をかけたりするようなことがあれば、会社にとって大きなリスクとなるおそれがあります。

そこで今回は、通勤や業務中に、社員に対して自転車の利用を認める会社が、人事労務面において注意しておきたい注意点について、弁護士が解説します。

「人事労務」弁護士解説まとめ

自転車通勤のメリット・デメリット

自転車通勤

会社において自転車通勤を導入することには、メリットとデメリットの双方があります。人事労務管理の観点から、自転車通勤を導入するかどうかは、メリットとデメリットを比較考慮し、メリットのほうが大きいかどうかを検討することが重要です。

自転車通勤を導入するメリットは、次の通りです。

特に、公共交通機関の通気ラッシュの激しい都心部では、自転車通勤のメリットを最大限に生かすことができます。

  • メリット①:社員の健康増進
    :自転車で通勤することにより、通勤の往復がそのまま運動になります。特に、オフィスワーカーの場合には、会社に出社した後は退社までずっとデスクでパソコンに向かうことも多く、運動が不足して健康を損ないがちです。
  • メリット②:感染リスクの低減
    :新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が蔓延し、いわゆる「3密(密集、密閉、密接)」の場所は感染リスクが高いとされています。そして、満員電車で新型コロナウイルス感染症がうつるかどうかについて科学的に解明はされていませんが、少なくとも満員電車が3密の場所にあたることは明らかです。
  • メリット③:生産性の向上
    :満員電車に乗らなくてもよいことは、翻って、生産性の向上にもつながります。通勤ラッシュ時の電車に乗らなくてもよくなることにより、始業・終業時刻をより柔軟に調整できることにもつながります。

これに対して、自転車通勤を導入するデメリットは、次の通りです。

  • デメリット①:自転車事故の危険
    :自転車は、意外にも危険な乗り物であると考えなければなりません。自転車事故が起こって被害者となり、社員の身体、命が脅かされるおそれがあることはもちろん、逆に事故の加害者となって賠償請求を受けるおそれがあります。ロードレーサーのように速度の出る自転車に乗っていた場合、危険は更に増します。
  • デメリット②:通勤災害
    :会社への通勤時に事故にあって傷害を負うと、労災(通勤災害)となります。会社は、労働者の身体の安全に配慮する義務があり、これを十分に果たせていない場合には、合わせて安全配慮義務違反の責任を負うこととなります。
  • デメリット③:交通費の横領
    :会社に届出をせずに自転車通勤をされてしまうと、実際には自転車で通勤しているにもかかわらず、電車で通勤するルートを申請して交通費を受領し、結果として交通費分の横領となってしまうおそれがあります。

自転車通勤を認める会社が注意すべきポイント

自転車通勤

以上のとおり、自転車通勤には、健康志向などのメリットがある反面デメリットもあります。デメリットがあるからといって、自転車通勤を行いたいという社員の申出を一律に拒否してしまうと、社員の仕事へのモチベーションが下がってしまうおそれがあります。

そのため、自転車通勤のデメリット、リスクを低減するためにも、自転車通勤を認める際に会社が注意すべきポイントを理解しておかなければなりません。

自転車通勤を承認制とする

第一の注意点は、自転車通勤を承認制とすることです。承認制とすることによって、自転車通勤をすると危険が大きい場所に住んでいる社員、自転車通勤が長時間になりすぎ、仕事への集中力を欠く可能性がある社員など、自転車通勤に適していない社員には自転車通勤をさせないようにすることができます。

ただし、不公平な取扱いをしているという批判を受けないためにも、どのような場合に自転車通勤を承認するかについて、客観的な判断基準を作成しておくことがお勧めです。

「会社が理不尽に自転車通勤を許可してくれない」という不満を抱かれてしまうと、今度は、隠れて自転車通勤をされてしまうおそれがあり、そうなるとますます、自転車通勤に潜む危険やリスクを会社がコントロールすることができなくなってしまいます。

検討しておきたい、自転車通勤を承認制とする際の判断基準は、自転車通勤をする距離、時間、通勤経路の危険度、自転車以外の交通手段の有無やその際にかかる時間などについてです。

通勤経路、使用自転車を届け出させる

第二の注意点は、通勤経路、使用自転車を届け出させることです。自転車通勤自体は承認するにしても、どのような経路で通勤するかや、どのような自転車で通勤するかによって、自転車通勤の危険度が大きく変わるからです。

特に、自転車用の道路が十分に整備されていない道で、ロードレーサーなど速度の出る自転車で車道を通行し続けることには、大きな危険があります。自動車事故と同様、自転車事故の場合にも、事故が発生して被害者となったり、加害者となって賠償責任を負わされることがあります。

届出ている方法で通勤しているかどうかを定期的に確認し、違反がある場合には、自転車通勤の承認を取り消すようにする必要があります。

このように、違反のあった社員に対して制裁(ペナルティ)として自転車通勤を認めないようにするという会社の裁量を確保するためにも、自転車通勤を承認制としておくことに大きな意味があります。

適切な賠償保険に加入する

第三の注意点は、適切な賠償保険に加入することです。

自転車事故であっても、自動車事故よりも軽視してはなりません。自転車事故であっても、事故の加害者となると高額な賠償を求められることがあります。そのため、自動車保険や火災保険の特約で付保されている保険のほか、自転車事故専用の保険に加入することがお勧めです。

安全運転することが第一ではありますが、万が一に事故が起こってしまった場合に備えて、保険に加入しておくべきです。特に、自転車通勤のために毎日自転車に乗るような場合、会社が社員に対して、保険への加入を義務付け、保険加入を自転車通勤を承認するための条件とするという方法を検討すべきです。

自転車通勤の増加している都市部では、条例で、自転車利用中の退陣事故の賠償に備えるための保険(自転車損害賠償責任保険)への加入を義務付ける動きが全国に広がっています。

保険加入済の自転車を用意する

第四の注意点は、保険加入済の自転車を用意することです。

自転車であっても、事故に備えた損害賠償保険への加入が重要であると解説しました。自転車通勤だけでなく、業務中も自転車に乗ることが予定されるような場合には、いっそのこと、保険加入済の自転車を会社で用意する方法のほうがより確実です。

会社が自転車を社員に貸し与える場合には、その自転車の用途、用法の指定や、どのような場合にプライベート使用して良いのか、もしくは、プライベート使用は禁止されるのか、といった点についても、客観的なルールを作成し、社員に周知します。

安全運転について社員に周知する

最後に、当然ながら、安全運転が必要であることについて、社員に周知啓発し、講習を受けさせるなどして、自転車通勤の安全を図ることです。

安全運転は社員のためでもありますが、自転車通勤をする社員がみな、自転車の安全な運転方法を熟知しているとは限りません。特に、よく利用する場合には自転車にも損害賠償保険を付保すべきであることは、知らない社員も少なくないです。

自転車へ取り付けるライト、夜間に光るシールなどの安全対策、ヘルメット、サポーターなど、状況に応じて必要となる安全運転のための装備についても、会社が一定の基準を示すことがお勧めです。

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自転車通勤

今回は、通勤ラッシュの激しい都市部で増加中の自転車通勤について、使用者側(会社側)の立場で、導入時の注意点を解説しました。

会社が労働者に対して負う安全配慮義務違反とならないよう、社員に対して自転車通勤を認める際には、社員の生命、身体の安全に十分配慮しなければなりません。自転車通勤を導入するに際しては、同業界、同業態、同種、同規模の他社の人事労務管理の例が参考になります。

人事労務管理について不安のある会社は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

「人事労務」弁護士解説まとめ

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