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弁護士 窪木 稔

弁護士 窪木 稔

Minoru Kuboki

経歴

  • 昭和59年4月 広島地方裁判所判事補
  • 昭和61年4月 浦和地方裁判所判事補
  • 平成元年4月 静岡地方裁判所・家庭裁判所浜松支部判事補(特例)
  • 平成4年4月 裁判官弾劾裁判所訟務課長・参議院法制局参事(法務委員会担当)
  • 平成6年4月 東京地方裁判所裁判事
  • 平成8年4月 奈良地方裁判所判事
  • 平成12年4月 横浜地方裁判所判事(行政・知財集中部)
  • 平成15年4月 那覇地方裁判所部総括判事
  • 平成18年4月 東京高等裁判所判事
  • 平成21年4月 水戸地方裁判所部総括判事
  • 平成24年4月 東京高等裁判所判事
  • 平成24年8月 さいたま地方裁判所部総括判事(医療集中部)
  • 平成26年12月 静岡地方裁判所・家庭裁判所沼津支部長
  • 平成28年10月 秋田地方裁判所・家庭裁判所所長
  • 平成30年1月 仙台家庭裁判所所長

保有資格・所属団体等

SNS等

過去に担当した主な裁判例

  • 東京高裁平成19年6月28日判決(昭和シェル石油男女賃金差別事件・判例時報1981号101頁)
    賃金において女性であることを理由とする差別的な取扱いを肯定し原判決を変更し一部認容
  • 東京高裁平成19年6月28日判決(判例時報1985号23頁)
    匿名組合契約に基づくオランダ法人に対する利益分配金について日本に課税権がないとされた事例
  • 東京高裁平成20年1月31日判決(兼松事件・判例時報2005号92頁、判タ1280号163頁)
    男女のコース別人事制度について不法行為の成立を肯定し原判決を取消し一部認容した事例
  • 東京高裁平成20年3月27日判決(判例時報2000号133頁)
    FAに対する配転命令について配転命令権限を濫用したと評価すべき特段の事情の存在を認め無効として一審判決を取り消した事例
  • 東京高裁平成20年6月26日判決(判例集未登載)
    無断欠勤をした区職員に給与を支払ったのは違法であるとして、給与の一部を中野区長らに返還させるよう求めた住民訴訟について、原判決を取消し、請求を認容した事例
  • 水戸地裁平成23年1月27日判決(判例集未搭載)
    当時32歳の女性が産婦人科医院で出産した際、子宮から大量出血により4日後に死亡した事件で、医師に適切な処置を怠った過失があったとして約7,000万円の損害賠償を命じた事例

インタビュー

弁護士窪木稔の志を知っていただき、当事務所へのご相談やご依頼をご検討中の皆様に、より親しみを感じていただければ幸いです。ぜひ、下記のインタビューをご覧ください。

本インタビューでは、元裁判官としての豊富な経験を武器に、弁護士として大切にしている信念についてもお話しております。

裁判官を退官し、弁護士になった理由

家事・医療等、裁判官の経験を活かす

弁護士になった経緯を教えてください。

2020年1月より、弁護士として仕事を始めました。2019年10月までの30数年、裁判官として全国の判所で仕事をし、最後は仙台家庭裁判所の所長を務めました。定年まで全うしましたが、裁判官としての経験を活かし、今後も世のため、人のために仕事をしたいと考え、弁護士としての道を歩む決断をいたしました。

裁判官としてはどのような事件を担当されましたか?

任官後、民事、刑事、家事、少年とあらゆる分野を担当しました。その中でも「民事裁判官」の経歴が最も長く、次いで「家事事件」を担当した期間が長いです。

判断が難しい事例は、3名の裁判官で審理する「合議事件」となりますが、私は、合計10年の間、那覇、水戸、さいたま、沼津の裁判所で、合議事件の裁判長を務めました。合議事件の裁判長としては、主に医療事故、学校事故などの損害賠償訴訟、労働災害、住民訴訟、税金などの行政訴訟、環境訴訟,消費者訴訟、国家賠償訴訟を担当しました。

また、単独事件も18年ほど担当しましたので、判例データベースで検索すれば、著名事件において私が言い渡した判決を見ることができます。

医療集中部や家事部での経験は、特徴的なキャリアではないでしょうか。

さいたま地裁の医療集中部の部総括裁判官を務め、医療訴訟を専門的に担当するという貴重な経験をしました。長期化した医療訴訟を、判決と和解を使い分け、適切に解決できたと自負しています。

家事事件については、離婚の裁判を担当したほか、家事調停(離婚、面会交流、遺産分割、遺留分減殺など)、家事審判(成年後見、保佐、補助、氏の変更、相続放棄の申述受理、特別縁故者に対する財産分与など)を担当しました。

また、家庭裁判所の所長として精神医療審査会、精神保健福祉審査会の委員を務め、精神医療の専門家と定期的にお会いするという得難い経験もしました。

元裁判官としての豊富な経験知

数多くの著名事件を審理した実績

裁判官をしていた頃、仕事で心掛けていたことはありますか?

裁判官は、数多くの担当事件を抱えて日々仕事をしています。

世間的には注目されなくても、当事者にとっては人生を決めかねない事件もたくさんあります。ニュースになる重大事件に目が行きがちですが、そのような「当事者にとって重要な事件」こそ、見逃してはならないと私は考えています。

私は、裁判官として、世間的には注目されない事件でも、一件ずつ真摯に取り組んできました。

東京高等裁判所ではどのような事件を担当したのでしょうか。

2回にわたって東京高等裁判所に勤務し、関東、甲信越地方の多くの事件を、控訴審裁判官として審理しました。仕事は決して楽ではありませんでしたが、大変勉強になりました。担当した事件の中には、社会的に注目される著名事件や判例集に登載されるような大事件の主任裁判官を務めたものもあります。

実際に担当した事件について詳しく教えてください。

例えば、東京高裁平成19年6月28日判決(シェル事件・判例時報1981号101頁、賃金において女性であることを理由とする差別的な取扱いを肯定し原判決を変更し一部認容)、東京高裁平成19年6月28日判決(判例時報1985号23頁、匿名組合契約に基づくオランダ法人に対する利益分配金について日本に課税権がないとされた事例)、東京高裁平成20年1月31日判決(兼松事件・判例時報2005号92頁、判タ1280号163頁、男女のコース別人事制度について不法行為の成立を肯定し原判決を取消し一部認容した事例)、東京高裁平成20年3月27日判決(判例時報2000号133頁、FAに対する配転命令について配転命令権限を濫用したと評価すべき特段の事情の存在を認め無効として一審判決を取り消した事例)、東京高裁平成20年6月26日判決(判例秘書登載、無断欠勤をした区職員に給与を支払ったのは違法であるとして、給与の一部を中野区長らに返還させるよう求めた住民訴訟について、原判決を取消し、請求を認容した事例)などです。

これらの判決は、法律書で取り上げられたり、ロースクールの授業やゼミで引用されたりするものもあるようです。私が行った仕事が残ることは、内心嬉しく感じています。

裁判官として、最も印象に残った案件がありますか?

多くの事件を担当しましたが、水戸地方裁判所にて言い渡した医療事件の判決(水戸地裁平成23年1月27日判決)は印象に残っています。

2005年に、当時32歳の女性が産婦人科医院で出産した際、子宮から大量の出血があり4日後に死亡した事件でした。私が裁判長である合議体は、医師に適切な処置を怠った過失があったとして約7,000万円の損害賠償金の支払いを命じました。具体的な裁判の経過はお話しできませんが、審理にも多くの苦労をしました。

医師側が控訴しましたが、東京高等裁判所は原判決を是認し控訴を棄却し、私の下した判決が確定し、原告ら(亡くなった女性の夫とお子様)に対し約7,000万円の損害賠償金とそれに付帯する遅延損害金が支払われました。

弁護士としての心構え

裁判官の立場から、事案や証拠の見方を理解する

裁判官として働かれた経験は、弁護士の仕事に生かされていますか?

長い裁判官の経験から、裁判所の立場における事案や証拠の見方がわかります。裁判官の見方を意識しながら証拠を取捨選択し、充実した主張書面を作成できる点は、他の弁護士より秀でていると考えます。

更に、裁判所では、裁判官だけではなく書記官、家庭裁判所調査官など、補助職が重要な役割を果たします。裁判所で働いた経験から、補助職の方々の役割や影響を理解し、働きかけることを大切にしています。

現在、弁護士としてどのような案件を取り扱っていますか?

現在は、家庭裁判所の所長として働いた経歴を生かして、離婚や相続といった家事事件に注力しています。

男女双方の依頼をいただいており、面会交流を強く希望する男性の案件も多く、子供の健全な成長のために重要な面会交流の実現に力を尽くしています。また、離婚を全く考えていなかった男性が、妻から突然離婚と言われ、復縁を強く希望する例も少なくありません。

日々どのようなことに気をつけて仕事をしていますか?

裁判官は中立公平が要請されるため、当事者と、裁判以外で関係を持つことは禁じられていました。一方で、弁護士は、依頼者の利益を実現するため、ご希望やお考えをじっくりと聞く必要があります。

そのため、弁護士としては、相談の場でしっかりと要望を聞くことを重視し、どのようにしたら利益の実現を図れるのか、常に考えるようにしています。事案の特色や落ち着きの良さも考えながら、法的な紛争の最終的な解決方法、そこに至るまでのプロセスを検討するように心がけています。

話は変わりますが、窪木先生の趣味は何ですか?

裁判官時代から、自分が選んだ「裁判官」という仕事が好きで、ずっと仕事に対し全力投球をしてきました。弁護士になっても、そのことは変わりません。余暇の時間は散歩をして花を眺め、MLBなどの野球、陸上競技などを観戦して過ごすことが多いです。

弁護士としての強み

依頼者に寄り添う弁護士を目指す

裁判官としての豊富な経験があることをうかがいましたが、他の弁護士と比べて、どのような強みがありますか?

裁判官として長年勤務してきた経歴から、裁判官の心証形成の過程を、経験として理解していることが私の強みです。

裁判官がどのような証拠を重視するかは、裁判において非常に重要です。事実の認定は証拠に基づいて行うのが裁判の原則だからです。また、合議事件の裁判長として医療事故、学校事故などの損害賠償訴訟、労働災害、住民訴訟、税務訴訟などの行政訴訟、環境訴訟、消費者訴訟、国家賠償訴訟などを数多く担当した経験の蓄積があるので、複雑困難と考えられる裁判に対応できる点も強みだと考えています。

家事調停は、二名の調停委員が手続きを主導しますが、私は裁判官として調停委員と具体的な調停事件を一緒に担当し、勉強会や研修会でも緊密な関係を持ってきました。そのため、調停委員の特性や思考形態を良く理解できている点にも強みがあります。

どのような弁護士を目指していますか?

事件を通じて、弁護士として行うべきことを誠実に進め、どのような事件にも対応できるようなゼネラリストを目指して精進しています。裁判官としての経験を活かし、家事をはじめとした分野に専門性を備えた弁護士を目指しています。

中立公平が要請され、当事者と裁判の場以外に関係を持つことが禁止されている裁判官とは異なり、弁護士になった以上、依頼者の方に寄り添い、そのご希望、お考えをじっくりうかがい、どのようにしたら依頼者の方の利益を最大限実現できるかということを常に考え、依頼者の方から頼りになる、信頼される弁護士になりたいと考えています。

最後に、弁護士に相談どうか、お悩みの方に向けてメッセージをお願いします。

私は、元裁判官という過去の経歴はありながら、弁護士としては若手の立場にあります。過去の経歴はありますが、第一線で弁護士の仕事をする道を選びました。年齢を重ねていますが、心も体も若々しく、日々新たなことを吸収しています。

裁判官を長くやっていた強みを生かしながら、依頼者に寄り添い、そのご希望、お考えをじっくりうかがって利益を最大限実現してまいります。

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