弁護士法人浅野総合法律事務所は、企業の売上確保にとって非常に重要な意味を持つ、債権回収業務を注力して取り扱っています。
企業が持続的に成長していくためには、継続的に売り上げをあげ、キャッシュフローを安定させる必要があります。そのためには、債権の不払いリスクを理解し、管理しなければなりません。
債権回収というと、債権が未払いとなり、回収不能となることが確実視されて初めて弁護士に相談する会社も多くありますが、時すでに遅しと言わざるを得ないケースも多くあります。緊急に債権を回収する業務はもちろんのこと、平時の信用調査、担保(抵当権、連帯保証人)の確保、財産の保全といった業務もまた、債権を確実に回収するため弁護士ができるサポートの1つです。
取引先の異常事態を鋭敏に察知して、債権回収の必要があることをできる限り早期の段階で知り、スピーディに債権回収を実現することが、当事務所の強みです。
貸金返還請求
債権回収の中で、最もよく相談があるのが、貸金返還請求です。つまり、「貸したお金が返ってこない」というトラブルであり、個人、法人を問わずよく起こる問題です。
貸したお金の返済を請求しても支払ってもらえないとき、まずは請求、督促をして任意の支払いを求めますが、それでも難しい場合には、弁護士に依頼し、弁護士名義での最終督促、そして、訴訟(少額訴訟、支払督促を含む)という法的手続きへと進みます。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、貸金返還請求に関する豊富な知識、経験を武器に、訴訟となる場合を見据えて重要な証拠を確保し、債権の確実な回収を徹底サポートします。
債権回収では、弁護士は、相手方やその弁護士と交渉をすることとなるため、自分側の権利を十分に主張した上で、妥当な落としどころを探り、解決に到達するためのジュ分な経験が必要となります。依頼する場合には、状況にもよりますが、素早いアクションが有効です。
- 金銭消費貸借契約書の作成
- 金銭消費貸借契約書、借用書などの書面を紛失してしまっていたが、メールのやりとり、振込明細などで金銭の貸渡を証明し、貸金返還請求訴訟に勝訴して満額の債権を回収したケース
財産の保全(仮差押え、仮処分)
債権回収は、未払が明らかとなった緊急時だけでなく、その前の平常時の対応が重要となります。具体的には、債権債務の残高を適切に記録し、与信管理を行い、信用不安が生じている場合に、速やかに対応できる体制を整えておくことです。
その上で、取引先に資金繰りの悪化、支払猶予の要請、手形や小切手の不渡りなど、信用不安の兆候があるとき、真っ先に行うことは、財産の保全です。たとえ、債権回収の訴訟に勝訴したとしても、財産がまったくない相手や、財産の在り処がまったくわからない相手からは、債権を回収することは困難だからです。
民事保全は、ざいさにゃ法律上の地位を保全する制度で、民事訴訟で勝訴判決を獲得した後で、強制執行する際に、財産がすでに処分されていたり、隠匿されてしまっていたりといった事態を避けるために財産を保全する制度です。その性質上、財産の保全は、緊急に、かつ秘密裡に行わなければなりません。
債権回収においてよく利用されるのが、保全したい財産を仮に差し押さえた状態にしておく「仮差押え」と、保全したい財産を勝手に処分することを禁ずる「処分禁止の仮処分」です。
- 預貯金債権の仮差押え
- 債務者所有の不動産の処分禁止仮処分
担保取得(抵当権、連帯保証人)
万が一、取引先の信用が著しく悪化して破産に至るような事態となると、「債権者平等の原則」が適用されます。つまり、債権者には平等に財産が分配される結果、破産をするような取引先の財産からは、債権の満額の返済を受けることは、事実上困難です。
この原則をくつがえすためには、優先的に回収をすることのできる担保を取得しておくべきです。主な担保には、物的担保(抵当権)と人的担保(連帯保証人)があります。担保とは、債務者が債務を支払いきれないとき、代わって債務を支払うことをいい、優先的な弁済を得られます。
信用不安を払しょくするために、担保を取得しようと考えるとき、法的に有効で、かつ債権回収に有用な方法で確実に行う必要があります。例えば、連帯保証をとるのであれば、保証人の支払い能力を調査し、有効な保証契約書を作成、締結します。2020年4月1日より施行された民法改正では、事業用の貸金に対する連帯保証には、原則として公正証書が必要とされています。
また、取引先の信用不安から、継続的な契約を解約したり、在庫引き上げ、取引停止、相殺(ネッティング)などの方法で債権を減らそうと考える場合にも、それぞれ、のちの争いに備えた証拠化が必要となります。
- 連帯保証契約書の作成、公正証書取得に関するアドバイス
- 抵当権設定契約書のリーガルチェック
- 倒産時に否認権を行使されづらくするための、担保取得に関するアドバイス
債権回収訴訟
債権を強制的に回収するためには、債務名義が必要となります。債務名義とは、強制執行によって強制的に財産を換価し、弁済に充てるために必要となる書類のことで、確定判決、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書、調停調書、強制執行認諾文言付公正証書などがこれにあたります。
中でも重要なのが終局判決です。終局判決を取得するためには、債権回収について民事訴訟を提起し、勝訴し、判決を確定させる必要があります。
ただし、債権回収の訴訟は、対立が激しい場合、訴えていきから判決まで年単位の時間がかかることがあり、さらに控訴審、上告審が行われると、4,5年の機関がかかることもあります。
そのため、次に紹介する少額訴訟、支払督促などの手段を踏まえ、ケースに合った最適な回収手続きを選択しなければなりません。
- 取引先の信用不安が生じ、未払となった売掛債権500万円について、債権回収の訴訟を提起し、満額回収に至ったケース
少額訴訟
少額訴訟とは、回収すべき債権が60万円以下のときに利用することができる、少額の金銭支払いを目的とする訴えについて簡易裁判所で利用できる制度です。
少額訴訟は、通常の民事訴訟に比べて、原則として1回の口頭弁論期日で集中審理を行い、その日のうちに和解を促したり、判決を下したりすることを前提としています。つまり、本人が少額訴訟に参加することを前提として、通常の民事訴訟よりも簡易な審理を実現する制度です。
その代わり、少額訴訟を利用するためには、60万円以下の金銭支払い請求でなければならず、同一の簡易裁判所に対して1年に10回までしか提訴することができず、証拠調べの対象となるのは即座に取り調べができる証拠に限られるなどの制約があります。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、通常の民事訴訟を行い、判決を得て強制執行をするという手続きでは費用倒れになる可能性の高い債権回収について、少額訴訟の積極的な利用をお勧めしています。
- 委任業務の遂行について不十分な点があるとして未払いとなっていた報酬60万円について、少額訴訟を提起し、審理の場で和解を成立させて50万円の債権回収に成功したケース
支払督促
支払督促とは、金銭支払いなどを目的とする請求について、債権者の一方的な申立てに基づいて、その主張の当否を審理することなく、簡易裁判所の裁判所書記官が支払いを命じる手続きです。
支払督促に対する債務者側の異議申立期間が過ぎてから30日以内に、仮執行宣言申立書を提出すると、仮執行宣言付支払督促という債務名義を受領し、強制執行に移行することができます。
支払督促は、審理をすることがないため、迅速に対応できる反面、通常の訴訟に比べて強制力が弱く、支払督促を受領後2週間以内に債務者側が異議申立てをすると、訴訟に移行します。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、債務者側が債権債務の存在自体については争っておらず、危機感の欠如、怠慢などを理由に支払いが滞っているケースなどでは、迅速かつ有効に機能する支払督促の利用を積極的にお勧めしています。
- 債権の請求をすれば連絡がつくが、しばらくすると連絡がとれなくなってしまう取引先に対して、支払督促を利用し、満額の債権回収に成功したケース
強制執行
勝訴判決を得てもなお支払を行わない債務者に対しては、強制執行によって財産を差し押さえ、換価し、強制的に債権回収を図ります。
債権回収において利用する強制執行は、その対象によって、主に、不動産に対する強制執行、動産に対する強制執行、船舶に対する強制執行、債権その他の財産権に対する強制執行などを検討します。
その他、担保を取得している場合には、担保権の実行としての競売を利用することもできます。
強制執行を有効に実現するためには、財産の在り処を知らなければなりませんが、そのために民事執行制度において設けられている財産開示手続きを利用することが検討されます。
倒産手続における債権回収
信用不安が最終的に顕在化すると、倒産に至ることとなります。法人であれば法人破産、個人であれば自己破産です。
倒産手続における債権回収は、「債権者平等の原則」が適用されます。つまり、残された財産を、債権者が債権額に応じて按分比例して受領し、残った債権は免責され、支払を受けることができなくなってしまいます。
倒産時におけるできる限りの債権回収のためには、破産法による破産、会社法による特別清算、民事再生法、会社更生法といった、いわゆる破産法に関する正確な理解が必要となります。また、他の債権者に先駆けて倒産の兆候をつかみ、倒産手続きの開始前に速やかに対応することが重要です。
倒産手続きにおいて最大限の債権回収を得るためには、債権届を正確に行い、相殺や別除権の行使といった許された権利を行使し、管財人に情報提供をしたり、否認権の行使を促したりといった交渉活動が必要となります。特に、債務者の財産隠しが疑われる倒産の場合、厳しい対応が必要となります。
- 破産者の財産の中に含まれていた不動産が、破産直前に親族に譲渡されていたことから、不適切な財産隠しに当たることを主張して管財人と交渉し、否認権の行使によって不動産が持ち戻され、その売却代金から一定の債権回収に成功したケース
経営者責任(第三者責任訴訟、代表訴訟)
法人が債権の支払いをすることができない状況となったとき、その法人の取締役、監査役に対して、債権を請求する方法を用いることがあります。これは、会社法429条1項に定められた取締役の第三者責任を根拠としています。
取締役が保証人となっていなかった場合であっても、取引先が倒産するなど、債権の回収が不能になってしまった責任がその取締役にあるとして、未回収となった債権額と同額の損害賠償請求を行う方法です。特に、取締役には十分な資力がある場合、有効な手段となります。
法人の取締役は、会社法上、善管注意義務、忠実義務、競業避止義務、利益相反取引を制限される義務、経営の監視・監督義務、内部統制システム構築義務などの多くの義務を負い、会社の行為に対して一定の責任があるからです。
ただし、経営判断に対して一定の裁量を認める「経営判断の原則」から、取締役の経営者責任を追及する際には、債権回収の成功可能性をよく検討した上で行うことが重要です。