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強制執行が不奏功に終わり、人身保護請求をされたが、子の引渡しを回避した事例

担当弁護士

久保川真

  • 相談者
    男性・30代後半・会社員
  • 事案の概要
    依頼者は、妻の不貞行為を理由に離婚を決意し、子供を連れて実家に帰る形で別居しました。妻からは子の引渡しを求められ、審判が下り、これに基づく強制執行が申し立てられました。執行の結果、次男は母親と暮らし始めましたが、長男は一貫して父親と暮らす意思を強く示したことから、妻側から人身保護請求を申し立てられました。当方は、長男が父親である依頼者と暮らすことを一貫して望んでいること、相応の判断力が備わる年齢であり本人の意思を尊重すべきであることを主張し、人身保護請求を退けることに成功しました。
  • 本事例は、守秘義務およびプライバシー保護の観点から、個人を特定できる情報を削除するとともに、事案の本質を損なわない範囲で事実関係の一部を変更・抽象化しています。

ご依頼時の状況

依頼者と妻の間には、長男・次男の2人の子供がいました。

依頼者は、妻の不貞行為が発覚したため、婚姻継続が困難であると判断し、子供2人を連れて実家に帰る形で別居を開始しました。妻は、長男・次男のいずれも、自身が主たる監護者であると主張し、裁判所に子の引渡しを求める審判を申し立て、引渡しの命令を得ました。そして、依頼者がこれに応じなかったため、妻が強制執行を申し立てました。

強制執行は、長男と次男の在籍していた学校へ、妻と執行官・心理士が訪問する形式で行われましたが、長男は母親との同居を頑なに拒否したため、強制執行は不奏功に終わりました。その結果、長男の引渡しを求め、妻から人身保護請求が申し立てられました。

当事務所は、強制執行の段階から継続的に相談を受け、アドバイスをしていたため、人身保護請求を受けた段階で正式に代理人として就任しました。

弁護士による対応と解決結果

弁護士による対応

人身保護請求は強力な手段であり、引渡しを命じる判決が下された場合、裁判所が長男を預かり、妻に引き渡すことになります。一方、長男は、強制執行の際にも依頼者と暮らすことを強く主張していたため、結果的に失敗に終わったという経緯がありました。

当事務所では、長男が、相応の判断力が備わる年齢(当時10歳)であることを踏まえ、様々な参考文献を提出し、子供の意思を尊重することの重要性を主張しました。

解決結果

人身保護請求では裁判所が任命した国選代理人(依頼者側、妻側のどちらの味方でもない弁護士)が関係者から意見を聞くとともに、独立した第三者の立場から意見を述べます。

本事案でも、国選代理人が長男と話をした結果、妻のところに帰らずに依頼者と暮らすことを強く望んでおり、その真意にも偽りがないと結論付けられました。

裁判所も、国選代理人による報告書の結論に従って、妻による人身保護請求を退ける判断を下しました。そのため、引き続き、長男の監護は父親である依頼者が、次男の監護は母親が担うという形を続けることとなりました。

なお、妻側に不貞行為があったことに加え、以上のような長男の頑なな意思を受け止め、妻が譲歩した結果、夫婦は離婚に至りました。

担当弁護士(久保川)のコメント

本事案は、非常に特殊な事案であり、当事務所の専門性が発揮されたものと考えています。

裁判所が、子供を妻に引き渡すよう命じたとしても、最終的には、子の福祉(利益)の観点から慎重に検討する必要があります。特に、一定の年齢に達した子供の意思は尊重されるべきであって、それは、裁判所から審判が下され、強制執行が行われたとしても変わりません。

当事務所としては、非常に慎重な検討が必要なケースではあったものの、長男は、強制執行から、人身保護請求における国選代理人との面談まで、一貫して父親である依頼者と暮らすことを望んでおり、その真意を尊重すべきであると考え、弁護活動に臨みました。

ただし、本事案のように妻に不貞行為があったなどの事情があっても、子供を連れて一方的に別居することにはリスクがあり、親権や監護権の判断で不利になったり、未成年者略取・誘拐罪に問われたりする危険があるため、注意深く行動しなければなりません。

参考となる解説