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新型コロナウイルスを理由とするテナントの賃料減額交渉

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新型コロナウイルステナント賃料減額交渉

新型コロナウイルス禍において、感染拡大防止を目的として、緊急事態宣言の発令、営業の自粛要請などが行われました。そのため、飲食店などの店舗型ビジネスでは大幅な減収が避けられない状況となっています。

テナント事業者としては、売上が大幅に減少する一方で、固定費である賃料が大きな負担となります。新型コロナウイルスを理由とした経済的ダメージを軽減するためにも、賃貸人(オーナー)との間で賃料の減額交渉をする必要性が高まっています。

また、このような緊急かつ危機的な事態においては、当事者間の任意の交渉だけにとどまらず、裁判所における賃金減額請求訴訟、賃料減額を促進する行政の救済策などの活用も検討しなければなりません。

そこで今回は、新型コロナウイルスとテナント賃料減額交渉をはじめとする賃貸借に関する問題点について弁護士が解説します。

本解説は、新型コロナウイルス禍の影響を受け、「法律面」において企業や個人がどのようなリスクを負うか、また、どのように事前のリスク回避、事後対処をしたらよいかについて、「法律」の専門家である弁護士の立場から解説したものです。

そのため、医療情報を提供するものではなく、新型コロナウイルスに関する医学的な側面の知識を提供するものではありません。

新型コロナウイルスに関する「法律面」以外の情報については、内閣官房ホームページの最新情報などをご参照ください。

浅野総合法律事務所のアドバイス

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が社会問題化しています。企業として、適切な対応が必要なことは言うまでもありません。

危機的事態に対して、適切な準備、対処を怠ると、従業員の健康安全を危機にさらしたり、取引先を失ってしまったり、企業の名誉、信用を毀損してしまったりといった重大なリスクにつながるおそれがあります。

新型コロナウイルス禍と賃料減額交渉

新型コロナウイルステナント賃料減額交渉

初めに、新型コロナウイルス禍における賃料減額の問題が生じている背景、理由を解説した上で、テナント事業者にとって、賃料の減額がどれほどの影響があるかについて解説していきます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19の世界的な蔓延にともない、感染拡大防止の観点から、スボーツジム、デパート、飲食店など大人数が集合することを前提とする事業は、大幅に収益が減少している傾向にあります。いわゆる「3密(密集・密閉・密接)」の回避が、感染症対策となるためです。

新型コロナウイルスの感染拡大は、未だ収束の目途が立たず、新しい生活様式がどの程度継続して実践されるかについても現時点においては予想ができません。

このような状況下において、テナント事業者は、今後も収益の減少が継続する可能性が高く、事業を存続させるためには、経営上大きな負担となっている固定費の負担をできる限り減らしていく必要性が高まっています。以上の背景事情を踏まえ、経済を維持する観点から、テナント事業者の保護の必要性が高まり、行政の救済策も徐々に浸透しつつあります。

テナント事業者にとっては、人件費とテナント賃料が固定費の大半を占めます。そのため、賃貸人との間で賃料の減額交渉に成功すれば、固定費を大幅に削減することができます。そのため、テナント賃料を減額することはテナント事業者とって、大きなメリットがあります。

一時的な賃料減額、支払延期の交渉

新型コロナウイルステナント賃料減額交渉

第一に検討するのは、短い期間の間賃料を減額してもらったり、賃料の支払を延期してもらったりする交渉をすることで、経営を継続できないかという点です。

新型コロナウイルスを理由として、緊急的に一定期間だけ賃料を減額したり、支払を延期したりすることで、事業者は当面のコストを圧縮する効果を得ることができるからです。賃貸人(オーナー)側においても、新型コロナウイルスという非常事態が理由であることから、短期間であれば賃料減額、支払延期の交渉に応じてくれる可能性が高まります。

そこで、まずは、短期的な賃料減額、支払延期の交渉を行う際に注意しておくべきポイントについて、弁護士が解説します。これらのポイントを理解して交渉を進めることにより、賃料減額に応じてもらいやすくなります。

客観的・具体的な根拠を示す

賃料減額の必要性を、説得的に説明するためには、単に「新型コロナウイルスの影響による経営悪化」とだけ説明するのでは不十分といわざるをえません。すべてを新型コロナウイルスのせいにしているような無責任な態度では、賃貸人(オーナー)としても、一時的な賃料減額、支払延期にすら応じてくれないことでしょう。

そのため、賃料減額の必要性について、客観的・具体的な根拠を示すことが、交渉をうまく進めるポイントとなります。

つまり、新型コロナウイルスの影響によって、店舗の売上がどの程度減少したかについて具体的な資料や数字を示すとともに、賃料減額以外の経費削減などの努力を十分に行ったことを示すようにしてください。

あわせて、必要となる削減効果についても、減額割合、減額期間などを明確に示すことが重要です。

根拠資料を準備する

賃料減額の必要性に関する客観的・具体的な根拠について、より説得的な交渉を行うためには、根拠となった資料を準備し、開示をするようにします。

資料ついては、自社の情報のみならず、政府の統計資料、失業率、消費者物価指数、新聞記事など、自社を取り巻く経済状況が大きく悪化していることを示す資料をあわせて準備することで、より説得的に説明することができます。

近隣同種の家賃相場の減少を理由に減額を交渉する場合は、不動産会社が公表している近隣の家賃相場の資料、不動産鑑定士が作成した適正家賃評価額の算定資料なども有効な資料となります。

賃貸人の経済的損失に配慮する

新型コロナウイルス禍の緊急事態とはいえ、賃貸人(オーナー)との間で賃料減額の交渉をする際には、賃貸人(オーナー)側の経営状態にも配慮する必要があります。

賃貸人(オーナー)にとっても、経済的な損失がそれほど大きくない一時的な賃料減額、支払延期であれば、これを拒否して賃貸借契約を解約されてしまうよりも、継続的に借りていてもらった方が有利だと考えてくれる可能性も大いにあります。

一部の地方自治体では、新型コロナウイルスの影響を理由として賃料が減額された場合に、減額分の一部を賃貸人に助成する制度があります(例えば、港区店舗等賃料減額助成金交付制度、新宿区店舗等家賃減額助成など)。

そのような制度が存在し、賃貸人(オーナー)にとっても経済的な損失を抑えることが可能であることも合わせて説明することによって、交渉が成立する可能性が高まります。

弁護士に法律相談する

賃料減額の交渉の際には、弁護士の意見を聞いて交渉を進めていくことも重要です。

必要資料の収集には専門的知識が必要となりますし、交渉力が必要不可欠です。当事者間では、感情的な問題等もあり、冷静に話し合いができない可能性があるため、第三者的な立場かつ専門家である弁護士に相談し、交渉を依頼することで、迅速かつ有利に減額交渉を進めることが可能です。

賃料減額請求訴訟

新型コロナウイルステナント賃料減額交渉

一時的な賃料の減額、支払の延期だけでは、生き残ることができない企業もあります。新型コロナウイルスの収束時期は未だ見えず、賃料の長期的な変更、減額もあわせて検討をしなければなりません。

しかし、長期的な賃料減額は、賃貸人(オーナー)の将来の収入を大幅に減らすことを意味するのはもちろんのこと、不動産売却の際の評価額にも影響するおそれがあります。そのため、長期的な賃料減額ともなると、賃貸人(オーナー)側が、任意の交渉には応じないおそれがあります。

そこで、賃料の長期的な変更、減額の交渉を進めるにあたっては、裁判所を利用して強制的に賃料減額を請求する手続きや、行政による救済策の活用などもあわせて検討しなければなりません。

賃料減額請求権とは

賃料減額請求権とは、賃料の改定を求める当事者の一方的な意思表示によって、賃料を合理的な金額に改定する権利のことをいいます。

賃料減額請求権は、賃貸借契約が貸主、借主間の長期的な信頼関係に基づいて成り立つものであることから、事情の変更によって適正な賃料から乖離してしまっている場合に、賃料を増減させるために認められた権利です。

当事者間での交渉によっては、賃料を減額するという合意が成立しない場合、テナント事業者としては、賃貸人(オーナー)に対して、契約後の事情変更を理由として賃料減額請求権を行使することができます(借地借家法32条1項、地代については同法11条1項)。

賃料減額請求訴訟の提起

賃料減額請求権が認められる要件は、借地借家法32条1項に、次のように規定されています。

借地借家法32条1項

第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

そのため、賃料減額請求訴訟を提起するときには、事情の変動によって賃料が不相当となっていることを主張する必要があります。

「不相当」かどうかは、各種の事情の変化を総合考慮して判断されますが、賃料減額請求訴訟の中では、裁判所が貸主、借主の双方に、適正な賃料を示す賃料を提示するよう求め、当事者は鑑定評価を提出することが一般的です。鑑定評価は、公正性を担保するため不動産鑑定士など適切な機関に依頼し、その費用は各当事者の負担となります。

新型コロナウイルスの影響の長期化によって、経済事情の変動や近隣の家賃水準が下落したなどの事情がある場合には、賃金減額請求も認められる可能性があります。

賃料減額に関する行政の救済策

一部の地方自治体においては、新型コロナウイルス禍への対策として家賃補助をしているところがあるほか(例えば、江東区持続化支援家賃給付金など)、2020年7月14日から、一定の売上が減少した特定の中小企業や個人事業主等を対象とした家賃支援給付金の申請受付が開始されました。

テナント事業者としては、このような、行政救済策による補助を受け、経済的な損失を最小限に抑えながら、賃貸人と交渉を継続したり、賃料減額請求の手続きを進めていくことが重要です。

賃料減額の合意ができず、賃貸借契約を終了する場合の注意点

新型コロナウイルステナント賃料減額交渉

最後に、ここまで解説したとおり、一時的な賃料減額や支払延期、長期的な賃料減額のための裁判所の手続などを経ても、解決に至らない場合には、やむを得ず、賃貸借契約を解除せざるを得ないこともあります。

これ以上賃料を支払い続けると倒産せざるを得ないような危機的状況においては、企業経営者の目線から、少しでも出血を少なくするため、賃貸借契約の終了を早急に検討しなければなりません。

また、在宅ワーク、リモートワーク、テレワークなどの活用により広いオフィスが不要となった場合にも同様に、賃貸借契約の解除を検討する場合があります。

そこで最後に、賃貸借契約を終了する場合の注意点について弁護士が解説します。

賃貸借契約の解除

賃貸人(オーナー)は、適正額の賃料の支払がなされない場合、賃料不払いを理由として賃貸借契約を解除することができます。

もっとも、賃貸借契約は、賃貸人(オーナー)とテナント事業者との継続的な信頼関係を前提としていますので、賃貸借契約を解除するためには、当事者間の信頼関係を破壊したといえるほどの重度の債務不履行が必要となります。これを「信頼関係破壊の法理」といいます。

そのため、新型コロナウイルスの感染拡大を原因として減額した賃料を支払っている場合には、未だ信頼関係が破壊されていないと判断される可能性がありますので、テナント事業者としては、賃貸借契約を解除された場合には、その点をきちんと主張・立証することが大切です。

もっとも、支払期間等にもよりますが、テナント事業者が契約上の賃料額を大幅に下回る金額しか支払わない場合には、信頼関係が破壊されたと認定され、解除が認められる可能性がありますので、その点には注意が必要です。

賃貸借契約の合意解約

テナント事業者としては、協議が整わず、収益の見込みも立たない場合には、実店舗からの撤退や、テナント規模の縮小といった対策を検討しなければなりません。

この場合に、賃貸借契約を合意解約する場合には、明渡しに関する事項に加え、遡及的な支払の有無、金額などの条件について、合意書を作成しておくことが大切です。書面による証拠を残しておくことが、事後のトラブル回避に役立つからです。

賃貸借契約の合意解約について、一般的な合意書の文案は下記のとおりですので、参考にしてみてください。

合意書

 
賃貸人XX株式会社(以下「甲」という。)と賃借人YY(以下「乙」という。)とは、甲乙間において締結された20XX年XX月XX日付の別紙記載(省略)の物件に係る賃貸借契約(以下「本件契約」という。)につき、次の通り、合意した。

1. 甲及び乙は、本件契約が20XX年XX月XX日付で合意解約により終了することを相互に確認する。 

2. 乙は、甲に対し、前項の日に限り、別紙記載の物件を明け渡す。

3. 乙は、別紙物件内所在の一切の動産類(○○、○○、○○など)を第1項の日限り撤去する。なお、解約日の翌日以降、同物件内に残置された動産類について、乙はその所有権を放棄したものとみなす。

4. 甲及び乙は、20XX年XX月XX日から20XX年XX月XX日までの賃料が月額XXX万円であり、その合計額がXXX万円であることを相互に確認する。

5. 甲は、乙に対し、敷金及び保証金償却後の残額から、前項の合計額XXX万円及び本契約に関する乙の一切の債務を控除した残額の合計額を20XX年XX月XX日限り、乙指定の銀行口座に振込の方法により支払う。なお、振込手数料は、甲の負担とする。

6. 甲及び乙は、本合意書の存在及び内容を第三者にみだりに開示・漏洩してはならない。

7. 甲及び乙は、甲と乙との間には、本合意書に定めるもののほか、何ら債権債務がないことを相互に確認する。

以上の合意が成立した証として本合意書2通を作成し、甲乙それぞれ署名押印の上、各1通を保有する。
                                 
XXXX年XX月XX日

甲:住所
  氏名

乙:住所
  氏名

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新型コロナウイルステナント賃料減額交渉

今回は、新型コロナウイルス禍において事業主が理解しておくべき、とテナントの賃料減額交渉について弁護士が解説しました。

新型コロナウイルスの感染拡大がいつ収束するかについては、現時点では見通しが経っていません。そのため、テナント事業者としては、任意交渉や賃料減額請求によって、賃料の減額をすべきなのか、合意解約によって店舗を徹底すべきかについて迅速な判断を求められています。

また、テナントの貸主(オーナー)側においても、賃料は重要な固定収入になることから、減額交渉の申入れがあったときには慎重な対応が必要となります。

いずれの場合にも早期に対応しなければ思わぬ損失が生じる可能性がありますので、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。賃料減額交渉をはじめ、新型コロナウイルス対応についてお困りの際は、ぜひ一度当事務所へ法律相談をご依頼ください。           

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