
担当弁護士
久保川真
- 相談者
女性・40代後半・会社員 - 事案の概要
夫の不貞行為が発覚後も夫婦関係の再構築を希望する一方で、夫と不貞相手が再び接触することや、事実が周囲に漏れることに強い不安を抱えていました。また、不貞相手が関係の拠点となった住居に住み続けていたことも依頼者の大きな精神的な負担となっていました。当事務所では、接触禁止や口外禁止、違約金などを定めた誓約書を作成するとともに、不貞相手と直接交渉し、住居からの自主退去を実現しました。その結果、夫と不貞相手との関係を断ち切り、依頼者が安心して夫婦関係の再構築に取り組める環境を整えることができました。
- 本事例は、守秘義務およびプライバシー保護の観点から、個人を特定できる情報を削除するとともに、事案の本質を損なわない範囲で事実関係の一部を変更・抽象化しています。
ご依頼時の状況
依頼者は、夫が不貞行為を認めて謝罪をしていたことから、関係修復を考えていました。
現実問題としても、子供がいるためすぐに離婚することは難しい状況でした。しかし、「再び不倫相手と連絡を取るのではないか」「不貞の事実が第三者に知られてしまうのではないか」といった不安が拭えず、精神的に大きな負担を抱えていました。
また、不貞相手が関係の拠点となった住居に住み続けていたことも不安を増大させていました。夫の気持ち次第でいつでも不倫を再開される可能性のある状況では、どれほど反省や謝罪を見せられたところで、関係修復に向けた努力ができないと感じ、当事務所へ来所されました。
弁護士による対応と解決結果
弁護士による対応
当事務所では、依頼者が夫婦関係の修復を希望していることを最優先に対応しました。
そのため、まずは夫との間で誓約書を作成し、不貞相手との接触を一切禁止することに加え、電話やLINE、SNS、第三者を介した連絡も禁止する条項を盛り込みました。また、不貞行為の事実を第三者へ口外しない旨の守秘義務や、違反した場合の違約金についても定めました。
その上で、不貞相手との交渉は全て弁護士が窓口となって対応しました。依頼者が最も不安を感じていた不貞関係の拠点となった住居の問題も、不貞相手に自主的な退去を求める交渉を行うとともに、今後一切夫と接触しないことを求めました。
解決結果
交渉の結果、不貞相手は住居から自主的に退去し、夫との接点は完全に解消されました。
また、誓約書の締結により、接触禁止や守秘義務、違約金などの約束が法的な書面として明確になり、再発防止のための体制を整えることができました。
依頼者は、不貞相手と直接交渉することなく問題を解決できたことで精神的負担から解放され、夫婦関係の再構築に向けて前向きな一歩を踏み出すことができました。本件では、誓約書の作成と相手方との交渉を一体的に進めたことで、不貞問題の解決だけでなく、依頼者が安心して今後の生活を送るための環境づくりを実現することができました。
なお、不貞相手と締結した合意書は、次のようなものでした。
不倫相手との合意書
◯◯◯◯(以下「甲」という)と◯◯◯◯(以下「乙」という)は、乙と甲の配偶者との不貞行為について、次のとおり合意する。
第1条(謝罪)
乙は、甲の配偶者との不貞行為によって甲に精神的苦痛を与えたことを認め、これを深く反省し、真摯に謝罪する。
第2条(接触禁止)
1. 乙は、甲の配偶者との交際関係を直ちに終了し、今後一切、面会、電話、メール、LINE、SNSその他いかなる方法によっても連絡又は接触をしない。
2. 乙は、自己が保有する甲の配偶者の電話番号、メールアドレス、SNSアカウントその他一切の連絡先情報を削除し、今後これらを取得しない。
3. 乙は、不貞行為の際に甲の配偶者との接触又は交流の拠点となっていた住居その他の場所から退去し、当該場所を今後一切、不貞行為又は甲の配偶者との接触のために利用しないことを確認する。
4. 乙は、正当な理由なく甲又は甲の配偶者の住居、勤務先その他日常生活圏へ立ち入らず、接近しない。
第3条(秘密保持)
1. 甲及び乙は、本件不貞行為、本合意書の締結及びその内容について、正当な理由なく第三者へ口外しない。
2. 乙は、甲及びその家族に関する個人情報を、SNS、インターネットその他の媒体で公開又は拡散しない。
第4条(違約金)
1. 乙が前二条に違反した場合、乙は甲に対し、違約金として金○○円を支払う。
2. なお、違約金の支払いは、甲が慰謝料その他の損害賠償を請求する権利を妨げるものではない。
第5条(清算条項)
甲及び乙は、本合意書に定める事項を除き、本件不貞行為に関して相互に債権債務が存在しないことを確認する。
【作成日付・署名押印】
担当弁護士(久保川)のコメント

夫婦関係の修復は、一方だけが望んでも実現できるものではありません。
双方が安心して関係を築き直せる環境を整えることが不可欠であり、不貞をした責任があるからといってその非を責め立てるだけでは、失われた信頼は回復できません。重要なのは、再発への不安を取り除き、夫婦が将来に向けて前向きな話し合いをできる土台を作ることです。
本件では、不貞相手が関係の拠点となった住居に居住し続けていたため、依頼者は「いつでも関係が再開されるのではないか」という不安を払拭できない状況でした。このような状態では、たとえ夫が反省を示しても、その言葉を信頼して関係修復に取り組むことは困難です。
そこで、誓約書によって法的な約束を明確にするとともに、不貞相手との交渉を通じて住居からの退去を実現し、不安の原因そのものを取り除くことが特に重要なポイントとなりました。
参考となる解説

