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離婚に応じない配偶者との訴訟において離婚が認容された事例

担当弁護士

窪木稔

  • 相談者
    男性・50代後半・会社役員
  • 事案の概要
    依頼者は妻と20年以上同居していたものの、価値観の相違や過去の不貞行為が原因で対立が続いていました。協議書を作成して妻に提示するなど、離婚に向けた行動を続けてはいましたが、妻は、夫が有責配偶者であることなどを理由に拒否し続けていました。弁護士へ依頼後は、離婚調停・離婚裁判(離婚訴訟)で争い、妻が依頼者の仕事に一切理解を示さず、家庭生活に非協力的であり、夫婦関係を続けるのは困難であることを主張し、離婚を認容する判決を勝ち取ることができました。
  • 本事例は、守秘義務およびプライバシー保護の観点から、個人を特定できる情報を削除するとともに、事案の本質を損なわない範囲で事実関係の一部を変更・抽象化しています。

ご依頼時の状況

依頼者は学生時代の同級生である妻と結婚し、子供をもうけました。

しかし、仕事についての価値観の相違が大きかったことや、20年以上の間セックスレスの状態であったことなどから、夫婦関係は決して良好とはいえませんでした。その中で、依頼者が仕事関係の知人女性と不貞行為に及んだことがあるものの、謝罪の上、夫婦関係を続けてきました。

その後、妻から依頼者への非難が日常的になり、離婚を検討するようになりました。不貞行為は10年前、かつ、一度きりの出来事でしたが、妻は頻繁にその話題を持ち出すようになり、夫を非難するばかりで離婚協議が進まなかったため、当事務所への相談に至りました。

弁護士による対応と解決結果

弁護士による対応

本件では、相手方から、依頼者の過去の不貞行為が指摘されていました。

仮に当方が有責配偶者に当たる場合、離婚請求が認められるハードルは高くなり、長期間の別居を含む厳格な要件が求められる可能性がありました。そのため、離婚調停の中では、別居開始時がいつであるかが争点の一つとなりました。

依頼者は妻と別居すべく、都内にマンションを購入した時点が別居開始時だと主張しました。しかし、裁判所は、マンションの内覧に妻が付き添っていたこと、居住開始後も妻が複数回訪問していたことなどを理由に、この主張を認めませんでした。一方で、妻側は、離婚調停を申し立てた時点が別居開始時点であると主張し、裁判所もその主張を認める心証を示していました。

この裁判所の心証を前提とすると、依頼者が主張する別居期間では、有責配偶者からの離婚請求に必要な長期間の別居を満たさないことが懸念されました。

そこで、別居期間の長さを中心に争うのではなく、そもそも依頼者は有責配偶者に当たらず、むしろ婚姻関係が破綻した実質的な原因は妻側にあると主張する方針に切り替え、訴訟に移行するのが適切であると判断しました。調停不成立後も、依頼者は、最大限の財産分与を行うこと、子供の教育費を全額負担することといった譲歩を提案しましたが、妻の手元には精力剤やアクセサリーの購入履歴といった不貞を疑わせる証拠が複数あり、感情的に離婚に応じない原因となっていました。

このように、両者の主張が対立したため、調停は不成立で終了し、依頼者側から離婚裁判(離婚訴訟)を提起しました。

解決結果

最終的には、家庭裁判所は、離婚を認容する判決を下しました。

裁判では、夜間や休暇中でも業務に対応する必要があった依頼者に対し、妻が理解を示さず非難していたことを強く主張しました。社会的地位が高く、責任の重い業務に就く依頼者に寄り添わず、非協力的であったことが、裁判官の心証に影響したものと考えています。

また、夫の不倫は、10年前の出来事であり、既に謝罪と関係修復を経ていたことから、婚姻関係の破綻の直接の原因ではないと判断されました。その結果、依頼者が有責配偶者ではないことを前提として、離婚を認容する判決を得ることができました。

このように、別居開始時については依頼者側に不利な心証が示されたものの、別居期間の長さによって離婚を求めるのではなく、過去の不貞行為と現在の婚姻関係の破綻との因果関係や、破綻に至った実質的な原因を争ったことが、離婚認容という結果につながりました。

なお、財産分与については、妻が離婚に応じない方針であったため、調停段階の争点にはなりませんでしたが、裁判後、夫婦間の任意の協議によって一定の合意に至っています。

担当弁護士(窪木)のコメント

一方が離婚を望んだとしても、相手が拒否して話し合いに応じないこともあります。

こうした状況下では、当事者間の交渉による解決は難しく、離婚調停、離婚裁判(離婚訴訟)といった法的手続きによる解決を検討するべきです。

ただし、離婚裁判に発展すると、解決までに費用と時間がかかるのも事実です。そのため、できる限り調停段階で解決できるよう交渉を進めていく必要があります。

また、不貞行為に及んでいたなど、離婚原因について責任のある配偶者(有責配偶者)からの離婚の申出は、法的に裁判所から信義則上の制限を受け、感情的にも配偶者の了承を得にくいです。そのため、配偶者の同意を得るため、財産分与や養育費といった離婚条件について、相手の希望に沿った提示をするなどの配慮が求められます。

本事案は、別居開始時について不利な心証が示され、別居期間もさほど長くなく、有責配偶者からの離婚請求に必要な厳格な要件を満たさないおそれがある中で、不貞行為が既に10年前に謝罪・清算された出来事であったこと、破綻の実質的な原因が妻側にあることなどを丁寧に主張し、離婚を認容する判決を勝ち取った事例です。

参考となる解説