
担当弁護士
久保川真
- 相談者
男性・40代前半・会社員 - 事案の概要
依頼者は、離婚協議書において、親子交流(面会交流)を離婚から5年後に開始するという不利な条件で合意していました。しかし、幼い子供との交流が長期間断絶されることで親子関係の形成に重大な支障が生じることを懸念し、見直しを希望していました。元妻が協議を拒否したため調停を申し立て、子の福祉の観点からルール変更の必要性を主張し、家裁調査官の調査を経て、就学前から2ヶ月に1回の交流実施を実現しました。
ご依頼時の状況
相談時には既に、依頼者は自ら離婚手続きを完了させていました。
財産分与や自宅不動産の処分などの複数の条件を一括して協議する中で、面会交流について、離婚後5年間は父子の交流を行わないことを前提とする内容を受け入れ、離婚協議書を作成していました。当時、妻側のみに代理人弁護士が就いていたことも不利に働いていました。
しかし、離婚当時1歳だった子供との交流が長期間断絶すれば、父親の存在そのものが記憶から薄れるおそれがありました。依頼者は強い危機感を抱き、段階的にでも面会交流を開始したいと元妻側へ見直しを求めたものの、協議書の存在を盾に交渉を拒否されていました。
既に合意が存在する以上、変更を求めることは容易ではない一方で、親子関係の維持と子供の健全な成長のために法的手続きによる解決を希望し、当事務所へ相談しました。
弁護士による対応と解決結果
弁護士による対応
離婚協議書が締結済みであることは、大きなハードルとなりました。
まずは交渉で親子交流(面会交流)の実施を求めたものの、妻側代理人は一切対応しなかったため、協議での解決はあきらめて調停を申し立てました。
親子交流調停(面会交流調停)でも、協議書の内容を変更すべき合理的な理由を説明するよう求められました。当方の言い分として、財産分与などの他の条件との関係で、不利な内容を受け入れざるを得なかったことを主張しました。また、幼い子供との交流が長期間断絶することが、子の福祉に著しく反することを主張し、早期の交流開始の必要性を主張しました。
その結果、家庭裁判所調査官による調査が実施され、調査官の意見としても、就学前の面会交流の必要性を認める意見が出されました。
解決結果
調停に進めた結果、依頼者にとって不利な形で定められた親子交流(面会交流)の条件の正当性は認められず、父子の交流を阻害したいという元妻の意思が浮き彫りになりました。
調査官からも、離婚協議書で取り決めた面会交流のルールに従うより、再検討する方が子の福祉に叶うとして当方の主張が好意的に評価され、そのことが調停の結果に影響しました。
その後のルール決めでは、交流頻度と交流内容の見直し時期が争いになりましたが、前者について双方が歩み寄った結果、2ヶ月に1回の頻度での面会が実現されることとなりました。後者については、就学後最初の夏休みのタイミングで協議を行い、それまでの前提となっていた面会頻度や方法について、双方が誠実に協議することとされました。
担当弁護士のコメント

本件は、既に離婚協議書に定めたルールがあるという不利な状況からの依頼でした。
原則として、環境や事情の大きな変更がない限り、合意した内容を見直すことは難しい傾向にあります。とはいえ、離婚時に成立した親子交流(面会交流)のルールは、私達弁護士から見ても、子の福祉に沿った内容とは言えないのではないかという大きな疑問がありました。
この点を強調するとともに、交流の実施方法について、第三者機関(交流支援機関)の利用を許容する主張をしたことで、家裁調査官から有利な意見を引き出せたと考えています。
なお、本件では、離婚協議書作成段階で弁護士を就けずに本人が対応したこと、協議書が公正証書化されていなかったことといった点が重要な要因となっており、いずれかの条件が満たされなかった場合、さらに苦戦を強いられていたと考えられます。また、依頼者に理解いただき、面会交流の実施方法などについて強硬な主張をしなかったことも影響しています。
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