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仮想通貨詐欺に遭った場合に返金させる方法は?海外が絡む返金確率が低いケースの注意点も解説

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の普及に伴い、詐欺被害も急増しています。

仮想通貨で巨万の富を築いた「億り人」がいる一方、「高い利回りが保証される」「必ず儲かる」といった甘い誘惑の多くは嘘であり、仮想通貨詐欺の可能性が高いです。詐欺であると気付いたときには既に相手と連絡が取れず、返金は困難となることが少なくありません。

そのため、仮想通貨詐欺に遭った場合、速やかに被害状況を整理し、証拠を集め、適切な手順で返金請求を進める必要があります。また、事案を正確に見極め、海外が絡むなど、返金確率が低いケースでは、これ以上の支出を増やさないことも大切です。

今回は、仮想通貨詐欺に遭った場合に返金させる方法と、海外の取引所や詐欺業者が関与していて返金確率が低いケースの注意点について、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 仮想通貨詐欺が判明したら、速やかに証拠を集め、返金請求に着手する
  • 仮想通貨詐欺の返金を法的手段で進めるには、早い段階で弁護士に相談すべき
  • 信頼できる情報や専門家のアドバイスを参考に、被害を未然に防ぐことが大切

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目次(クリックで移動)

仮想通貨詐欺とは

悩む男性

仮想通貨の取引が一般に普及するに伴い、その仕組みを悪用した詐欺が増加しています。

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、身近な存在になっているでしょう。仮想通貨で財を成した話が有名になるほど、悪用して詐欺の手段に用いる事例が増えるのです。仮想通貨詐欺の主な手口には、次のようなケースがあります。

  1. 仮想通貨の投資詐欺
    「上場予定である」といった嘘の情報をもとに知名度の低い仮想通貨を購入させ、資産を騙し取る詐欺の手口です。
  2. フィッシング詐欺
    偽のウォレットサイトを装って個人情報を入力させる詐欺の手口です。入力された情報を使って不正アクセスし、資金を引き出されるおそれがあります。
  3. ICO詐欺
    新しい仮想通貨プロジェクトやICOで大きな利益が得られることを装い、実態のないトークンを販売して資金を集める詐欺の手口です。
  4. ポンジ・スキーム
    新たな投資者から集めた資金を既存の投資者に配当することで、持続可能な投資であるかのように装う詐欺の手口です。

巧妙な仮想通貨詐欺は、「儲けたい」という被害者の心理に付け込みます。典型例に当てはまらなくても詐欺の可能性があるので、不審な勧誘には注意してください。特に、次のような特徴がある場合は、冷静に情報を確認する必要があります。

  • 過剰な利益が約束されている
    • 「1ヶ月で資産が2倍」など、非現実的な高利益・高配当を謳っている。
  • 元本が保証されている
    • 「元本保証」「絶対に儲かる」などの保証がある。
    • 「無料で参加できる」「リスクゼロ」など、リスクを軽視した勧誘をされる。
  • 運営者や投資の内容が不透明
    • サイトやプロジェクトの運営者情報(社名、連絡先など)が不明である。
    • 架空の人物名が記載されている。
    • 「中国の巨大資本」「某上場企業」など、権威や資金力のあるバックを匂わせる。
  • 将来の説明が曖昧である
    • ホワイトペーパーやサイトの情報に具体性がない。
    • 難しい専門用語が並んでいるが中身がない。
    • 疑問や質問に対して明確な回答が得られない。
  • 紹介による収益がある
    • 「紹介手数料で稼げる」といって家族や友人を勧誘させる。
    • 紹介者が手数料収入で元が取れたことを強調する。

仮想通貨が普及し始めてから、かなりの年月が経ちました。「億り人」が出現する一方、仮想通貨を詐欺の材料とする被害事例についても多くの相談が寄せられています。

仮想通貨詐欺で返金させるために収集すべき情報

次に、仮想通貨詐欺の返金請求に必要となる情報や証拠について解説します。

仮想通貨詐欺に遭い、返金を成功させるためには、「相手が何者であるか」を特定し、その証拠を早急に収集しなければなりません。

仮想通貨の取引に関する情報

まず、仮想通貨の取引に関する情報を保存することが最優先となります。

仮想通貨の購入や送金といった取引を実行した記録はデータに残るため、取引実態を示す履歴をブロックチェーン上で確認し、スクリーンショットで保存しましょう。特に、トランザクションID(TXID)は、資金の流れを追跡する必須の情報なので、必ず保存してください。

なお、仮想通貨を利用した投資詐欺の場合、そもそも取引の実態がないこともあります。例えば、「◯◯コインに投資する」という名目で資金を振り込ませたのに通貨の購入すらしていないケースでは、取引の履歴を入手することはできません。

購入先や勧誘者の情報

次に、被害金を返金させるには、購入先や勧誘者の情報を特定する必要があります。

  • 仮想通貨の販売業者・販売者の氏名、代表者名など
  • 勧誘者の氏名・住所・連絡先
  • 振込先の口座情報
  • サイト名やURL、SNSのアカウント情報

これらの情報は、必ずスクリーンショットで保存し、印刷して紙媒体で残しておくのが確実です。最近ではSNSを通じて被害者を欺き、口座への送金を指示する「SNS型投資詐欺」が増えています。この場合、詐欺に気付いたときにはアカウントが削除されていることも多いため、必ず事前にスクリーンショットで保存しておかなければなりません。

被害に遭った日時・金額

次に、被害状況を具体的に整理してください。メモにしておけば、裁判で証拠になるのはもちろん、警察や弁護士に相談する際にも役立ちます。

詐欺で失った被害額を正確に計算するため、被害当時のレートで日本円や米ドルなどの法定通貨に換算した金額を記録します。取引が複数ある場合、詐欺が行われた具体的な日時をリスト化し、トランザクション履歴と照らし合わせる必要があります。

被害金額や取引日時を証明するには、次の資料が証拠として役立ちます。

  • 取引明細書
  • 通帳の履歴
  • 購入履歴ページのスクリーンショット

取引の実態がないのに、仮想通貨の投資で利益が出たかのように装うために自社サイトに投資額を表示する詐欺の手法もあります。この場合も、詐欺に気付いたときにはサイト自体がなくなっていることもあるため、早めにスクリーンショットで保存しておきましょう。

詐欺の手口や詐欺師とのやり取り

最後に、詐欺に遭った経緯や手口を整理し、証拠を保存してください。

仮想通貨詐欺を企てる詐欺師は、やり取りが残らないよう電話で勧誘したり、DiscordやTelegramなどの匿名性の高い手段を用いたりするため、証拠の記録には工夫を要します。

例えば、以下のような証拠を集めておくことが有効です。

  • 電話のやり取りの録音
  • メールやメッセージ、LINEなどのやり取りのスクリーンショット
  • 勧誘者のYouTube動画やセミナーなどの録画

詐欺の詳細を客観的に説明できる証拠が多いほど、返金請求を成功させやすくなります。証拠を一つでも多く入手し、しっかりと準備しておくことが大切です。

仮想通貨詐欺に遭った場合に返金させる方法

次に、仮想通貨被害に遭った場合に返金させる方法について解説します。

被害額を返金させるには、適切な窓口に相談するとともに、弁護士に依頼し、内容証明を送って交渉したり、訴訟を提起したりする方法が有効です。仮想通貨詐欺のトラブルの解決実績が豊富で、専門的な知識を有する弁護士に相談すれば、被害回復の可能性を高めることができます。

STEP

適切な相談窓口に相談する

仮想通貨詐欺の被害は、信頼できる機関や専門家に相談しましょう。

  • 警察
    仮想通貨詐欺は、詐欺罪(刑法246条)として「10年以下の拘禁刑」という刑罰の対象となります。被害者が多数で被害額が高額なケースほど、捜査機関による捜査が開始されれば、返金につながりやすくなります。
  • 消費者被害の相談窓口
    仮想通貨詐欺は「投資詐欺」の一種なので、消費生活センターや国民生活センターの「消費者ホットライン(188)」で相談することができます。組織的な詐欺では、他にも被害者がいる可能性があります。
  • 弁護士
    仮想通貨詐欺の返金を目指す場合、弁護士に相談して法的手段を検討しましょう。警察は「民事不介入」が原則であるため、動いてくれないこともありますし、逮捕しても返金請求まではしてくれません。この場合、弁護士を代理人とし、交渉や訴訟によって返金を請求するのが有効です。
STEP

内容証明で返金請求の意思を伝える

次に、仮想通貨詐欺の加害者や勧誘者、販売業者に、内容証明で返金を請求します。

返金請求を内容証明で送ることで、送付した日時や内容を証拠に残し、法的措置を検討していることを伝えてプレッシャーをかけ、返金を促す効果が期待できます。弁護士名義で送れば、法的対応を講じることを明確に伝え、誠実な対応を促せます。

なお、返金請求は、考えられる全ての関係者に対して行うのが基本です。仮想通貨詐欺の首謀者だけでなく、勧誘に関わった人、振込先口座を貸した人なども、詐欺の一端を担っている点で責任があります。

STEP

交渉で返金請求する

相手との交渉を通じて返金を目指します。交渉では、被害額と証拠を示して強く請求しましょう。交渉の内容についても証拠に残しながら行うのが大切です。必ずしも証拠が十分でない場合でも、交渉の過程における相手の反論も重要な証拠となるからです。

仮想通貨詐欺をはたらく加害者の言い分を容易に信じてはいけません。具体的な返済計画が示され、合意書が締結できない限り、速やかに訴訟に進む決断をすべきです。

STEP

訴訟を提起する

交渉が決裂した場合、最終手段として訴訟を提起します。

仮想通貨詐欺をはたらく加害者は、曖昧な言い訳や将来の見通しを伝え、「まだ儲かるかもしれない」と期待させて逃げようとします。「返金されなければ即座に裁判する」という方針を原則としなければ、音信不通となって後悔するでしょう。

民事裁判では、仮想通貨の投資契約に基づく債務不履行を理由とするほか、そもそも実態のない詐欺事案では、不法行為(民法709条)が法的根拠となります。

訴訟などの法的手段は、自分一人でも進められますが、弁護士に依頼した方が、法律知識や経験に基づいてスムーズに解決することができます。大規模な仮想通貨詐欺被害の事案では、被害弁護団が結成されることもあります。

STEP

告訴する

返金請求とともに、刑事責任を追及するため、警察や検察への刑事告訴も検討してください。刑事告訴は、犯罪の被害者が処罰を求める行為であり、逮捕や起訴に進めば、返金に応じてもらう可能性を高めることができます。

仮想通貨詐欺の返金確率はどれくらい?返金困難な場合の注意点

次に、仮想通貨詐欺の被害のうち、返金が困難なケースと注意点を解説します。

仮想通貨詐欺でも、返金確率が低いケースがあります。重要なのは事案の見極めであり、解決実績の豊富な弁護士に相談することで、返金可能なケースを見逃さないことに加え、返金が困難なケースにこれ以上の費用や手間をかけないことが大切です。

仮想通貨詐欺の返金確率が低い理由

仮想通貨詐欺では、失った資産を全額取り戻せる確率は低いのが現実です。仮想通貨の性質や法制度の限界により、従来の詐欺被害に比べて返金のハードルが高いと言わざるを得ません。返金を受けられる確率が低いのは、次のような理由によります。

  • 振り込め詐欺救済法の対象外である
    銀行振込による詐欺では、振り込め詐欺救済法(正式名称:犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)によって犯罪に使われた口座を凍結し、被害額の一部を取り戻せる可能性があります。しかし、仮想通貨のウォレットなどは対象外であるため、日本の法律だけでは即座に資金移動を止められません。
  • ブロックチェーン上の取引は匿名性が高い
    仮想通貨の取引は、ブロックチェーン技術により高い匿名性が担保されており、詐欺被害に悪用されても、資金の追跡や相手方の特定が困難です。
  • 送金を取り消すことができない不可逆性がある
    銀行振込であれば、組戻しの方法によって誤振込や詐欺被害による送金を取り消すことができますが、仮想通貨の場合、一度確定した取引の取消しや改ざんができない不可逆性があります。

ブロックチェーン技術の高度な匿名性や、送金を取り消すことができない不可逆性という構造的な問題から、詐欺に遭った資金の追跡が非常に困難となっています。特に、海外の取引所が関与する案件では、返金確率が大きく低下します。

仮想通貨詐欺の返金請求が困難なケース

特に、以下のようなケースでは、仮想通貨詐欺の返金請求は困難です。

請求相手の連絡先が不明な場合

交渉にせよ裁判にせよ、返金請求をするには相手方の情報が不可欠です。

居場所が特定できない場合や、氏名や連絡先が不明な場合、現実的に返金が難しくなります。なお、弁護士に依頼すれば、職務上請求で戸籍や住民票を取り寄せたり、弁護士会照会の方法で携帯番号や口座情報から個人を特定したりできる可能性があります。

被害から長期間が経過している場合

被害の発生から期間が経過している場合も、返金の難易度は上がります。

仮想通貨詐欺では、犯罪収益を同じ口座やウォレットに保有し続ける可能性は低く、財産を処分したり隠したり、海外に逃がしたりすることが多いからです。財産の所在が不明になった後では、たとえ裁判で勝訴しても、強制執行をすることができません。

海外の取引所や運営者が関与する場合

海外の取引所や運営者が関与する場合、返金はさらに困難となります。

海外が絡むと、請求相手の連絡先が不明であったり、居場所の特定が困難になったりする可能性が上がるからです。仮に居場所が判明しても、訴状を海外経由で送達しなければならず、証拠資料を英訳する必要があるなど、ハードルは高くなります。

被害が少額の場合には、海外在住者に対する訴訟のコストパフォーマンスは悪いと言わざるを得ず、費用倒れになる危険もあります。

仮想通貨詐欺の被害者を狙う二次被害に注意

仮想通貨詐欺の被害者を狙った二次被害のケースもあるため、注意が必要です。

焦りや不安につけ込んで、「独自のシステムで資金移動を追跡できる」「返金確率が高い」などと断言し、高額な調査費用を騙し取るという詐欺被害の相談例も少なくありません。前述の通り、返金確率が低いと言わざるを得ないケースもあるため、メリットだけでなく、返金の困難さや費用倒れのリスクも明確に説明されなければ、信頼して任せるべきではありません。

確実に返金させる方法は存在しないため、怪しい返金サービスに手を出して被害を拡大させないように注意してください。返金確率の低い仮想通貨詐欺こそ、「詐欺に強い」「必ず取り戻せる」といった誇大広告をする業者ではなく、誠実に説明してくれる弁護士に相談する必要があります。

仮想通貨詐欺を予防するための対策

最後に、仮想通貨詐欺に引っかからないための予防策を解説します。

信頼性の高い情報を得る

仮想通貨の取引を管轄する金融庁・財務局の公表する正確な情報を確認してください。

日本国内で仮想通貨取引を行う場合、金融庁に登録された暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)を利用する必要があります。登録済みの取引所は、行政の審査と監督を受けている一方で、未登録であるのに交換業を行おうとする業者は、詐欺の可能性が高いと考えられます。

なお、SNSやネット上の口コミは、詐欺への勧誘を目的とするものも多く、信頼に足る情報は少ないと考えるべきです。

怪しい投資の勧誘には乗らない

仮想通貨詐欺に遭わないために、怪しい投資の勧誘に乗らないことが大切です。

巧妙な詐欺ほど真実味があり、「大金が儲かるのではないか」と期待させますが、「おいしい話」ほど慎重に判断すべきです。そもそも価値が大きく変動する仮想通貨の投資に「保証」や「絶対」などなく、そのような勧誘自体が詐欺であると考えてよいでしょう。

冷静な判断ができない場合、自分ひとりで決めず、家族や友人にも相談しましょう。また、投資一般の注意点として、余剰資金で行うのが基本です。

【まとめ】仮想通貨詐欺の返金

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、仮想通貨詐欺の返金を成功させるためのポイントについて解説しました。

仮想通貨詐欺の被害は年々増加しています。仮想通貨がより日常的なものにつれ、詐欺の手法としても悪用されるケースが増えています。そして、仮想通貨が用いられる被害事例では、詐欺だと気付いた頃にはすでに相手と連絡が取れず、返金が困難となるケースも少なくありません。

そのため、被害に遭った直後から迅速に証拠を集め、交渉や訴訟などの手順を踏むことが、返金の確率を高めるのに重要なポイントとなります。また、事案に応じて、警察や消費者庁、弁護士といった専門的な窓口に相談し、アドバイスを得ることが有効です。

仮想通貨は魅力的な投資手段に見える一方で、詐欺トラブルも多く存在します。被害を未然に防ぐとともに、万が一詐欺に遭った場合は、速やかに弁護士へ相談してください。

この解説のポイント
  • 仮想通貨詐欺が判明したら、速やかに証拠を集め、返金請求に着手する
  • 仮想通貨詐欺の返金を法的手段で進めるには、早い段階で弁護士に相談すべき
  • 信頼できる情報や専門家のアドバイスを参考に、被害を未然に防ぐことが大切

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